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Episode01「生徒会長のお気に入り」

01/いつもの時間 放課後の生徒会室前までくると、僕はいつものようにゆっくり深呼吸をする。 何度も何度も繰り返して…、うるさいくらいの心臓の音を鎮めたくて。 そして、きゅっと右手にこぶしを作るとコンコン、と生徒会室の扉をノックした。 「あ…、七城充希(ななしろみつき)です…っ」 緊張のあまりに若干上ずってしまった気がして、一人で恥ずかしくなる。 きっと、耳まで真っ赤に火照っているんだろう。そんなことを思いながら返答を待っていると、ガチャリと扉が開く。 開いた扉の先には、瞳を細めて綺麗にほほ笑む一人の少年が立っていた。 その左腕には、生徒会長であることを示す腕章が取り付けられている。 「よく来たね。さ、中へどうぞ」 その声は酷く優しくて…、脳の奥から揺さぶってくるような…甘さを含んでいて…僕はまた、心臓がうるさくなるのを感じていた。 「は、はい… 失礼します」 差し出された手のひらにこたえるように、握りしめていた右手をゆるめそっと重ねる。 彼…「小鳥遊昭仁(たかなしあきひと)」さんは、いつもこうやって僕を迎え入れるのだ。 まるで、お姫様をエスコートする王子様みたいに…大切そうに、僕の手を握り中へ…引き入れるように歩き出す。 僕はといえば、心臓が爆発してしまいそうなくらいドキドキして、ギュッと胸を締め付けられるような…うまく言い表せない痛みを感じて…うつむいてしまう。 そんな僕に気づいているのか、気づいていないのか。小鳥遊さんがくすっと小さく笑う声が聞こえたかと思うと、生徒会室へ足を踏み入れた僕の背の扉は、彼の手によって静かに閉じた。 02/キミが愛しすぎるから ◇ 生徒会室の中央には応対用のソファとテーブルがあって、その先に会長用の机といすが存在している。 それは、ドラマなんかでよく見る社長とかが座ってそうな立派なものだ。 小鳥遊さんはまだ、僕の手を握りしめたままソファに向かって歩いている。 それは、拘束するような力強いものではなくただ添えるようなひどく優しいものだ。 きっと、僕が少し払いのけるだけでそれはほどけてしまう。 だけど…、そうする気が起きないのは…きっと…僕がこの人に…好意を抱いているから、なんだと思う。 (ああ……今日も……かっこいいなぁ) ……そんなことしか考えることができない。 誘導されるままに、僕は彼の少し後ろを歩きながら彼の背中を見つめる。 …と、その時だ。突然小鳥遊さんはくるりとこちらを振り返ると握っている方の手を引くことで僕の体を胸元へ引き寄せた。 突然のことに僕はよろめいてそのまま彼の胸の中にすっぽりと納まってしまう。 「あ、あの…?」 顔が熱い。いや、顔だけじゃない。全身が一気に熱く火照っていくのを感じる。 そんなだから、僕は顔を上げられず彼の胸の中で疑問を投げかけることしかできない。 「…相変わらず、君は小さいね。…すごく、可愛い」 そう耳元で囁く。小鳥遊さんの甘い声と、熱い吐息が耳元で広がって僕はぎゅっと目をつむった。 (どうしよう…、すごく…恥ずかしい…っ) けれど、次の瞬間には僕の顔は彼が僕の顎をつかみそっと持ち上げることで隠せなくなってしまう。 「ふふ、赤いね。真っ赤だ… 苺みたいで、…美味しそう」 そういうと、小鳥遊さんは薄く微笑み小さく舌なめずりをする。 「あ……」 そして僕は、察知する。 (…ああ、始まる。僕はまた…この人に「食べられてしまう」)…と…。 「ん……っ」 その予感はすぐに現実となる。 小鳥遊さんは僕の唇に自分のそれを重ねると、そのまま口内へ舌を差し入れてくる。 「……っ、……ぅ……っ」 僕の歯列をなぞるようにして、小鳥遊さんはゆっくりと僕の中へ侵入して…。 その感覚に、僕はびくりと肩を震わせる。 でも、その感覚が僕は……好きだった。