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服_2
俺にはちょっと甘かったが、共有出来たことが嬉しかったのか浅井が綻んだので良しとしよう。
再び夢中でパフェを食べ始めた浅井を眺めながら、ふとある事が頭を掠めた。
そういや今浅井が着てる服って、あのテーマパーク行った時も着てたよな。
「…………それ似合ってるけどお前の趣味なの?」
平日とは雰囲気の違った服。
通学用と分けているのかと思ったが、どうやら違うらしい。
と言うのも先週は俺のバイトの関係で出掛けられず、智と遊びに出掛けた……まあ浅井曰く連行された姿を偶然見かけた訳だが、その時の服装は何らいつもと変わらないものだった。
「前も思ったんだけどさ」
つまり俺とのデートのために選んでくれた服って思っていいんだよな、きっと。前の時も張り切ったとか言ってたし……。
そんな淡い期待を確信に変えるべく、浅井にしては少し大きめのアウターの襟元を指先で辿る。
そこでようやく服について問われていると理解した浅井は、花が開いたような笑顔を向けた。
「似合ってるって言ってもらえるの嬉しい。自分だとやっぱ違和感しかなかったから……篠原の趣味っぽいかなって選んでもらったんだ」
「…………」
俺の淡い期待は良からぬ方向へと裏切られなかったか、今。
「…………選んでもらったって、誰に?」
「え?水野だけど…………。アイツの着てる服が篠原の趣味っぽい服なのかなって思って」
「…………」
コイツは、また…………。
「…………なあ、この後の予定変更な」
「え?」
「浅井の服、買いに行くから」
「え?え?い、いいよ、服なんて俺……」
「だめ、行くから」
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