ロマニの言うとおり､少し歩いた先に家を見つけることができた｡ 灯りのともっていないその家は､外から見るとずいぶんとみすぼらしかったが中に入るとそうでもない｡ 中継地点として使われたいただけあって､諸設備はしっかりとしていた｡2階にベッドがある､というロマニの言葉を思いだし､家に入ってすぐ､右手にある階段をオルタは上りはじめた｡ 途中､階段をのぼる規則的な揺れに､立香がオルタの腕のなかでみじろぎをした｡だが意識がはっきりしておらず､オルタの逞しい胸板にすり寄るだけで､「おい」という問いかけに答えることはなかった｡ ベッドに立香を下ろし､暖炉に薪をくべようと立香から腕を離した｡ 「…やぁ…」 「……手を離せ｡このままでは寒いだろう」 まどろみの残る口調と力で､腕を引っ張られる｡ 振り向けば､瞼をこする立香がオルタの腕を掴んでいた｡立香を言い聞かせ､少し離れた暖炉に炎を灯す｡ 暖炉のすぐとなりにあったクローゼットへと手を伸ばせば､そこには多少の毛布と布団｡オルタは毛布のみを抱えると､立香の寝るベッドに腰を下ろす｡ 「脱げ」 そして一言｡ 「………っえ？」 「聞こえなかったか､脱げと言ったんだ」 「…どっ､どうし､て…？」 「その礼装､雪で濡れている｡裸になったほうがましだ」 立香は思わず胸をひとなで｡……よかった､ここでするとか言い出さないで…｡ ふと立香がオルタの方を見れば､フードをとって霊基を調節して身体の棘をしまっている｡ 「な…に､するの……？」 回らない頭で必死にオルタに聞く｡ 部屋は段々と暖まってきてはいるが､どうしてもまだ指の先や爪先は感覚が戻らない｡ 「ひとまずはお前の身体を暖める｡だからはやく服を脱げ」 「…うん……」 ノロノロと礼装を脱ぎはじめるが､感覚のない指でこの複雑な礼装を脱ぐのは困難を極めた｡ なかなか脱げずにいると､痺れを切らしたオルタが素早く立香の礼装を取り去った｡下着も全て投げ捨てられ､本当に素っ裸｡ 「ほら」 「……ん」 いつの間にかベッドの上､立香の隣にきていたオルタが腕を広げる｡目線で「来い」と訴えていた｡ いつもの立香なら､まずは赤面の1つや2つは当たり前なのだが､意識がはっきりとしない今は嫌に素直で､そのまますっぽりとオルタの腕の中へとおさまる｡ 「こっち向け」 「…ん～……」 身体を反転させられ､オルタの胸板に背中を預ける形になる｡そのまま毛布でくるまれると､とてつもない安心感に包まれた｡ ゼロの距離で感じるオルタの匂いに､回らない頭が欲を出しはじめる｡ 「ね､オルタ……ちゅーしたい……」 「だめだ」 てっきりしてくれるものだとばかり考えていた立香は､即答で断られたことに､怒りよりも寂しさを感じた｡ 「…ぅ～､……なんで」 「キスで止まらなくなる」 かたや半裸、かたや全裸で抱き合っているのだ｡ キスなんてしまった暁にはお互いに盛り上がってしまって、一体誰が自分たちを止めるというのか｡ 「やぁ～…､ねぇオルタぁ……お願い」 顔をあげ､首を伸ばしてオルタの顎へとリップ音をたてて口づける｡ 「…っち､とんだ甘えただな」 軽く舌打ちをすると､オルタは左手で立香の顎を掴み､少し乱暴に左上を向かせる｡ そのまま､噛みつくようなキスをした｡ 「ん､…っふ､んむ」 だんだんと深くなるそれに､オルタはヤバいな､と感じつつさらに激しくしていく｡ 「んゃ､舌……すっひゃ…ら､めぇ……っ！」 じゅーっと聞こえるようにして立香の舌を吸ってやる｡ 同じタイミングで､右手でこしょこしょと首もとをくすぐってやれば､ビクビクッと身体が震える｡ だが嫌がってはいない｡…むしろ､これはもっと欲している｡ 「まっ､……オル…､い､イッちゃ…イッちゃうからぁ…！」 立香の舌の上を､自身の舌で刺激してやる｡すると一際大きく身体が震えた｡その瞬間を見計らい､オルタは立香のかわいらしい昂りを強く握り混んだ｡ 「…～～っ？！ あっ､あ…ぁ…！や､あっぁ」 今､オルタは立香に対して身体の保温と､魔力供給を同時にしてやっている｡ その行為で快感を覚え､気持ち良くなるのはおおいに結構｡だが、 「出したら意味がない」 「…っ､や､オルタ…っ！」 だしたい､イキたい､というささやかでいやらしい願いは､オルタによって非情にも却下され､立香の中では出すことのできなかった熱がグルグルと暴れまわった｡ 依然として､オルタの手は立香の昂りを握り混んでいる｡この手を､この大きな手をどかせばすぐにでも達することができる｡ どうにか……方法は…｡ 「っ！」 その時､立香の尻の割れ目に､熱くて､質量のあるそれがゴリ､と触れる｡ 「ね､オルタ」 「……今度はなんだ」 背中を反らせ､オルタの股関にわざと押し付けるようにして腰を揺らめかす｡ 「これ､欲しい」 ついでに顔もオルタの方を向けば､そこには隠しきれない情欲の色を宿した獣の瞳｡ 最後のひとおしと､右手でオルタの後頭部を抱え､グイと自身の顔を耳元へと近づけた｡ 「この大きいので………奥､いっぱい突いて🖤」