だから、まるでおねだりをするようにグッと背伸びをするようにつま先に力を入れた。 「……ん、……良い子」 すると小鳥遊さんは、僕の頭を撫でてくれる。その手つきはとても優しくて……、まるで壊れ物を扱うかのように繊細だ。 「……っ、……は……ぁ……っ」 「……はは、まだキスしかしてないのに……もう蕩けた顔をして……、本当に可愛いね」 小鳥遊さんはそう言うと、今度は僕の首筋に唇を落とす。 「ひゃ……っ」 つい、反射的に甲高い声を上げてしまう。ばっと両手で口元を塞ぐと、「こら」と囁かれたと思うと手首をつかまれどかされてしまう。 「……ほら、声を出して。……我慢しないで」 「あ、う…んんっ」 そして、優しく口づけをすると瞳を細めて微笑んだ。 その表情を見ているだけで、僕は…おなかの奥がきゅううっと詰まるような感覚に襲われる。 「……はは、……かわいい。……もっと、俺に見せて」 小鳥遊さんはそう言って、僕に覆いかぶさってくると再び僕の口をふさいだ。 「……ぁ、……ぁ……、ん……ぁ……っ」 どれくらいそうしていただろうか。 僕が小鳥遊さんの腕の中で、小さく声を漏らすことしかできなくなってしばらく経った頃ようやく彼は僕を解放した。 「はは、ごめん。……ちょっと、やりすぎたかな?」 そう言って、僕の頬に軽く口付ける。 その感触がくすぐったくて、僕は思わず身をよじってしまう。 「あー……、やっぱり君を見ていると止まらないな。……ねえ、今日もこの後時間ある?」 「……っえ、と…」 僕は無言でコクコクと首を縦に振る。それは、言葉で返すにはあまりに恥ずかしくて。 …だってそれは、あなたが欲しいですって…言ってるようなものだったから。 「じゃあ、このまま生徒会室で待っていてくれる? 会議が終わったら、すぐに戻るから」 そう言って、僕の頭を優しくなでると生徒会室を出て行ってしまった。 一人残された僕は、その場にぺたりと座り込むと火照る体を落ち着かせるように深呼吸を繰り返す。 (ああ……、今日も……。……僕の体、おかしくなっちゃいそうだ) そんなことを思いながら、彼の温もりが残るソファへ身を沈めるのだった。 03/ずっと待っていた ◇◇ 「…んぅ…」 気が付けば、僕は眠ってしまっていたらしい。 …そうだ。ソファに残った小鳥遊さんの温もりに安心してあのまま眠ってしまったんだ。 「あ、起きたかい。おはよう」 「……っ! お、おはようございます!」 いつの間にか、小鳥遊さんが戻ってきていた。 僕は慌ててバッと起き上がると、立ち眩みでふらついてしまう。そんな僕を抱き寄せるように支えると、小鳥遊さんはくすりと笑みを浮かべる。 「慌てすぎだよ。…待たせちゃったかな?」 「あ、いえ…っ!全然…! ただ、その…」 首を横に振って否定した後、正直に理由を話そうとしたけれどそれがとても恥ずかしいことだって気が付いて口をきゅっと閉じると再び赤くなる顔を隠すように小鳥遊さんの胸に顔を埋める。 「……ふふ、本当に可愛いね。……君は」 小鳥遊さんはそんな僕の行動に愛おしそうな視線を向けると、僕の体をぎゅっと抱きしめた。 「……っ」 彼の腕の中にいると、すごく幸せだ。 だけど、それと同時に心臓が破裂してしまいそうな程ドキドキする。 「……僕…、その、小鳥遊さんの…体温が…好き、で…」 そろそろと彼の背中に手を回すと、きゅっとブレザーを握りしめる。 「…それで、安心して…眠っちゃって、その……」 そこまで言いかけると、不意に小鳥遊さんの体が離れる。 やっぱり変なこと言っちゃったかな、なんて思ってると次の瞬間――。 「んん…っ」 僕の視界は、小鳥遊さんしか映さなくなってしまった。 重なった唇の隙間から、彼の舌が僕の口内へ侵入してくる。 「んんぅ……っ」 「もっと…口開けて、舌を出して…」 「は…ふ、ふぁい…」 言われた通りにすると、小鳥遊さんは満足そうに微笑むと再び僕の唇をふさぐ。 「ん……っ、んん……っ」 「……ん、良い子」 そう言って、僕の頭を撫でる。 