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Episode02「いつもの場所で」

雨に包まれた冬の放課後。 僕は、静まり返った旧校舎の廊下を一人歩いていた。 そして、ある教室の前で止まると数回ノックをする。 すると、それに応えるようにノックが返ってくると僕はそっと扉に手をかけゆっくりと開いた。 ―――ガラララ。 そう音を立てて開き、数歩中へ入った時だった。 「…やっときた」 入り口のそばの、教室の角にいたらしいその人に、ぎゅっと抱きしめられる。 「びっくりした…! 先輩、先に来てたんですね」 「うん、委員会早く終わったから」 そう言うと先輩は、薄く笑みを浮かべる。 その姿はオレンジ色の夕日に照らされて、どこか幻想的で…思わず息をのむ。 この人は、東 孝弘(あずまたかひろ)先輩。ひと学年上の先輩で…僕の…大好きな人だ。 僕たちはいつも、放課後になるとこの廃校舎の教室で待ち合わせをする。 別に深い意味はないけれど、一瞬でも二人きりになれる時間が欲しくて…毎日こうして、少しさびれた誰もいない校舎の教室で落ち合うことになっている。 「良くん?どうかした?ボーっとして」 「あ、えっと… 夕日!夕日が綺麗だなって…」 我ながら苦しい言い逃れだと思う。 でも、先輩はといえば「ふうん」と呟いて窓の外を見つめていた。 けど、それもほんの少しの間で再びくるりとこちらを向くと薄く笑う。 「…ああ、そういうことか」 先輩はそう言うと、僕の頬に手を伸ばす。そして、優しく指の腹でなぞるように撫でると鼻先が触れ合うほど先輩の顔が近づいて…ピタリ、と留まる。 「あ、の…」 「…君の瞳に、夕日が反射してる。宝石みたいにキラキラして…すごく綺麗だ」 そういう先輩の声は、心なしか甘く…熱っぽくて。ごく、と喉を鳴らして体を強張らせていると目を細め…そっと唇が重なった。 僕はたまらずギュッと瞼を閉じる。 そんな僕をよそに、先輩は舌先で唇をなぞるとゆっくりとねじ込んでくる。 「んっ…………」 「…………」 静かな空間に響く水音がやけに大きく聞こえてきて、恥ずかしくてたまらない。 けれど、それと同時に気持ち良くもあって……。そうして僕は頭がぼーっとしてきて何も考えられなくなる。 しばらくして、ようやく先輩が離れていった時にはもう……息も絶え絶えになっていた。 「はぁ……せんぱ…い…」 「…可愛い。…もっと、しよ」 そう囁くと、僕の耳にチュッと口づける。 すると僕は驚いて、「ひゃっ」と大きな声が出てしまった。 「耳、弱いよね。相変わらず」 クスリと笑いながら先輩はそう言うと、今度は首筋にキスを落とす。 そして、再び…僕たちは口づけを交わしていく。 最初は、チュッ…チュッ…っと軽く優しいもので。僕はそれがすごく嬉しくて、必死にこたえようと口を開くとぬるりと先輩の舌が入り込んでくる。 それを迎え入れるように自分のものを差し出すと絡め取られ、強く吸われる。 口の端からは飲み込みきれない唾液が溢れ出て、僕はどうしたらいいのか分からなくて……ただされるがままになっては、言葉にならない甘ったるく短い声を何度も上げる。 「良くん……好きだよ」 そう言って微笑む先輩を見て、与えられ続ける快楽に涙を浮かべながら僕も自然と笑顔になる。 ――ああ、幸せだ。 先輩がそばに居てくれるだけで……それだけでこんなにも幸せなのだから。 ――ずっとこのまま、時間が止まればいいのに。 なんて、叶うはずもない願いを抱きながら……先輩との時間を噛み締めていた。 そして僕はギュッと、先輩のセーターにしがみつく。