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第14話 番の役目と身体の変化 4

一希の申し出にゼルギウスは首を横に振った。 「いけません。一希様は、このドールハウスで王の番としての調教を受けて頂くのです」 予想はしていた返答だ。ヴィンセントに言っても同じ返答だとは思ったので、ゼルギウスに申し出てみたがやはりダメだった。 それでも一希は食らいついた。 「頼む。ゼルギウス。人間界には俺の仲間がいる。アイツらが危ないんだ」 速水はこの話を知っているのか分からないが、急いで速水と照史に伝えなければ二人の命が危ない。 「残念な話ですが一希様、それは諦めて頂きたい。現に退魔師の皆様は我々の同胞を消滅させています。王は赦すことはできませんし、一希様を完全に番にされた後彼等には消えてもらいます」 ゼルギウスの話に一希は思わずテーブルから立ち上がった。 「待ってくれ!なら俺を先に殺してくれ。俺も退魔師だ。お前たちの敵だろ?」 「何を仰います、一希様は王の大事な番です。手にかけることなどできるわけがないでしょう?」 「ゼルギウス・・・!」 立ち上がった一希をゼルギウスは突然横抱きにして抱き上げると、ベッドにそのまま降ろし一希の動きを封じる。 「お、おいっ、何を・・・っ!」 ガウンを脱がせ、素早く両手を頭上に押さえつけられた一希は、腋をゼルギウスに一舐めされ、全身が総毛立った。 「少し話過ぎましたね、こんなに興奮されてはまた脱走されて王に怒られても文句は言えません。まずは落ち着いてください」 ペロッ、ペロッ・・・。 「うっ、ゼル・・・っ!ああ・・・!」 一心不乱にゼルギウスは一希の腋を舐める。ゼルギウスの舌が腋を舐める度、一希の背中にゾクゾクと痺れが走り身体を仰け反らせた。 「ま、待って・・・!あぁ、んっ!」 「おや、一希様。ここの反応がすこぶる良いではありませんか?」 「うう・・・ああ・・・」 ペロッ、ペロッ、ペロッ・・・。 一希の反応した場所をゼルギウスは集中的に責めていく。いつの間にか、ゼルギウスの空いている片手は一希の乳首を弄っていた。 「フフフ・・・。落ち着かれたようですね。私の舌と指は気持ちいいですか?」 「ゼルギウス・・・、お前っ」 「言ったでしょう?私は貴方のお世話と調教を王より仰せつかったと。貴方のような強情な方を私の性技で陥落させてひたすら快楽を求める人形へ変貌する様を見るのが大変楽しみなのですよ」 ゼルギウスは腋をひたすら舐め、くんくんと匂いを嗅いだ。 「ああ・・・いい匂いがしますねぇ。とても甘い。一希様も、私に発情していらっしゃるので?」 「そ・・・そんなっ」 違うと、一希は言いたかった。でもゼルギウスの顔が一希の額にくっ付くほど近づき言う機会が失われてしまう。 「私も調教の度に貴方様に発情してしまいます。王の許可が降りないのは残念ですが、降りましたら、ぜひ私ともセックスをさせてください。一希様を最高の快楽に導いて絶頂させる自信がありますから」 ゼルギウスの目が光った。人間の姿だが目を細めてこちらに嗤いかける姿はまさに魔物のそれ。無抵抗な獲物を今にも喰らおうとする目のそれだ。 「待っ・・・待って、うぅ、んっ」 「待ってなんて・・・待ってくれると思いますか?このまま、私でイッてみますか?もちろん王には黙っておきますよ」 ゼルギウスの手が一希の下半身へスーッと動いて行く。そこは愛撫に反応して既に勃起しており、透明な液を垂れ流していた。 「おやおや、既に私に感じていらっしゃるとは嬉しいですね。一度ここの味を頂きたかったのですよ」 一希のそこに顔を近づけ口を開けた途端、誰かがゼルギウスの肩を叩いた。 気づいたゼルギウスが振り返ると、そこには怒りの表情を浮かべたヴィンセントが立っていた。 「そこまでにしてもらおうか、ゼルギウス」 ※※※ ヴィンセントを見て、ゼルギウスは一希から離れて立ち上がる。 ーーパンッ! するとヴィンセントはゼルギウスの顔を平手打ちした。反動に抗えずゼルギウスは床に突っ伏した。一希は、怒りの表情を見せたヴィンセントに言葉がなかった。 「お前に命じたのは一希の世話と調教だ。それ以外は必要ない」 「申し訳・・・ありません」 打たれた部分を手で押さえながらゼルギウスは立ち上がった。 「去れ」 「畏まりました」 ゼルギウスは一礼すると、そのまま部屋を退室する。唖然とした一希だったが、ヴィンセントがベッドに膝を降ろすとシーツを身体に巻き付け距離を取る。が、そのままベッドヘッドにぶつかりそれ以上距離が取れなくなる。ヴィンセントは離れた一希に近づいていく。 「つれないな。何度も体液を与えた仲だろう?」 