その手つきが気持ちよくて、つい目を細めてしまう。 「……ん、……はは、また蕩けた顔をしている。……ほんとうに、可愛い」 「んん……っ」 そして、再び唇を重ねる。 何度も、何度も。 角度を変えて、深さを変えて。 「たかなし、さ…ん」 「うん?」 「……すき、です……」 気が付くと、僕はそう口にしていた。 すると、小鳥遊さんは驚いたような表情を見せると、すぐに嬉しそうに微笑んでくれる。 「俺も、好きだよ」 そう耳元で囁くと、小鳥遊さんは僕の耳を軽く食む。 「……っ」 「だから、……もうちょっとだけ付き合ってね」 そう言うと、彼は僕の制服のボタンを外していく。 「え、あ……っ」 「大丈夫、恥ずかしくないよ。ここには俺がその都度許可した人間しか入れない。たとえ先生であってもね」 露わになった胸元を、指先でなぞられる。 「あ……っ、や、そこ……だめぇ……」 「どうして? ここ、好きでしょう?」 「ひゃううっ!」 人差し指が、僕の乳首に触れた。 それだけで、電流が流れたかのようにびりびりと甘い感覚が全身に走る。 「ほら、こんなに固くなって……触ってほしいって言ってるみたい」 「あぁあっ! ちが……っ、あぁっ!」 反射的に口ではそう言ってしまうけれど、僕は小鳥遊さんに触れられるたびにぞくぞくして…もっと、もっと触れてほしいと…思ってしまう。 くりくりと、親指と中指で摘ままれると僕はたまらず声を上げる。 「あ、あ……っ! それ、……きもち……ぃ……っ!」 「……いいこ」 小鳥遊さんはそう呟くと、今度は反対側を口に含む。 「あ、あ……! あぁ……っ」 ちゅぱ、と音を立てて吸い上げられると僕はたまらないといった様子で声を上げた。 「あ、……ああ……っ! は、……ああ……っ」 「……はは、すごいな。……君の声を聞いているだけで、頭がくらくらする」 「え……? なに……?……んんっ」 聞き返すと、僕の頬に軽くキスをしてはぐらかす。 「なんでもない。……それより、今日はいつもより敏感だね。もしかして、昨日もシてなかったのかい?」 「……っ!」 図星をつかれて、僕は思わず息を呑む。 「あー……。ごめんね。深い意味はなかったんだけど……。でも、そっか。……なら、今日はたくさん可愛がってあげないとね」 「………………」 僕は何も言わずに小鳥遊さんを見つめる。 「どうしたの?」 「……いえ、その……」 「ん?」 不思議そうに首をかしげる小鳥遊さんから視線を逸らすと、もごもごと小声で僕は答えた。 「……今日は、その……いっぱい、してほしくて……」 最近、忙しそうだったから…と付け足すと不意に小鳥遊さんの様子が変わったような気がした。 そして、そう気づいたのもつかの間…ぐいっと腕を引っ張られると勢いよくソファに押し倒されてしまう。 「んあ…っ た、小鳥遊さん…?」 「……それで、最近全然ここに来なかった…、ってこと?」 「え?あ、は――」 はい、と答えかけたその時。 突然、首筋に鋭い痛みが走る。 「んっ、ぐ、ぁ…っ?!」 小鳥遊さんが、強く僕の首筋に噛みついていた。 痛い、のに…歯形がついた辺りを舌先で舐められるとそれは一気に強い快楽へと変わり僕の全身を駆け巡る。 「悪い子だな。勝手にそんなことして…」 今度はさっきよりも弱い力で、首筋に噛みついてくる。 「俺はどんなに仕事があったって、君さえいればそれで…すべて忘れられる。ねえ、君は俺に会えなくて…なんともなかったの?寂しくなかったの?…………俺のことなんか忘れて、他の男と仲良くしてたんじゃないの? 俺が疲れてるのを知ってて、それでも俺に内緒で……」 「――っ」 小鳥遊さんの言葉に、僕は瞼の奥が熱くなってぎゅっと目を瞑る。そして、全力で首を左右に振る。 (そんなことない! そんなことしない! 僕には小鳥遊さんしかいないのに…っ)そう言いたくても言葉にはならなくて、嗚咽のような小さな声だけが漏れた。 すると、小鳥遊さんの指先が僕の頬に伸びてきた。 「……冗談だよ。