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牧村くん

『俺が社長になるまで、小宮くんを頼む、間違っても手を出そうとするなよ、俺の番だからな』 そう言って電話を切ったのは、高校からの友人、駒沢翔太 同じアルファ同士で気も合う俺たちは、すぐに悪友になった ただ群がって来る人間を見下し、たまに手を出してやったり、まぁ平たく言えば好き勝手に遊んでいた 『盛りのついた動物かよ、か弱いフリしても肉食獣じゃねぇか』 家柄も見た目も良いから、それだけの理由で自分の手のものにしようと企てるオメガに何度被害に遭ったか 俺たちの中のオメガに対する険悪な感情は凄まじいものだった 『発情したままで、わざわざ俺に会いに来たんだ、途中で事故が起こっても仕方がないよね』 ラットを起こしたアルファに襲われているオメガを見ても、助けもしないし、なんならこの状況を作った本人でもある レイプされて頸を噛まれる事故が起こったとしても、それは俺たちには関係のない話 勝手にこっちに罪を与えようとするのやめて欲しいよ そこまでオメガを、オメガという存在を消し去ってやりたいと言っていた悪友 そいつが俺に、オメガを守れと? アイツが番だという男に興味があった アイツの嫌悪感を消し去るほどのオメガ 普通 そう至って普通の男 160cm程度体重は50kg有るのか? 薄らと感じる程度のオメガの匂い 「明日から1週間休みます!皆さん、よろしくお願いします!」 仕事の真面目さはわかる 自ら発情期です!オメガです!と宣言する様な男だぞ 悪友に考え直せと言いたい 女性達やオメガ男性に、無理せずに安心して休んでねと声をかけられ、 「ありがとうございます、仕事押し付けてすみません、来週出勤した時にやれるやつはしますので、置いておいてください」 と、礼を述べる姿に、どこまで真面目なんだよ!心の中でツッコミがやまなかった 「ご迷惑をおかけしてすみません、ありがとうございました」 大袋のお菓子を持って発情期明けに出社してきた小宮亮平 「牧村くん!これあげる!牧村くんに似てると思ったんだよね」 渡されたのはパンダ顔の棒付きチョコ 「誰のどこを見て似てんだよ!」 「あれ?あーごめん間違えた、こっちだ」 差し出されたのはライオンの顔 「誰がライオンだよ!」 似てると思ったんだけどなぁ、デスクの書類を確認しながらまだ言っている小宮 「牧村くん、居ない間ありがとうね」 突然、こちらに笑顔全開で感謝する小宮の不意打ちにやられた 俺の手元に置いて守ってやりたい、愛を囁いて甘やかしてやりたい、邪な考えを持ちそうになった瞬間 俺死んだって思った 営業課から事務課にたまたま立ち寄った訳でもないだろう駒沢 駒沢から俺を殺さんとする殺意を感じた 「小宮さんおはようございます」 爽やかに挨拶をする駒沢を、そっけなく会釈だけで返事をする小宮 あーパンダの棒付きチョコ食ってたんだな 他の課の人間に見られるとは思ってい無かったんだろうな 気不味そうにこっちを見上げるな 俺が死ぬから 駒沢の方を見てやってくれ 「小宮さん、チョコ美味しいですか?」 照れ笑いで、うんと大きく頷く小宮に、満足して去っていく駒沢 ライオンのチョコは寄越せ 駒沢からのメッセージを見て、脱力した 絶対に盗聴器仕掛けてんだろうよ! ほんと、何してんだよ!アイツは!! はぁ〜それだけ本気って事かぁ アイツが小宮と落ち着くまでは、守ってやりますか! 散々振り回されて、マジふざけんな!ってくらい苦労するとは思ってなかったんだけどなぁ

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