すると、先輩が僕の腰に手を回すと支えるかのように抱き寄せる。 けれど、口づけは一層深く激しくなるばかりだ。 舌先で僕の歯列をなぞり、上顎を刺激してくる。 その刺激に僕の体はビクビクと震え、やがて先輩はそっと唇を離すと額同士をくっつける。 「はぁ……はぁ……」 「俺とのキス、気持ちいい?」 そう言うと、先輩はすぐにもう一度唇を重ね、深く深く…かぶりつくように唇を合わせ掻きまわすように舌を絡ませる。 「んっ……」 「良くん……、良くん」 名前を呼ばれるたびに、胸がキュッと苦しくなる。 先輩が触れる場所すべてが熱を持って、体中が火照って……もっともっと先輩を感じたくて……。 それを知ってか知らずか、先輩の手が僕の腰を優しく撫でまわす。 その感覚がたまらなく心地よくて、僕は思わず「あっ……」と小さく声を漏らした。 「……本当に可愛い。もっと…感じてみせて」 そう言うと、先輩は僕の手を取って自らの胸に引き寄せる。 ドクンドクンと、早いリズムで刻まれる心臓の音を感じながら先輩を見つめていると、再び唇が重ねられた。 「聞こえた?俺の心臓の音。良くんがかわいくて…こうなっちゃうんだよ」 僕は恥ずかしくなって、俯くとギュウ…と抱きすくめられた。 そして、彼の優しい手が僕のカーディガンの下へもぐりこむと指先でなぞるように背中をなでる。 ゾワリとした感触に思わず「あ…っ」と声が漏れると、先輩は僕の耳元で「かわいい」と呟いた。 そして、先輩の手は僕のワイシャツをつかみゆっくりと引っ張りズボンから出す。そして…直に僕の肌に触れる。 「せ、先輩…」 「…君の体、熱くて気持ちいいね」 そう言うと、先輩は僕の肌に指先を這わせ、そしてゆっくりとなぞるように動かす。 時折、思い出したかのように口づけられれば僕はもうどうしようもなくて……。 気づけば、僕は抗うこともなくただギュウっと彼の胸にしがみつくように抱き着いては与えられる微かな快楽に耐えるだけだった。 「ねえ、もっと触ってもいい?」 「あ…、は…、い…っ」 言葉を紡ぐ余裕も全然なくて、力いっぱい頭を縦に動かすことで頷くと先輩は満足げに目を細めて微笑む。 それから、先輩の指先がゆっくりと下に降りていくとズボンの中へと滑り込んだ。 「あ……先輩、そこは…」 「……はは、油断大敵」 先輩はそう言って優しく微笑むと、そのまま下着の中にまで入り込む。 そして、僕のモノをそっと握りこむとゆっくりと上下に動かし始めた。 「ん…っ」 「……気持ち良い?じゃあ、もっと……気持ち良くしてあげる」 そう言うと、先輩は僕のズボンと下着を足首までずらす。 「あ……先輩……」 「ごめんね、ちょっとだけ我慢して」 そう言って、先輩は僕の足の間に体を割り込ませると僕のモノを口に含んだ。 生暖かい口内に包まれ、舌先で先端を刺激されると僕はたまらず声を上げる。 「……っ先輩、ダメです……そんなところ……」 「ん……俺の口の中、気持ち良くなかった?」 「いや、あの……その……、きもち、いい……ですけど……」 僕は恥ずかしさのあまり顔を背ける。 すると、先輩はクスクス笑いながら「良かった」と言って再び口に含み、徐々に動きを早めながら刺激を与え続けていく。 僕の口からは熱い息と、快楽に満ちた声が絶え間なくこぼれてしまう。 「……良くん、ここ好きだよね」 そう言って、先輩は僕の裏筋を舌先でなぞりながら刺激してくる。 「……っ」 「ほら、ビクビクしてきた。気持ち良いんだね」 そう言いながら、先輩はさらに強く吸い上げながら上下させる。 僕はもう限界で、何かがこみ上げて来るのを感じる。 