……ごめん、少し意地悪しすぎたかな。でもね、でも…そんなことを考えてしまうくらい…俺は、君が…必要なんだよ」 「……っ、たか、なし…さん……」 「泣かないで。……ほら」 そう言って、僕の涙を拭ってくれる。 「……ごめん、なさい」 「うん」 「……本当は、本当は…小鳥遊さんに、会いたかったです」 「うん」 「……でも、邪魔だって思われるのが怖くて…ずっと、我慢してました」 「うん」 「……だから、その……」 「うん?」 うるんだ瞳はそのままに、僕は小鳥遊さんを見上げる。 そして、ブレザーの裾をぎゅっとつかんで軽く引っ張ると勇気を出して、口を開いた。 「……もっと、……触ってほしいです」 「……っ」 すると、小鳥遊さんは驚いたように目を見開いたけど、すぐに嬉しそうに微笑んで僕の唇を塞いだ。 「……っ、ふ……っ、ん……っ」 舌を絡めながら、小鳥遊さんの手が僕のシャツの中に入ってくる。 「あ……っ」 「……ん、……可愛い」 首筋にチュウ、と吸い付きながら小鳥遊さんの指は再び僕の乳首を探り当てこねるような動きで弄ぶ。 「ふぁ、たかなしさ…ん…っ」 「ん?」 「……好き、……好きです……」 「俺も、好きだよ」 両方の乳首を同時に摘ままれると、僕はたまらず声を上げる。 「ふあぁんっ あっそれ、だめ…」 そして、そのまま片方の乳首が小鳥遊さんの口に吸いこまれるとビクッと腰が跳ねるとチカチカと目の前が真っ白になる。 「やっ、吸っちゃ、ダメぇ……っ ああんっ」 ちゅうちゅうと強く吸い上げられているうちに、下半身にもじわじわとした感覚が広がり始めて…。 (あれ……?) そこでようやく気付いた。……いつの間にか、ズボンの前がきつくなっていたことに。 けれど、それに気づいた途端、また恥ずかしさがこみ上げてくる。 ……こんなところで感じてしまうなんて、やっぱり僕って…変態なのかな…。 「……ここ、苦しそうだね」 「ひゃあっ!?」 なのに、小鳥遊さんは容赦なくそこをきゅっと握り込むように触れてきて僕は悲鳴を上げてしまった。 そんな僕をよそに小鳥遊さんは手際よくベルトを外し、チャックを下すと、彼の手が下着の中へと入りこんできて直接僕のモノに触れる。 「あぁっ! だ、め……っ!」 「どうして? 気持ちいいでしょう?」 「だ、だって……っ! あぁっ! あ、あぁっ!」 小鳥遊さんは、僕の反応を楽しむかのように手を動かす。 「たかなししゃ…っ ふっ、あぁっ あっ あっ」 我慢できずに、小鳥遊さんの手の動きに合わせて腰が揺れてしまう。ダメ、ダメだってわかってるのに我慢できないよ…。 「ああ……っ あ、あ……っ あ――っ!」 「……っ」 びくん、と身体が震えて僕は呆気なく達してしまった。 はあはあと肩で息をしていると、小鳥遊さんは僕の耳元に顔を寄せて囁いた。 「……充希、かわいい…」 「はぁ……は……っ あ……」 「……ねえ、このまま挿れてもいい?」 「え……?」 「……君の中に入りたい」 その言葉は、僕にはあまりに刺激が強すぎて…首まで真っ赤に火照るだけでうまく言葉にならない。 けれど、「だめ?」とたずねられると僕は反射的に首を横に振る。 それを確認すると、小鳥遊さんは優しく微笑んで一度僕の瞼に口づけた。 「ありがとう。……じゃ、ちょっと待ってて」 「……?」 一体何だろうと思っていると、小鳥遊さんは僕の両足をぐいっと持ち上げると、僕のお尻の下に自分の膝を差し込んで、僕の足をソファの背に引っ掛けた。 「え?」 そして、小鳥遊さんは器用に片手でネクタイを外すと、僕の両手を頭の上で縛り上げる。 「あ、あの…小鳥遊さん…?どうして…」 「……これでよし。 …君はすぐ、顔を隠そうとするからね。いつもは気にしないようにしていたけど…今日は、お仕置きもかねてるからね。だから、こうやって隠せないようにしたんだよ」 「おし、おき……」 「そう、お仕置き。君がもう二度と、勝手に俺から離れないように」 ネクタイはがっちりと縛られていて、ほどけそうにない…。