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第7話 夢の中で。 ※注意
俺の身体がゆらゆらと宙に浮いている感じがするから、俺は夢を見ているんだろう。
鼻腔を、清涼感を感じなからも甘味のある、とても良い匂いがくすぐる。
俺、この匂い好きだなぁ。
あれだ、さくら組の陽くんちの柔軟剤の匂いに似ている。最近、雄吾も柔軟剤変えたって言ってたっけ。
俺の左半身が暖かい。この、覚えのある揺れは…。俺は誰かに抱っこしてもらって運ばれているみたいだ。
「雄吾?。お姫様抱っこは嫌だって、いつも言ってるだろう?。」
俺は、足をバタバタさせて文句を言う。
「ゆうごとは、だれだ?。おまえの恋人か?。」
「え、雄吾じゃないっ。誰??。」
俺は、慌てて目を開けようと思って、はたと気付く。
あ、夢だから、目が開けられないか。
「おまえの名前は?。」
低めの心地良い声の持ち主が聞いてくる。
「お、俺の名前は…。そ、蒼士が、知らない人に名前をすぐに教えちゃダメだって、すぐ怒るから言えない。」
「ふん、そうしとやらは、おまえの恋人か?。」
誰かが少し不機嫌そうに聞いてくる。
「2人とも男だよ。」
「………。おまえ、男が二人もいるのか?。」
ん?。
「ふん、ならば遠慮はいらんな。」
おろされたのは草の上。
両頬を圧迫されて俺の口が開いた。突然のことに驚いて目を開けると、キラキラな金髪の、俺より10こくらい年上に見えるお兄さんが、眉間にシワを寄せ、金色の瞳をすがめてこちらを見ていた。
こんな気持ちの良い匂いに包まれてるのに、お兄さんも笑おうよ。俺は、お兄さんに笑顔を返してみた。
お兄さんの、俺の頬を抑えている大きな手がビクリと動いた。
いやいや、おかしいから。夢で目が開かないと言っているそばから開けてるし。俺が笑っても引かれるだけだし。
この匂いが、お酒を飲んだときみたいに俺を酔わせているに違いない。
お兄さんの顔が近づき、俺の口の中にお兄さんの熱い舌が入ってくる。俺は舌を擦られ歯列をなぞられ、口蓋をくすぐられた。
「あっ、あっ、あっ、んっ、んっ。」
野犬にされた時みたいに、体が熱くなって、息があがる。
不思議だ。野犬にされた時は怖かったのに、お兄さんにされると怖くない。夢だからかな?。
「あっ、おに、さん、ひど、い。おれ、の、あっ、あっ。」
「ふん、やはり、慣れてるな。」
俺はお兄さんに抱き上げられると、お兄さんに背中を預ける形で座らされた。
そして、俺の顎を大きな手で押さえ、強引に俺の唇を奪ってきた。
俺とお兄さんが動くたびに、あの良い匂いが立ちのぼる。
俺の頭の中はふわふわしていて、気持ち良いけれど、お兄さんの不機嫌な様子が切なくて、胸がキュウッとしぼむ。
じゃなくて~。それ、おかしいから。俺の思考がおかしいから。
「や、おに、さん。おれ、はじ、初めて、なのにっ、そんなに、お、おこっ、おこちゃ、やら。」
うー、喋りたいのに、お兄さんの舌が邪魔だ。
お兄さんを見ると、お兄さんは固まっていた。
だよな、「やら」ってなんだよ。引くよね…。
「初めて?。」
お兄さんは、少しの間動かないでいたけれど、俺の口腔内をなおも舐める。時々唾液を大量に流してくるので、俺は慌てて飲み込む。か、身体が熱い。
「あ、もう、もう、やら。頭、変に、なるっ。」
飲みきれない唾液が頬を伝って落ちる。
お兄さんが俺の服の中に手を入れ、乳首を弄るのをやめさせたいのに、俺の身体はお兄さんの温もりを背中に感じたまま、気持ちよくて動けない。
「そ、蒼士が、こう言う、こ、ことは、好き、好き合った、人としか、しちゃ、しちゃ、ダメだって。」
「ああ、そうだな。おまえはこれからこう言うことは、俺とだけにしろ。」
