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第13話 理不尽な処遇 ※注意

 俺が意識を取り戻すと、赤毛の大きなサルが、俺を見下ろしていた。  俺は木の根もとに転がされていて、両手を頭の上でくくられ、更に固定されているのか、手を下げることができない。  サルは俺の側まで来ると、俺のズボンに手をかけて脱がそうとする。 「やめろ!。嫌だ、離せっ!。」  俺はおなかの痛みを堪えて、足をバタつかせて暴れたけれど、抵抗虚しく、下半身剥き出しの、シューズと靴下だけと言う情けない姿にされてしまう。 「なんだよっ。喰うならっ、服のままっ、噛みつけばっ、良いだろうがっ。変態っサルめっ。」  息があがってうまく文句が言えない。  赤毛のサルが俺の両足の上に腰かけ、俺のおなかに触れる。  こんなでっかいサルに乗られて俺の恐怖心も高まる。 「ひ、う、ぅ。」  う、ビビるな俺。  こいつはどこから食べようか、品定めしているんだ。  匂いがする。甘味の強い、クチナシの花の匂いに似ている。その匂いが俺の身体の中に入ってくると、俺の身体は熱くなり、特におなかの奥が熱くなるけれど、それが不快に思えて、逃げ出したくて、我慢ができない。 「あ?、ばか、やめろ!。離せ。」  サルは俺に腹パンした辺りを擦っていたが、上着とインナーをたくしあげ、俺の胸も触りはじめた。  俺の心臓の鼓動が一気に高まり、呼吸が更に乱れる。 「嫌だ!。嫌だ!。やめろ。」  逃れたいのに、サルに乗られた足の自由がきかず、不快感を逃せない。  それでも、全身に力をいれ、動かせられるところを探し、身体を揺すって、サルの指から逃げる。 「い、嫌だ、嫌だ、嫌だ。」  サルの遠慮のない指が、俺の乳首の辺りを何度も撫でる。そのうち、サルは乳首だけを擦ったり摘まんだりし始めた。  乳首が擦れてすごく痛いし、背中も両手首も地面や紐に擦れて痛い。  嫌だ。こいつじゃない。俺に触って良いのはこいつじゃない。  俺の背中も胸も鳥肌がたつ。  吐く息が熱い。 「ひぅ、バカ、触るなぁ、俺で遊ぶな。離せっ。」  身体の不快感とサルにのしかかられている恐怖心からか、吐き気が込み上げてくる。 「ああ!。嫌だってば。やめろ。嫌だ。」  サルは乳首をいじるのに飽きたのか、今度は乳首を舐めてくる。  舐められたところが、じんじんと熱くなり、こんなに嫌なのに、勝手に下半身に熱がたまる。なんでだよ??。  俺の太ももに当たるサルの毛や感触、体温がぞわぞわと感じられ、気持ち悪い。  ますますクチナシの匂いも強くなり、不快なのに、気持ち悪いのに、身体の芯が熱い、下半身が疼く。 「おえ、うぇ、ゲホッ」  俺は、我慢できなくなり、吐いてしまった。  携帯食しか食べてなかったから、出るものは少ないが、つんとした胃液の臭いが強い。嘔吐物が俺の頬や髪の毛を汚す。  サルはとても嫌そうに、顔を歪めた。 「へっ、ざまぁ。」  俺がそう呟くと、頬に破裂音がして、視界が急に動いた。頬がじんじんとし、口のなかに酸味とは別の鉄の味がして、サルに叩かれたことを自覚した。  軽く脳震盪になったのだろうか。耳鳴りがし、視界が霞む。  サルは怒りの形相で俺を見下ろし、反対の頬も叩く。俺の視界がギュルンと変わり、更にまた叩かれた。  俺の鼻もジンジンして、熱いものが垂れてきた。 「へへ、お前の手も汚れたな。」  サルの手や身体に、俺の鼻血や嘔吐物が付着したのだろう。サルにも所々血がついていた。  ざまぁみろだ。  サルはますます怒りを露にして立ち上がると、俺の身体を乱暴に反転させた。  俺はとっさに両ひじをつき、汚れた地面に顔がぶつかるのを防いだ。  繋がれた両手がひきつれて痛い。  サルは俺のおなかを自分の膝に乗せる。  俺の両手は木の根元に繋がれているので、下半身だけが浮く、不安定な格好になった。  パーン!、パーン!と破裂音が響く。  サルは俺のお尻を叩いた。  容赦のないその力に、俺の身体は痛みと衝撃に反応して跳ねる。頭がぐらぐらと揺れていてうまく痛みを殺せない。  痛みから俺は、泣いているのだろう。涙と鼻水とついでに鼻血が出ているし、抑えられない悲鳴が勝手に出て、口も閉じれないからよだれも出ていたけれど、気にすることができなかった。  サルは俺のお尻をしばらく叩いていたけれど、飽きたのか、俺をその場に捨ててどこかに行ってしまった。  * * *  しばらくすると、サルが戻ってきた。  俺は動くことも怯えることもできず、捨てられた時の状態でそこに転がっていた。  バシャッと水を頭に被せられ、その冷たさに俺の意識がはっきりとしてきた。  更に水をかけられる。  周囲の嘔吐物の臭いを消そうとしたのか?。  サルはまた俺の腰だけ持ち上げ、俺に四つん這いになるよう強要してきた。  俺が足腰に力が入らず崩れそうになると、サルは俺のおなかに蹴りを入れてくるので、歯を食いしばり身体を支えた。  サルは満足したのか、今度は俺のお尻を撫ではじめた。  先ほどさんざん叩かれ、感覚が麻痺している。 「やめろ!。触んな。」  俺は、なけなしの抵抗を示す。  抵抗すると、サルは俺のお尻を叩いた。  痛みと屈辱に耐えて、目をギュッと瞑ると、目蓋に男の人の顔が浮かぶ。  誰だ?。思い出そう、よく見よう、と、すればするほど輪郭がぼやけ、あやふやなものになる。  それでも俺は、思い出したくて、目蓋をギュッと瞑り、サルにいたぶられ、殺されて喰われる恐怖に耐えるしかなかった。

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