でも、彼の口から発せられた「お仕置き」という単語は、酷く甘い響きを含んでいて…身震いを覚えた。嬉しい…?そんな、まさか…。 僕がそんなことを考えていると、不意に熱っぽい声音で名前を呼ばれ僕は思考が途切れる。 「……充希」 「あ……」 「俺のことだけ考えてて」 そう言って、小鳥遊さんは僕の唇を塞いだ。 「ん……っ んんっ」 「ん……」 小鳥遊さんの舌が、僕の口腔内(こうくうない)蹂躙(じゅうりん)する。 歯列(しれつ)をなぞられて、上顎をくすぐるように舐められると、僕はそれだけで頭がくらくらしてしまう。 「んっ んん……っ」 「ふ……っ ん……」 しばらくすると、キスをしながら、小鳥遊さんの指先が僕の秘所を探り当てると、ゆっくりと中に入ってきた。 「んんんっ」 「は……、痛い?」 「ふ…っ、んう…っ だ、じょう、ぶ……っ」 首を左右に振る。…だって…今までもたくさん…小鳥遊さんがほぐしてくれていたから…。 僕がとろけた表情で答えると小鳥遊さんは安心したように微笑んで再び僕の唇を塞いだ。 「んん……っ んっ んんっ…」 そして、小鳥遊さんの指先は、僕の中の感じる場所を探し当てると、そこを集中して攻め始めた。 「ふぁあっ あっ ああっ」 「ここ、好きだよね?」 「んっ うん……っ 好きぃ……っ」 「ふふ、可愛い」 「あっ あぁっ あぁんっ」 指を二本に増やされて、ぐりぐりとそこを攻め立てられると僕はたまらず腰を揺らす。 「あぁっ あっ たかなししゃ……っ もぅ……っ」 「……いいよ、イッて」 「あぁっ あぁっ あぁ――っ!」 びくんと身体が跳ねると、僕は二度目の絶頂を迎えた。 ……でも、まだ終わらない。 「あ……っ ま、まってぇ……っ」 「ごめんね、もう待てない」 小鳥遊さんはそう言うと、三本目の指を追加してさらに激しく抜き差しを繰り返した。 「あぁっ らめっ イったばっかだからぁ……っ」 「充希……」 「やぁっ あっ ああっ!」 小鳥遊さんは、僕の中をかき混ぜながら、何度も名前を呼ぶ。 「充希、充希……」 「あっ あっ あっ あっ」 「充希……可愛い、本当に…可愛いよ…」 「ああぁ――っ!!」 ビクビクと身体が震える。 小鳥遊さんは、最後にもう一度僕の中を強く擦ってから、ようやく指を引き抜いた。 「はぁ……はぁ……はぁ……っ」 「充希、大丈夫?」 そう言って僕の頬をゆっくりと、優しくなでる。 その問いに答えるように僕は、息が整い切らないうちに応えるように頬をすり寄せる。 「はぁ……は……っ ん…………だいじょ……ぶ」 「……良かった。じゃ、挿れるよ」 その言葉で、お腹の奥がズクズクとうずく。あぁ、僕は…期待してるんだ。 今から、小鳥遊さんのおちんちんにズボズボされるって思うだけで…。 「あ……っ はやく……きて……たかなししゃん……っ」 僕ははしたなく足を広げて、ひくつくそこに手を添えて広げて見せる。 すると、小鳥遊さんはごくっと喉を鳴らしてから、ズボンの前を寛げて自身を取り出した。 それはすでに大きく反り返っていて、血管が浮き出ているのがわかる。 「充希……」 「あ……っ」 小鳥遊さんは僕の腰を掴むと、自身の先端を入り口に押し付けてきた。 「んっ」 僕は、早く、と急かすように彼の首に腕を回す。 「はぁ……っ あ……っ はやく……はやく……っ」 「……そんなに焦らないで」 そう言うと、僕の額にキスをする。 「ゆっくり、ね」 「はあ……っ は、い…」 小鳥遊さんの言葉に、僕は素直にうなずいた。 彼の先端が、ヌチヌチと音を立てて入り口を撫でている。そして、少しすると、徐々に埋め込まれていき…その間、小鳥遊さんは僕の秘部を指で押し広げるようにクニクニとマッサージをしていた。 「んん……っ あ、あ……っ」 「……痛い?」 「ううん……へいき……っ あ、あ……」 「そう。……もう少しで全部入るから」 「ん……っ」 小鳥遊さんがそう言った直後、僕の中に熱いものが侵入してきた。 