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『これは本編【4章】隣と【5章】恋人の間にあたる、付き合って間もない浅井と篠原のお話です。』 side α 友人から恋人同士へと俺たちの関係は変わったけれど、日常はあまり変わらない。 同じ大学の同じ学部、元々普段から一緒にいる時間が多かった平日は特に。 まあでもこうして週末にデートをするってのは、なかなか恋人らしいとは思う。 浅井が一度来てみたかったと言うカフェ。メニューに目を通せば浅井の目的は一目瞭然で、イチオシと書かれた季節のパフェだとすぐに分かった。 甘党……と言うか生クリームが好きなんだよな。今だって幸せそうな顔して食ってるし。 「旨い?」 「うん!生クリームたっぷり入ってるし、幸せ!あ、篠原も食べる?」 幸せを共有したいのは山々だが残念ながら俺は甘党じゃない。差し出されたスプーンの柄の部分に反射的に首を振ろうとして、少し思案する。 「…………じゃあ、一口」 そう言って口を開いた俺を浅井は不思議そうに見つめる。 「分かんない?食わせて、浅井が」 「…………え!?いや!それは、さすがに……」 遅れて反応を見せた浅井はしどろもどろになりながら、じわじわと頬を赤く染める。 あ、キスした後と同じ顔してる。可愛い。この顔されるともっと見たくなるんだよな、困った事に。 「ほら、早く」 「でも……恥ずかしい……人目だってあるし」 「ボックス席だし大丈夫だって。誰も見てないよ」 「うぅ…………」 悩んだ末、浅井の手はスプーンで生クリームを掬い上げると俺の口元へ伸ばされる。 「あーんって言ってくんないの?」 「し、篠原の意地悪!」 「ふっ、はは、ごめん」 目の前の生クリームを口に含むと、微かに震えるスプーンの振動が伝わる。 「……美味しい?」 「ん、旨い」

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