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第5話
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翌朝、眠る野原の顔を見ながら、西岡は考えていた。
野原が夕べの出来事を後悔していませんように。前を向いて進めますように。そして出来れば俺と一緒に。
ふたりが食べ残したバームクーヘン。半分ずつ残ったそれを合わせると、元通りのハート型になった。
これを見せて「ほら、運命かもね」なんて、プロポーズみたいで寒いだろうか。
静かに眠る野原の寝顔を見つめながら、早く目覚めてほしいような、でも怖いような……。ひとりジタバタする西岡だった。
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