「んあっ…! は… ふ…」 「……っ」 小鳥遊さんは、一度動きを止めると、僕の唇にキスをする。 「ん……ふぅ……っ」 「は……、充希、力抜いて……」 「ふぁ……っ は、はあ……っ」 小鳥遊さんの言う通り、深呼吸をして力を抜くと、僕の唇を舐めて、それから舌を絡めた。 「んん……っ ん……」 「ん……」 そして、僕がキスに夢中になっている間に、小鳥遊さんのモノが僕の奥まで入り込んだ。 小鳥遊さんのモノは、僕の中に入ると、すぐには動かず、馴染ませるようにゆっくりと腰を動かす。 中で動くたびに、僕のお腹の中がきゅんきゅんと疼いてたまらない。 もっと、動いてほしい。 そう思って、僕は無意識のうちに小鳥遊さんの動きに合わせて腰を動かしていた。 それが伝わったのか、小鳥遊さんは小さく笑うと、僕の耳元で囁く。 「…本当に…待ち遠しかったんだね。うれしいな」 そして、ゆっくりとした動作だった小鳥遊さんのモノが、突然激しく僕の中をかき混ぜ始めた。 パンッ パンッ と、肌を打つ音が部屋に響く。 小鳥遊さんは、僕の足を肩にかけて、さらに深く僕の中を突き上げた。 激しいピストン運動に、僕の口からは意味のない言葉しか出てこない。 そして、小鳥遊さんは、僕の一番感じる場所をぐりぐりと突き上げる。 「んあう……ッ! ひ、あぁ…っ」 その瞬間、目の前にチカチカと星が散って、僕はまた絶頂を迎えた。 しかし、それでも小鳥遊さんは腰を止めない。 それどころか、さらに激しさを増して、僕の弱いところを攻め立てる。 僕はもうされるがままで、ただ声を上げることしかできなかった。 「あっ あっ んんっ たかなししゃ…ったかなししゃ…!!」 「ん… 俺も、一度出そう…いい?」 僕は夢中で首を縦に振る。 「あっあっ らして……ぼくのなかに……らしてぇ……っ」 「く……っ」 すると、小鳥遊さんは一際強く僕の最奥を突くと、そのままそこで精を放った。 ……同時に、僕の視界にも再び白い星が舞う。 「あ……っ ああぁ―――――――っ!」 おなかの奥に広がる熱さに僕は震えた。 はぁはぁと荒い息を繰り返す僕に、小鳥遊さんは優しくキスをする。 「……ごめん、中に出しちゃった」 「ん……らいじょうぶれす」 「ふふ、本当に大丈夫?……まだ呂律回ってないけど」 小鳥遊さんが苦笑する。……でも、そんなことも気にならないくらい僕は小鳥遊さんと一つになれたことが嬉しくて幸せで、つい顔が緩んでしまう。 小鳥遊さんが愛しい。大好きで、大切で……。 「ん……」 小鳥遊さんの首筋に、そっと唇を寄せる。 すると、小鳥遊さんも僕の背中に手を回してくれたので、遠慮なく抱きついた。 「ありがとう、充希……」 そう耳元で囁く小鳥遊さんの声はすごく優しくて、暖かくて…僕は力が抜けていくのを感じる。 が、次の瞬間。 「ひゃう…っ!?」 ズブリ、と奥深くまで一気に押し込まれた。 「あ……っ なんれ……っ」 「充希が可愛いから、また勃っちゃった」 そう言って小鳥遊さんは、僕のお尻を掴んで、腰を揺らし始めた。 「やぁ……っ いま、イって……ひう……っ」 「うん。だから、もう一回だけ」 「んあっ あ……そんなこと、いって…っいつも、一回じゃ、おわらな……」 「んー?」 そんなこと知らないとでも言いたげに、容赦なく小鳥遊さんのモノが激しく出たり入ったりを繰り返す。 時折、前立腺をゴリゴリと刺激されるたびに僕は射精をしてしまう。 そんなことを繰り返すうち、小鳥遊さんもそのことに気づいたらしくそこからは前立腺を集中的にいじめるような動きに定まっていった。 当然、僕はといえば絶頂感が継続的に襲い来るため理性なんてほとんど残っていない。 漏れるままに甘ったるい声を惜し気もなくあげる僕を、小鳥遊さんはうっとりとした表情で見つめていた。 「はあ……っ かわいいよ、充希……」 「あっあっ たかなししゃ……っ きもち……っ きもちぃ……っ」 「ん……もっと気持ちよくなって」 小鳥遊さんはそう言うと、僕の両足を抱え直した。