「お前には2回も襲われてるから、警戒だってするだろ」 ゼルギウスに弄られた身体は、今渇きが燻り出していた。 正直なところ、ヴィンセントを直視できない。ドールハウスに連れて来られ、2度もこの淫魔と交わった。恥ずかしさもあるし、やはりあの渇きを思い出しさらに加速する。この淫魔を見るとなぜか身体の内側から燻ってくる感じを自覚してしまうのだ。 「何を言うんだい。私の体液が無ければ、君はあの渇きに苦しめられるだろう?それに私達は番同士だ。番の私が君を求めて何が悪い?」 「お、おい、待て・・・っ!」 ヴィンセントは一希に近づき身体に巻き付いているシーツを剥ぎ取る。素早く一希の両手を片手で封じると、じっと一希の身体を見つめた。 「何を・・・!」 「もっとよく見せなさい」 ヴィンセントの方が力があった。 ヴィンセントに見られている身体は、ゼルギウスに弄られたせいもあり一希の意に反して乳首もペニスも硬くなっていた。 「反応がいいね。ゼルギウスに腋を舐められてずいぶん感じていたようだね。いい顔をしていたよ」 「ーーっ!」 こいつ、さっきまでの様子を見ていやがったな・・・! 「離せ!」 「離してどうする?君の身体は私の体液が無ければ渇きに襲われるだけだ。それに君も見ていた方がいいね。自分の身体がどうなっているのか」 「っ!」 ヴィンセントに促され、一希は首を下に向けた。一番目の変化は今までなかった乳房があり、淡いピンク色の乳首がツンと立っている。大きい方ではないが、膨らみかけの小振りだ。 「な、何だこれ・・・!」 思わず一希は両手で乳房を隠そうと手を動かそうとしたがさらにヴィンセントに押さえつけられ、そのまま彼に見せている状況になる。 目の前の男に見られるのが、今一番恥ずかしい。 「始まったね。良い形をしている」 「うっ・・・!」 一希の小振りな乳房をヴィンセントはまじまじと見つめる。すると、一希の身体がさらに火照っていくのが分かった。本格的に、あの苦しい渇きが襲ってきたのだ。 「見るな、誰がお前の・・・!」 自分の身体を見て、一希は驚くしかなかった。自分はこんな身体じゃなかった。これじゃまるで・・・。 「女体化が始まったんだよ、一希」 ヴィンセントの言葉に一希は背筋に悪寒が走った。今、こいつは何と言った? 「正確には半陰陽、いわゆる両性具有だよ。身体が番になることを受け入れている証拠さ」 意味が分からない。なぜ自分にそんなことをするんだ。 「淫魔王は人間を番にするため、番とセックスを重ねて行く。何度も交わり、淫魔王の魔力を番の体内に循環させ、変化を促していくのさ」 「な、なぜ、そんなことを・・・うっ!」 一希は、身体がさらに火照っていくのが分かった。 「言った筈だよ。君が渇きを我慢する必要はないと。番同士のセックスで君は渇きが癒され、私は魔力が高められる。尚且つ君は番として身体が変化していく。お互い楽しめばいい」 両手を押さえつけたまま、ヴィンセントは一希をベッドへ押し倒すと一希の乳首をペロッと一舐めした。 「んっ」 「乳首の感度も上がっているね」 クスクスと、ヴィンセントは笑った。 「ゼルギウスに腋を舐められて感じたかい?私達淫魔は、人間の身体の感度を上げ最高の快楽を享受できるセックスを楽しむ。私も君とのセックスを楽しみにしていたんだ」 「じょ、冗談じゃない・・・!誰が、お前のような淫魔と・・・!」 言いかけた時、ヴィンセントが一希の唇を覆った。そして、ゆっくりと自らの体液を注入していく。 「んっ、んっ。んふ・・・」 注入されるまま、一希はゴクッゴクッと喉を鳴らして体液を飲み込んでいく。一希の目はとろんとして涙を浮かべながらヴィンセントを見つめる。徐々に身体の力が入らなくなり、抵抗していた両手の力が抜けていく。 睨んでいるのに。 彼を拒絶したいのに、体液を飲まされるともっと欲しいと言ってしまいそうになる。 こんな番の姿にヴィンセントは高揚感が湧いた。 「一希、淫魔王の番は大事な役目がある。何だと思う?」 「な、なん、だよ・・・」 蕩かされた一希はヴィンセントが言いたいことがなんとなく予想ができた。ヴィンセントの言っていた両性具有。言い換えると男性でもあり、女性でもあるという身体だ。そうする理由は、それしかないだろう。 「淫魔王には強い魔力を持つ子孫を育てるという役割がある。王となった淫魔の魔力は強大であり、種族を守るためにある。その力を維持するため、淫魔王自身が番となる人間を選び子どもを産んでもらう。つまり一希、君は・・・」 ヴィンセントの言葉に一希は胸が高鳴っていくのを感じる。想像がついたその先に告白される言葉に恐怖なのか喜びなのか分からない思いが渦巻く。 それ以上は、言わないでくれ。 「ーー私の子どもを産んでもらうんだ」 「っ!!