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第1話

満員電車に箱詰めにされて見ず知らずの人間とおしくらまんじゅうしながらただ運ばれる日々。 ピッタリとくっついてる人は加齢臭のするおじさん。 これが俺好みの可愛い若い女の子なら耐えられるのに… そうやって無意味な想像をしながら同じ毎日を繰り返す。 今日も今日とて変わらない日々。 職場に行けばやりがいのある仕事をさせてもらえるからそのものはそうでもないが立場のきつい中間職で上からも下からも板挟みにされきついときもあるけどそれはそれで受け止めるとして… プライベートはしばらく彼女もいなくて溜まるものは溜まるしかといってそういうとこに行く元気もなくこのままこのおっさんみたいになっていくのかな?なんて思ってみたり。 昔はよくモテたこの容姿も今じゃ残念な感じになってるし…ジムでも行って鍛えればとも思うけど足は向かないし…別に太っているわけではないと思ってるけど微妙にぽっこりしてきた気もするし… モヤモヤモヤモヤ…機械的に足を動かして手を動かして… 「なんだかなぁ…」 一日の仕事を終えそう呟くと退勤が一緒になった妻子のいる同僚が軽快に笑う 「お前なぁ枯れてしまったおっさんみたいだぞ。俺は愛する子供と嫁の元へ帰るぜ。じゃあなぁ」 「おぅ。じゃあなぁ」 軽口を叩いて背中を向ける同僚を見送ろうとするとそいつがもう一度振り返った 「あ。そうそう。お前さん顔が良すぎで近づけないって女の子たちが噂してたぞ。とはいえぼちぼち動き出しそうだけどな。やがてクリスマスもくるしな」 「は?まだ先の話でしょ」 「あとたった2ヶ月だぜ?とにかくお前はその気になればすぐにそういう相手が見つかるってことだ。もっと余裕持ってみ?仕事しすぎ。そのまま老けちまうぞ。適度に気を抜けよぉ。んじゃ」 そうなの?俺まだイケる?んなら頑張ってみようかなぁ。昔は家でも筋トレしてたしなぁ…少しの暇があれば…今はその少しの暇もただ一人で晩酌するだけでそのまま寝ることも多いし… その日から彼女がどうしても欲しいわけでもないが飲酒は控え自分のためとトレーニングを再開した。

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