そして、そのまま僕の体を折り曲げるようにして上から体重をかける。 「んあぁ……っ!」 今までとは違った角度から攻め立てられ、僕はビクビクと痙攣するように体をしならせた。 すると、小鳥遊さんは、今度は僕の首筋に舌を這わせる。 「ん……」 そして、その舌はそのまま僕の胸元へと降りていき、ピンと立ち上がった乳首をチロチロと舐め始めた。 同時に、小鳥遊さんの腰の動きが一層激しくなる。それに合わせて、僕の中もきゅんきゅんと小鳥遊さんのモノを締め付けた。 そして、小鳥遊さんが僕の一番奥まで入り込んだところで、再び精を放つ。 それと同時に、僕の意識は闇に落ちていった。 04/今日は帰さない ◇◇◇ 目を覚ますと、僕は小鳥遊さんの腕の中に包まれていた。 「小鳥遊…さん?」 目元をこすりながら見上げると、ちゅ、と音を立てて優しい口づけをされる。そしてそのまま、ぺろりと唇をなめられた。 「んっ」 「おはよう、充希」 小鳥遊さんは、にっこりと笑う。 それにつられて僕も笑顔を浮かべた。 そして、ふと視線を窓に向けると、外はもう真っ暗だった。 え……あれ? 今何時だろう? そう思って時計を探すと、壁に掛けられた時計は20時をさしていた。 「は、8時…!? わ、ご、ごめんなさい小鳥遊さん、僕…!」 「はは、気にしないで?俺も、君の寝顔がかわいいからずっと見ていたかったんだ」 「へ……」 小鳥遊さんがあんまりしれっというから、僕はどんどん顔が熱くなる。 「…でも、ずっとみていたら。こうして、ずっと…君のにおいや体温を感じていたら…帰したくなくなってきちゃった」 まるで追い打ちでもかけるかのように、僕の耳元でそう囁くと耳たぶを甘く食む。そして、耳の穴に口づけると舌を滑り込ませる。 ニュルニュルとした感触が、再び僕の体にとろけるような強い快楽を思い起こさせる。 「あっ は… 小鳥遊さ…っ あ、や…んう…」 小鳥遊さんは何も言わずに僕の肩を抱き寄せ、奥へ奥へと舌を挿し込む。 耳の奥から、いやらしい水音が広がってクラクラするようなフワフワするような感覚にとらわれる。 ああ、だめだ。 また、欲しくなってしまう。 この人に、愛されたくなってしまう……。 そんなことを思っているうちに、小鳥遊さんの手がするすると僕の体を撫でていく。 脇腹をなぞられ、おなかを撫でられるとそれだけで体が反応してしまう。 そして、小鳥遊さんはそんな僕に気づいてクスクスと笑みをこぼすと耳元で囁きながら下腹部をスルスルと撫でまわす。 「ねえ充希…。あと10分もしたら、家の人間が車で迎えに来る。だから、ね?」 小鳥遊さんの手が、ベルトがゆるめられたままの僕のズボンの中に滑り込み…僕のものに直接触れた。 そして、亀頭を手のひらで撫でまわす。それがすごくもどかしくて…、でも、その緩やかな快楽が今の僕には心地よくもあって。 「一緒に帰ろうよ。今日は、俺の家に泊まろう?ちょうど明日から冬休みだし…もっと…もっと、二人きりで愛し合おう?」 「あっ は、う…っ んあ……っ」 僕が快楽に飲まれながらも、コクコクと必死に頷くと小鳥遊さんは満足げに目を細めて微笑んだ。 「それじゃあ、あと10分…迎えの車が来るまでは…こうやって、君を気持ちよくしてあげる。さ、君の…充希の気持ちよくなってとろけちゃう姿を…俺に見せて?」 小鳥遊さんはそう言うと、僕のものをゆっくりと上下に擦り始める。 そして、僕はその手の動きに合わせて、甘い声を漏らしながら腰を揺らし始めた。 「あっ、ふ…、んあ、あっ あっ あっ」 「あぁ…本当にかわいい… ずっと聞いていたい。好きだよ…愛してる、充希…」 それからは、小鳥遊さんが満足するまで僕は何度も絶頂に導かれ……、そして、とうとう迎えに来た車の音でようやく解放された。 <Fin>

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