い、いや・・・!」 一希は恐ろしさから涙が溢れ首を横に振った。 急いで逃げないと。 早くヴィンセントから離れないと本当に妊娠させられる。 「それは却下だ。一希。君はこれから私と番となり私の子を孕んでもらうよ」 力の無くなった一希の両手を離したヴィンセントはスーツの上着を脱いでいく。スーツを無造作に放り投げると、バランスの整った精悍な身体を一希に向ける。それを見ると、一希は堪らなく彼が欲しいと思ってしまう。 「前回私から逃げ出そうとした罰だ。今回はとことん攻めていくよ」 ヴィンセントは一希の指に絡み合い、二人は深く繋がり合った。 一希に、拒否はできなかった。 ※※※ どのくらい時間が経ったのか分からない。 一希の後孔は彼を深く受け入れて、何度も絶頂を味わされた。でもヴィンセントは勢いは衰えないどころか迸りを一希の中に吐き出す度その勢いは増していた。まるで逃がさないというように。 ヴィンセントは乗馬位から一希を抱き上げると背面座位に変えて、小振りな乳房を彼の大きな手が優しく揉み込んでいく。一希は完全に蕩けていて、彼もヴィンセントを求めるよう身体を捻り背中に手を回した。 これに気を良くしたヴィンセントが一希の耳元で低い声で囁く。 「いいよ、一希。好きなだけ、私にしがみついて」 ヴィンセントの低いバリトンの効いた声が一希の背筋を駆け巡った。彼のベルガモットの香りに誘惑され、理性が徐々に消えてしまいそうだ。 一希の中に挿入されたヴィンセント自身がさらに膨張していくのが分かる。膨張したモノに中を掻き回され、一希は快感に悲鳴をあげる。 「も、もぅ・・・」 「まだ。まだだよ。まだ、足りない」 さらに抽出のスピードが上がる。すると膨張したモノが弾けるように一希の中で精液を拡散する。 「はっ・・・あぁ・・・」 中に出された一希は全身に痺れるような快感を感じた。だがヴィンセント自身は勢いが衰えず、そのまま抽出を続ける。再び乗馬位で、一希をベッドにうつ伏せにすると、パンッ、パンッとヴィンセントの腰が一希の尻にぶつかり、ズチャ、ズチャと粘液が部屋中にこだまする。 ヴィンセントに奥を貫かれる度一希の身体に痺れが走る。それを快感だと一希の脳が変換していき、もう渇きよりも快感の虜になっていく。ヴィンセントが奥を一突きすると、一希は戦慄き涙と唾液を垂らしたまま背筋を仰け反った。 そんな姿にヴィンセントはフフと笑い、自分と同じ青い瞳を持つ人間を愛しいと思う。 「いいよ、一希。君は私に貫かれて感じる顔が一番美しいね。私の可愛い一希」 ヴィンセントのこの言葉に、どこか一希は喜びを感じた。 淫魔王の体液は強力な媚薬だ。注入されれば人間の理性では制御できず淫魔を求めるしかなくなる。 そしてずっとこうしていたいとさえ思ってしまう。ヴィンセントの与える快感に委ね、もっと、もっとと求めてしまう。 一希に絶頂が訪れる。何度も達したが勃起した一希のペニスからは、ヴィンセントに奥を貫かれたと同時に精液を吐き出した。そのまま一希は美しい青色の瞳を澱ませ、虚げに気を失った。 「頑張ったね、一希」 ゆっくりと一希から己のモノを抜く。何度も一希の中に注がれた精液は、楔が外れた途端ドロドロと一希の中から吐き出された。 そのままヴィンセントは立ち上がり、部屋のカーテンを開ける。政務を終えて昼ぐらいにドールハウスに来たが、外は太陽が沈んでおり、何時間も一希と繋がり続けたんだと思うと感慨深くなる。若い部類ではないが、やはり番がいると気分が高揚するせいだろうか。 ヴィンセントはベッドで気を失った一希の頬を撫でる。涙と唾液で髪がべったりと張り付いており、ヴィンセントは横髪を耳にかけてあげた。無理をさせてしまったが後悔はない。規則正しく寝息をたてる一希を仰向けに変えた。胸に手を置くと、やはり乳房がさらに膨らみを持っていた。身体はまだ男性の身体つきだが、これから徐々に丸みを帯びていくだろう。 渇きが癒された一希の頬に触れても全く一希は起きる気配はなかった。 「身体が私に馴染んできたね」 一希の身体は変化が始まっていた。二回のセックスでは早い方だが、さらに変化が進むだろう。 もうすぐ。もう少し身体が変化したら、この子は我が城に連れて帰る。 そして、正式に番の儀式を行い、妊娠させ出産に入る。 それが、番に選ばれた者の運命だから。 「一希、私の愛しい番・・・」 一希の頬にヴィンセントが口付けようとした途端、見知った妖気を感じ、ヴィンセントは顔を上げた。 「何の用だ、カミール」 部屋の扉には自分とは異なる銀髪の男が壁に背を預けたままこちらを見ていた。

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