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第13話

「キス…気持ちいい…ね。ねぇ。名前…聞いてもいい?」 彼は少し考える素振りをした。偽名でも名乗るのだろうか?少し寂しさを覚える。そして彼が静かに教えてくれた 「…きゆ…」 「きゆ…きれいな名前だね。きゆ…って呼んでもいい?」 「いいよ。あんたは?」 俺は偽名を使う必要もないので本名を名乗る。 「久則」 「どんな字?」 字を聞かれるとは思わなかったけど彼が興味を示してくれてるからと近くに置いてあるメモとペンに手を伸ばし字を書き彼に見せた 「あんた。字もうまいんだ?」 「そうかい?」 「久…だから…きゅーさんだね!」 きゅー?そんな風に言葉遊びするような子なんて思わなくてすごく意外で。 嬉しそうに自信満々にきゅーさんだね!と言ってくれた表情もすごく可愛くて…俺はまた彼に恋するのだ。 「あははっ!初めてだよそう言われるの。」 可愛さに悶そうになるのを必死で隠して答えるとまた意外なことを言われてしまう。 「きゅーさんだったら俺とひらがな一緒だもん」 「へ?」 一緒なのが嬉しいの?そう勘違いしたくなる。そんな表情だった 「ねぇ。起こして。抱っこして?」 「あぁ。いいよ」 彼を抱き起こすとまた甘い声を出してくれる。 「んん…また違うとこ当たっちゃった…あんたの…気持ちぃ…それ貸して」 メモとペンを渡したとき指先が触れる。今まで…今ももっと密着してるのに指先ってだけなのにドキリとした 「はい。どうぞ」 「ん。ありがと。…だって俺は樹優。きゆだから。そんで、あんたはきゅー。ね?一緒でしょ?」 ニコリと笑って小首をかしげながら俺を見つめサラサラと文字を書き紙を見せてきた。これは本名なのだろうか?とても温かい名前だ。聞いたら気分を害するかな?そう思って聞きたいことを飲み込んだ。そこよりももっと嬉しいことが目の前にあったからそれでもいいと思えたのだ。 俺の名前の隣に彼の名前。その並んでるのがなんとも言えない。ただの紙がとてもとても貴重な宝物のように見えた 「本当に…樹優は可愛い…」 「きゅーさんそれ意外に言うことないわけ?」 「こんなに可愛い人を目の前にしたらバカにもなるよ。」 「きゅーさん…またでかくなってるんだけど…」 「そうだね。」 「またやる?」 「帰らなくていいのかい?」 「うん。今日は平気なの。きゅーちゃんと気持ちよくなりたい。だめ?」 「いいよ…とはいえその前にこれ。一旦…ね?」 「うん。」 まだ繋がったままだったのをゆっくりと処理する 「ねぇ。そんなまじまじと見ないで…恥ずかしいから」 「それってさまだ半分くらいだよね?どこまででかくなんの?」 つんつんと人のを突きながら言う彼 「ちょっと…悪戯しないで?…」 「へへっ…」 「どうだろうねぇ。君の好みのサイズならいいんだけどね」 「あんたは俺の理想がそのまま具現化された存在。だからどんなそれでも俺の好み」 「っ!!」 どんな殺し文句だ…無自覚か?計算か?わからないけれど 「ふふっ。本当に…あんたってさ…いい男だよね…」 そんな彼の言葉は悶える俺には聞こえなかった

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