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ねぇ、センセ。

「いらっしゃい、センセ」  消え入りそうな声のボクの挨拶に「やあ」とほほ笑む家庭教師のトウヤ先生は、ふわっとした黒髪を揺らす絵に描いたようなイケメンだ。薄いブルーのシャツと紺色のズボン。ジーパンなんかでは絶対に来ない。旧帝大に通う大学二年生で頭もいい。  ボクは先生とは正反対。引っ込み思案でなよっとしていて、いつも男らしくないと言われてしまう。でも、うらやましいと思ったことは一度もない。  だって…… 「どうぞ」  先生の顔を見るのが恥ずかしくて、逃げるように勉強部屋へと入る。そして椅子に座り、うつむいた。首元まで伸ばした髪が、頬にかかる。  クーラーが少しだけ効いた部屋。ボクが着ているのは、少し大きめのノースリーブのシャツ一枚と短パン。ほとんど外に出ないし、ご飯もあまり食べないから、むき出しになった腕と脚は、日焼けもほとんどなく、すぐに折れてしまいそうなほど細い。 「こんにちは。お母さん、今日はお仕事だっけ」  先生は玄関に放置された格好だったが、もう半年以上来てもらっているだけに、勝手知ったるという様子でボクの部屋に入ってきた。 「そうです」 「そっか。じゃあ、早速始めようか」  トウヤ先生がボクの隣に座る。その拍子に清々しい香りが漂ってきた。  どきどき……  心臓の音が速くなる。それを隠したくて、ボクは膝に手を置いてうつむいたままでいた。 「セイトくん、あのさ」 「なんですか」 「今日は、何の勉強かな」  先生の少し困惑した表情。そこで気が付く。机の上には何も載っていない。 「え、えっと、数学を」  慌ててカバンを手に取り、その中から問題集を取り出す。できるだけ、シャツと素肌の間に空間ができるように腕を動かすと、胸の辺りを冷気が通り過ぎていった。  そこでトウヤ先生の顔を見る。先生はボクの目を見て軽く微笑んでいる。  やっぱり先生は、男の体には興味ないんだろうな。  広げた問題集、それを解き始める。また先生の顔を見て見るけど、先生の視線は問題文に注がれている。でも、ボクの視線に気づいたのか、ボクと視線を合わせてくれる。また、鼓動が速くなった。 「分からないかな。これはね」  トウヤ先生の指が問題文をなぞっていく。先生の指は長くて爪がきれい。  でも、センセ。紙じゃなくて、ボクをなぞって。    あまり健康的じゃない、白い肌は嫌いなのかな。   先生の指がボクの腕をなぞるだけで、全身に電気が走るかも。それが肩まで来て、シャツの隙間から中へと入り、ボクの、まだ若いイチゴのようなピンク色の上を撫でるように這いまわれば、声を出さずにはいられなさそう。  それを想像したら、下半身が熱くなった。ボクのものが大きくなっちゃってる。先生にばれたらどうしよう。  トンと、頭を指で突かれた。驚きに体がビクンと跳ねてしまった。 「どうした?」  ボクがぼうっとしているのに気づいたのだろう。トウヤ先生は少し心配そうな顔をしている。 「あ、いえ、すみません」  先生に触れられてしまった。でも、もっと、してほしい。  このままぐずぐずしてたら、もっと触ってくれるかな。それとも、おこってしまうかな。 「今日は疲れてる?」 「いえ、そんなことないです」  トウヤ先生に作り笑いを見せる。 「気分が乗らない?」 「い、いえ」 「そういう時もあるよ」  そんなボクにも、先生は優し気な微笑みを向けてくれた。  ごめんね、先生。今日は、ドキドキが止まらないんだ。もう、我慢できないから。 「センセって、彼女いるんですか」  突然の質問。絶対に変に思われるだろうから、先生の顔をまともには見られない。でも、見たい。だから、先生を見つめる目が上目遣いになってしまった。  先生は少し驚いた表情をしている。 「オレ? いや、いないよ。もしかして、セイト君」  先生がそこまで言った時、ボクの心臓がびっくりして止まりそうになる。 「好きな子ができたのかい」  先生がまた、軽く微笑む。ボクの心臓が動き出すとともに、胸の奥に少し痛みが走った。 「い、いえ、そういうのじゃ」  先生の手は机の上に乗せられたままになっている。筋肉で張った瑞々しい腕。触れてみたい。ぎゅっと抱かれてみたい。でも、そんなことしたら、もう先生と会えなくなりそう。  そんな気持ちが、ボクに指遊びをさせる。絡まる左の指と右の指。ボクと先生じゃこうはならないよね。  もう一度、トウヤ先生を見てみる。先生の視線が……少し下に向けられている。ボクの視線に気づき、先生の視線がまたボクの目に戻った。  み、見られたかな、固くなってるの。恥ずかしい。絶対、変に思われた。  でも、全然おさまらない。先っぽが少しねばついているのが自分でもわかる。それが恥ずかしさを加速させてしまう。また先っぽから、トロっとした液体がにじみ出た。  意識すればするほどいやらしい液体があふれ出す。もう、下着がびちゃびちゃ。でも、止まらない。  センセ、苦しいよ……お願い、ボクのを触ってよ。  口にすれば、楽になれるかな。届かない思い、消えてくれるかな。 「なんか苦しそうだけど、大丈夫?」  突然、トウヤ先生の手が、ボクの背中に触れる。  うそ……うれしくて、うれしすぎて、体が震えてしまう。  ガクガクって……だめ、いっちゃうかも。 「な、なんでも、ないです」 「クーラー、寒いのか?」  先生の手がボクの背中を撫で始める。  センセ、だめ、熱い、熱いよ。あそこがうずいて、止まらない…… 「ねぇ、センセ」  もう、我慢できない。そのままトウヤ先生のシャツに体を預けた。  

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