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喧嘩_7

美影は近くまで寄って来てくれると、長い腕を広げてくれた。 俺は臣海と千歌ちゃんの手をするりと抜けて、その胸元へと飛び込む。 「美影……!美影……!おかえり……っ」 「ん、ただいま」 「ごめん……ごめんなさいっ……俺……」 「もういいよ。俺の方こそ泣かせちゃってごめんな」 すぐに背中へ回ってきた腕。密着する美影の身体はとても冷たい。 「それで?例のストーカーさんは性懲りもなくまた来たわけ?」 「ああ。きっちり話したから、もう大丈夫だろ」 「あーあ、可哀想。その人、来週からは会社に来ないかもね。美影兄さんって怒らすとマジ容赦ないし」 何の事だろうと美影を見上げたけれど、気にするなと言われて頭撫でられる。 「またそんな甘やかして……。そんなんだから危機感足りなくなるんだよ」 「もういいんだ。俺がしっかり守ってやればいいだけだしな」 頭を撫でられる心地良さと耳に届くゆっくりとした鼓動に、忘れていた睡魔が急に襲ってくる。 「宗一……?」 「浅井くん昨日ほとんど寝てなかったみたいだよ。私達が来た時玄関に毛布落ちてたし、美影兄さんが帰って来るのずっと待ってたんじゃないかな?よりによってスマホも忘れて出てくるんだもん、心細かったと思うよ?」 「そっか。…………ごめんな。起きるまでずっとこうしてるから、ゆっくり寝ろよ。おやすみ」 瞼にキスをされたらもう俺の目は開かない。 うつらうつらと夢の中……。 「じゃ、俺らは帰るかな。お邪魔みたいだし」 「ああ、悪かったな」 「別に。兄さんに借りが出来たし、売り込みも出来たしね」 「売り込みって……」 「でも、全っ然靡かないの。ムカつくぐらい。……愛されてんね、相変わらず」 「……分かってるよ。宗一の気持ちを疑ってなんかない。それでも足りないと嫉妬してしまうんだから、俺も大概欲張りだよな」 【SS_喧嘩 END】

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