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第8話
「だから……。あいつは、そんなんじゃないって」
自分でも、赤くなるのがわかった。
(どうして、こういう流れになるんだよ……)
俺は、オメガとの一般的な接し方を教わるつもりだったのに。これじゃまるで、俺が恋愛相談をしてるみたいじゃないか。
「そうか? 俺はまたてっきり、お前がオメガの口説き方に悩んでいるのかと思ったぞ。ま、違うと言い張るのなら、助言は差し控えるが」
父さんは澄ました顔で、そんなことまで言い出した。
(誰が、口説き方に悩んでるって……?)
俺は、キッと父さんを見返した。仕返ししてやりたくなったのだ。
「へえ。父さんて、そんなに経験豊富なんだ? 参考までに、教えてよ。結婚前、一体何人のオメガと付き合ったのさ?」
少しは動揺するかと思いきや、父さんは感心したような顔をした。
「お前のそういう所、母さんにそっくりだなあ。すぐ照れる上に、それを隠そうとしてムキになる」
「はぐらかさないでよ」
俺は、口をとがらせた。
「俺に助言できるくらいなんだから、さぞかしすごい数のオメガを口説いてきたんじゃないの? 今日は母さんいないんだし、本当の所を教えてよ。別に俺、告げ口なんかしないよ?」
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