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第4話

 久遠の肌の上を、俺の手が滑っていく。こちらを向かせるのがなぜか恥ずかしくて、俺は久遠の後ろから手を回す形で、お腹とそして胸を洗ってやった。  次第に、久遠の口から洩れる声が大きくなっていく。湿り気と、切なさと、そして艶やかさを孕んだ喘ぎ。  俺の胸の中で何かもやもやとしたものが徐々に大きくなっていった。  どう見ても異常な状態だ。でも、久遠の体を這いまわる俺の手が止まらない。俺の指に、胸の蕾が触れると、久遠が体をくねらせる。そして、熱い吐息を漏らし、顔を少し上げた。そのまま俺へとしなだれかかる。  指を下へ降ろしていく。波打つ肋骨をなぞり、腰のくびれから骨盤、脚の付け根。そしてとうとう、小さくも痛いくらいに硬くなったものへと到達した。    この異常な空間の熱気に当てられてしまったのだろうか。俺の脳はやめろやめろと叫んでいるのに、まるで俺の指が別の生き物になってしまったようだ。意思に反し、俺の指が久遠のペニスをしごき始めた。 「あっ、あっ」  また久遠の口から喘ぎが漏れる。体の震えは快感からだろうか。それがまた俺の脳を鷲掴みにする。引っ掛かりを感じ、そのままゆっくりと引っ張ると、久遠のものを包む皮がむけていくのが分かった。  久遠がまた悩ましげな声を漏らす。その声が、俺の中にあったもやもやとしたものを、はっきりとした欲情へと変えた。  久遠が左腕を上げ、俺の首に絡める。それと同時に腰が俺の股間に押し付けられる。  もう、自分を止めることができない。久遠の首に、頬に、キスをする。 「先生、大きくなってる」  言われて初めて気が付いた。いつの間にか俺のものも、はち切れんばかりに硬く勃起していたのだ。 「どうして?」  どうして?  久遠の裸が、喘ぐ姿態が、どうしようもない程に妖艶だから。  硬くなった俺のものを、久遠が後ろ手に握りしめた。そのままゆっくりと動かし始める。  もう我慢ができない。俺の中の獣が、久遠の中に入りたがっている。久遠を犯せと咆哮を上げている。 「男の人同士のセックスって、ここに入れるんでしょ」  久遠の手が俺のものを、排泄の為の穴へと押し当てる。 「先生の、好きにして……いい、よ」  その言葉が、俺の中の獣を解き放った。  小物置きに置いてあったローションを手に取り、久遠の下の蕾に塗り付ける。指を入れると、久遠が「んんっ」という声を漏らす。ローションを塗りながら、何度も指を出し入れするたびに、久遠の嗚咽が浴室に響いた。  壁に手をつかせ、俺のものを秘部に押し当てる。それがめり込むように……いや、違う。久遠の蕾に飲み込まれるように、ゆっくりと入っていった。 「あ、あっ、ああっ!」  久遠の体が弓なりに反りかえる。構わず、半ば無理やり突き入れた。 「くうぅぅ」  苦痛とも快感とも取れる叫び。俺のものを包み込む粘膜の感触と、根元を締め付ける圧迫感。抜き差しとともに大きくなる久遠の喘ぎ声。  その全てが、俺を獣へと変えた。  久遠の胸の蕾を指でつまみ、皮の剥けてしまったペニスをしごく。その律動に乗せて、久遠のお尻の中をかき混ぜる。  シャワーの音に、ローションと粘液が奏でるクチュクチュという水音が加わった。それに重なる久遠の声。それは悲鳴かそれとも嬌声か。 「あ、あああ……」  言葉にもならない音とともに、久遠のペニスの先端から白濁がほとばしり出る。  その瞬間、俺は、久遠の中に止めどもない程の精液を注ぎ込んだ…… ※  その日以降、久永久遠(ひさなが くおん)が学校でお漏らしをすることはなくなった。それがなぜなのか、それは久遠にしか分からないことなのだろう。  その代わり、両親が家にいないときは、久遠が俺の部屋に来るようになった。  ぽとぽとぽとぽと……  今日もキッチンに、雫が下たる水音が響きわたる。 「先生、ごめんなさい。漏らしちゃった」  久遠が、うっとりとした目を俺の方へと向ける。  俺は久遠に微笑み、優しくキスをすると、その手を引き、浴室へと連れて行った。 《了》

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