お兄さんは俺の身体を腕の力だけで反転させる。
俺とお兄さんは向き合った格好になった。
お兄さんの金髪がサラサラと風に揺れて、濃い金色の瞳もとてもきれいだ。そして、良い匂いがする…。
じゃなくて~。本当、俺の思考、おかしいから。
この匂いが、俺をダメにする。
お兄さんは、俺の顎をつかみ、深いキスをする。俺は、気持ちよくて、気持ちよくて、お兄さんの肩に手をおいて、お兄さんの舌を夢中で追いかけた。
「んっ、ぁっ あっ、ぁあ。」
下着の中に手が入ってきて、俺は、驚いて声をあげるけれど、口が塞がれていてうまく声が出せない。
俺のあそこや袋をやわやわと擦られ、すぐに下半身が硬くなる。
俺は、恥ずかしくて、顔が熱くなるのを感じた。
「ふふっ。気持ちいいな?。」
お兄さんの声に、香りに、ますます気持ち良くなってしまう。
「ん、ん、ん、気持ちッ、気持ちいいよっ。あ、あ、あ、やっ。」
あそこを刺激され、背中がのけぞる。
背中がのけぞると、お兄さんは俺の乳首を噛んだ。
「ひぅ、やややややややら、やら、やらっ。」
お兄さんが、俺の乳首を噛んだり、引っ張ったり、舌で転がしたりすると、俺のあそこは更に刺激が欲しくなる。
お兄さんの腰に擦り合わせるように、俺の腰が動いてしまうのがやめられない。
「ふふ、良い子だ。」
お兄さんに褒められたのが嬉しくて、俺も笑う。
お兄さんはなぜか目を見開くと、とても色っぽい顔で俺にキスをしてくれた。
「あ、あふ、…あ、や、もっと、キスしてっ。」
俺は、気持ちよくて気持ちよくて、キスをねだる。
お兄さんの前を触っていた手が後ろに回り、俺のお尻の窄まった所に触れる。
「やっ、やらっ。それ、ダメ。弄っちゃ、ダメっ、蒼士に、雄吾におこ、怒られ、るよ。」
「大丈夫だ、少しほぐすだけだ。怒られないよ。」
お兄さんが、俺の乳首を噛みながら言う。
「やっ、そこで喋っちゃ、だ、ダメっ。」
俺は、身をよじると、お兄さんに乳首を押し付けてしまう。
お兄さんに、前と後ろと乳首を弄られて、良い匂いはするし、俺のいろいろな我慢が限界になってきた。
「や、お、お兄、お兄さ、離、離して、もっ、イく。」
「まだだ、まだ我慢しろ。」
艶のある、少しハスキーな声でお兄さんは言う。
「はんっ、んぁ、も、やら、や、イく。やらっ。」
俺は、悲しくなって泣いてしまう。
「ふ、仕方ないな。
これからは、こう言うことは、俺とだけ、だからな。」
「ん、ん、ん、お兄、お兄さん、と、しか、しない。
お、お兄さん、と、しか、したこと、ないよっ。」
「ん、良い子だ。イって良いぞ。ほら、イけ。」
いつの間にか入れられていた、お尻の穴の中の指も、前を弄る大きな手も、俺の乳首を舐める舌や唇の感覚も、全部気持ちよくて、俺は、一気にイこうと気持ちを解放しようとした。
でもやっぱり、と、思いとどまり、俺は、お兄さんの両頬を手で包むと、お兄さんの唇を奪った。
舌を入れて濃厚なキスをくらわせてやった。
と、言っても、お兄さんのキスを真似しただけだけどね。
お兄さんはまた、目を大きく見開いた、と、思う。
俺は、その金色の目を見つめながら、イった、と、思う。
それは全部夢であり、幸せな夢だった、と、思う。
「雄吾と蒼士に一緒に謝ってよね。」
俺はそんなことを言いながら、再び深い夢の中へ引き込まれた、の、かもしれない。
「ふっ、この跳ねっ返りめ。今度逢うときは、名前を教えてくれ。それまでは、俺のことは忘れるんだ。」
誰かの声が、俺の脳に何かを囁いている?。の、かもしれない。
俺の身体は再び、良い匂いと温かいぬくもりに包まれていった。
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