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服_3
パフェを食い終えても、何で急に服?と訳の分かっていない浅井を半ば無理矢理引き摺って、近くの服屋へと連行する。
「それ、上から下まで智のコーディネート?」
「え、うん……そうだけど……」
「…………ふーん」
狼狽える浅井を改めて眺める。確かに智らしさがあるっちゃあるな。似合ってないわけじゃないけど。
「……あ、この服いいな。どう?」
「え!う、うん、いいと思うけど……」
「いやこっちの方がいいか。んー…………浅井、これとこれ試着」
店頭に並ぶ数多い商品の中から俺なりに似合いそうな服を何点か選んだ。戸惑いつつもそれを受け取った浅井は、恐る恐ると言った様子で俺を見る。
「あの一応この服、篠原の趣味かなって思って選んでもらったんだけど…………違った?」
もしくはやっぱり似合ってなかった?なんて的外れな心配をしている浅井は本当に分かっていないらしい。
「別に嫌いなわけじゃねーけど、デートに他の男が選んだ服着て来られたら対抗心湧くだろ。智と言えど」
「…………え?」
「似合ってるよ、ムカつくぐらい。でもその分嫉妬もしてんだよ」
「え、でも、だって……相手、水野だから……」
「だから?俺が今好きなのは浅井なんだよ。分かってる?アイツが相手だって嫉妬すんの」
ピンッと弾いてやった額を押さえた浅井は見る見る顔を赤くして、「き、着てくる!」と試着室へ駆け込んでいく。
…………分かってんのかね、本当。
伝えても伝えても上手く伝わってる気がしない。
もどかしく、歯痒い。
だけど浅井はもっともどかしく、歯痒く、辛かっただろう。
「――早く愛されてるって自覚、持ってくんねーかな……」
浅井の想いが伝わったように、俺の想いもいつかちゃんと。
【SS_服 END】
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