「先輩っ…先輩……っ、僕、もう……っ」 「……うん、イっていいよ」 先輩はそう言うと、今までよりも強く吸い上げた。 その瞬間、僕の体はビクビクと震えて……そして、一気に絶頂へと押し上げられてしまう。 そうして僕は、一際声を張り上げて体をしならせた。けれど先輩はグッと腰を掴んだまま、深くくわえ込み喉奥できつく締め付ける。 ―――ドクドク、ドクン…ッ 先輩は、僕が勢いよく吐き出したそれをゴクリと飲み干すと僕のものから口を離す。そして、小さく舌なめずりをすると「……ごちそうさま」と妖艶な笑みを浮かべた。 「はぁ……はぁ……」 「俺の口だけでトロトロになっちゃったんだね、…すごく可愛かった」 「…………先輩」 優しく微笑む先輩を息を整えながら見つめていると、彼はゆっくりと立ち上がり耳元で囁く。 「……ねえ、今度は俺のこと気持ちよくしてくれる?」 そう尋ねる先輩に、僕は…何も言わず真っ赤な顔でコクリと頷いた。 ◇ 先輩は、背が低い僕の為に椅子に腰を下ろしてくれた。 僕はそんな彼の前で床に膝をつき、先輩のベルトを緩める。 その手は、緊張のせいか震えてしまって少し…手間取ってしまった。 そんな僕を眺めながら、先輩は何も言わずただ優しく僕の頭をなでてくれる。 やがて、ズボンの前を開けるとすでに大きく膨らんだそれが目に入る。 ドクンドクンと脈打つそれは、僕のよりも大きくて……とてもじゃないけど全部なんて口に入らないだろう。 でも、僕は先輩に喜んでもらいたくて……口を大きく開けて、ゆっくりと口に含んでいく。 先輩の匂いと味が口いっぱいに広がる。 頭の奥からじんわりと痺れて…クラクラしてしまいそうだ。 「…大丈夫?」 こくん、と頷くと僕は瞼を閉じて舌先を先端に滑らせる。 そして、そのままゆっくりと口の中で上下させると先輩が息を呑む気配がした。 チラリと上を見上げると、頬を赤く染めながら僕のことを見つめる先輩の姿が目に映る。 その表情を見ただけで、僕の心は満たされる気がして。 だから、もっと……先輩に気持ち良くなってほしくて……先輩が僕にしてくれたことを思い出しながら、僕はゆっくりと頭を動かし、舌先で先端を舐めまわす。 次第に先走りの液があふれてきて、僕は夢中でそれを吸い上げた。 そして、そのまま頭を動かしていると、先輩の手が伸びて来て僕の頭を撫でる。 その手が、何だか心地良くて……。 僕は、もっと……と強請るように彼の手に頭を擦り付けた。 すると、先輩の手は僕の頭を優しく掴み、そして……ゆっくりと前後に動かし始め、先輩のモノが僕の口の中を犯していく。 最初は苦しくて、口いっぱいに頬張ることもできなかったけど……今はもう、大丈夫だ。 今はただただ、先輩に求められているというこの現状が…幸せでたまらないのだ。 そんなことを考えていると、僕の頭に添えられていた先輩の手が僕の後頭部を掴むと、そのまま強く押し込んだ。 そして、僕の喉奥に先輩のものが突き刺さった。 僕は、一瞬呼吸ができなくなって……思わず咳き込むけれど先輩の手は止まることを知らない。 僕の口の中を、先輩のものが激しく出入りする。 その度に、グチュグチュと水音が響き渡り、僕の口からは苦しそうな声が漏れた。 それでも、僕は歯を立てないように必死で舌を動かす。 そうしているうちに、先輩の動きが早くなって僕は先輩のものをギュッと握りしめるとそのまま一気に喉の奥まで迎え入れた。 その瞬間、先輩は小さく声を上げながら僕の中に吐き出した。 その熱さに、僕もまた体がビクビクと震えるのを感じながら喉を数回鳴らしながら注がれた欲望を飲み込んだのだった。 すると先輩は僕の口からモノを引き抜くと、優しく僕の背中をさすってくれる。 そして、そっと僕の頭をなでると、 耳元で囁くように言う。 「――大好きだよ、良くん」 咽(むせ)てたね、ごめんね。なんて言いながら、僕の首元を優しくなでるとチュッと軽い口づけをしてくれる。 その優しい手つきに、僕は嬉しくて……幸せな気持ちになる。 だけど、そんな僕の心を…… 先輩は、再び快楽の底へと沈めた。 先輩は僕のズボンと下着をはぎ取ると、両足を広げて持ち上げる。 恥ずかしい格好に僕は顔を真っ赤に染めるが、先輩はクスリと笑うと、僕の後ろに指を這わせる。 そして、ゆっくりと中に指を侵入させてきた。 一本、二本……と徐々に本数を増やしていき、やがて僕の中は先輩の指を三本も飲み込んでしまった。 クチュクチュと卑猥な音を立てながらかき回される。 僕は、そのたびにビクビクと体を震わせてしまうけれど、先輩はそんな僕の様子をうかがいつつさらに指を深く入れてバラバラと動かす。 そして、ある一点に触れた時……僕の体は大げさなくらいに跳ね上がった。 先輩は、それを見て満足そうに微笑むと、そこばかりを執拗に攻め立ててくる。 「ここ、好きだもんね。ほら、こうやってコリコリすると… はは、すごい反応」 僕は、もう何も考えられなくて……ただただ喘ぐことしかできない。 いつの間にか、先輩は僕の前も一緒にしごき始める。 そんなことをされたら、すぐにでもイってしまいそうになって、(――嫌だ、先輩と一緒に……っ )そう思うのに……体は言うことを聞かない。 先輩の綺麗な微笑みに見守られながら、僕は先輩の手の中へ吐き出してしまった。 すると、先輩は僕の中から指を抜き去り、自分のものを取り出して……僕の後ろにあてがう。 それだけで、僕のそこはヒクついて……まるで早く欲しいと強請っているようで…僕は、その事実に顔から火が出そうになる。 でも、先輩は……そんな僕を見ながらゆっくりと腰を押し進めていく。 少しずつ入ってくる先輩のものに、僕はまた息ができなくなってしまう。 苦しいけれど、痛くはない。こうして先輩と体を重ねるのは…初めてではなかったから。 ……不思議と、先輩とこうしていると僕の中にある何かが満たされていく気がして、僕はゆっくりと息を吐く。 そして、すべて入り切ったところで先輩はゆっくりと動き始めた。 最初は、ゆっくりと……次第に激しく。 その度に、僕は息も絶え絶えになりながら先輩を呼ぶ。 先輩の腰の動きが速くなっていき、僕もまた、それに合わせるように声を上げる。 そして、僕がもう限界だと思った瞬間……先輩はグッと最奥まで押し込むと、抱き込めるようにして僕の耳元に唇を寄せる。 「好きだよ、良くん」 その直後、一番深いところで先輩の熱いものが勢いよく吐き出された。 ドクンドクンと脈打つ先輩のモノを感じながら、僕はそっと目を閉じると先輩は僕の頭を撫でて、そのままゆっくりと抱きしめてくれる。 そして、僕の耳元で囁くように言った。 「好き、大好きだよ。ずっと君とこうしていたい…君だけを見ていたい」 その言葉が、僕の心を満たしていく。 だから、僕は精一杯のお返しとして…先輩の首に腕を回し抱き寄せるとチュッと触れるだけのキスをする。 「……っ僕も、…です…よ?」 先輩は一瞬面を食らったような表情を浮かべた後、ゆるやかに満面の笑みを浮かべた。 (――あぁ、やっぱり……僕はこの笑顔が好きなんだな) 僕は、そんなことを思いながら先輩にもう一度口づけをした。

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