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第10話 日差し
◇◇◼️◇◇
身体全身がくるまれたようにポカポカして何やら暖かい。
覚えていない夢から目を覚ますと、どうやら僕は朔の腰から上を自分の身体の上に乗せ、自分の元に抱き寄せながら眠り転げていたようだ。
……昨日は寒かったのだろうか。
僕が体をゆっくりと動かすと、朔も動きに引きずられて目をパチパチと瞬たかせ始めた。僕の動きの揺れの気配が伝わり起き出したのだ。
「……う~ん……」
半覚醒状態にある彼の顔を両手で覆い掴んで、僕は下からキスをした。
「お早う」
「……うわ!」
完全に覚醒しだし引きそうになる彼の顔を、強く掴んで、唇を交じり合わせる。
朔は先程の色気無い寝起きの挙動とは反して、舌を動かしてる内にすぐさま眼尻がトロンとしてきた。
僕の唇の動きに応えている。
「………んっ……ふ……………」
舌同士の結びが一旦休止されると「もう起きた……?じゃあ……また、しようか……」と朔の背中から尻にかけてを手で触り揉み込んだ。
「………ぇ!!…………あ!!……」
また起きるなりずっと連続でされ続けると思ったのだろう。肩に震えが走っている。
「朝の一回、だけ」
僕は笑って、朔の目に目で合図をするように見つめると、朔の身体から不安がストンとすり抜け落ちたのがわかった。
朔の後ろの首筋を促すように手をやると、首筋を押され悟った朔が、自ら口を僕の唇へと重ねてきた。
そのまま溶け合うようにしばし舌を結び合い、お互いの吐息を飲み込みあい、唾液を流し込みあった。
口を離した瞬間「好きだよ」と言ってやると、朔の表情が何とも言い難い複雑な表情となり、ビクッと震えた。
訪れる沈黙をまた唇を合わせなおすことで破ると、朔もおずおずと「お……っ、俺も…………す…き……」と自信なさげな弱々しい口ぶりで僕に囁いた。
恐怖支配から来るすり寄りだろうか、それとも打算計算だろうか。それとも本当に快楽に呑まれたのだろうか。
どちらにしろ構わない。今やらなければならないことは、恋人同士のように甘く、じゃれあい、朝のベッドインを実行して見ることだけ。
シンプルな指令。それだけが僕の胸底に、有る。
乳首を甘噛みすると、僕の肩を自由になった腕で掴む朔は、掴む手に力を入れて細い声を出しのけぞった。
やっぱり声がハスキーになっている。
朔の細い腰を揉むように柔らかく掴んで、何度も合間にキスをしながら、首筋や乳首、脇腹も愛撫する。
昨夜までのように強引な行為は一切しない。触られたくないとこも触ろうとしない。不快は一切与えず、表情を見ながら、顔が緩むところにだけ手を進め、顔が曇る所には手を止める。安心する行為だけをした。
もう一回言う。
「好きだよ。僕達、付き合っちゃおうよ……」
朔の長い首筋を手のひらで何回も摩りながら、耳元に呟いた。
「…………正夜ぁっ…………正夜ぁっ…………おれはっ…………ゲイじゃないんだよっ…………」
うなじを擽ぐられ声が上擦っている。
「わかってるよ」
それなら僕だってゲイじゃない。正確に言えば。
「………おまえが……!俺の体をこんな風にしたんだよ…………!」
「わかってるよ」
ポンポンと後ろ頭を叩き、撫でてやる。
「どぉーして……くれんだよぉ………!責任………取れよ…………」
「取るから付き合おうって」
「ウッ………ウッ」
返事もせずに俺の肩に自分の顔を埋めてまた泣き出してしまった。
「はいはい、悲しいね。きもちよいことして、悲しいのはもう忘れようね」
僕は朔の背中をポンポンとまた優しく軽く叩いてやって、軽く抱き止めながら、泣いた子供をあやすような性行為を彼とした。
泣きながら朔は感じて、僕の名前を何度も頼りなく呼びながら、達した。
◇◇◼️◇◇
「とりあえずメシ食おうよ朔」
本当に一回セックスが終わると、サッパリと正夜は俺から離れた。
そうだった、丸一日、何も食べてない。
不思議なことに、ずっと下半身を弄られ続けていると空腹感にはなかなか気がいかなかった。
「…………今何時?」
泣いた後の腫れた目は動かさずに声だけ向ける。煙たいような声が出た。
「……んー。3時だって」傍らの何かに振り返って正夜は答えた。
昼の、3時だ。
倉庫の中の黄色い明るさからもわかる。
高窓から見える空一面の黄白さからも。
正夜が近寄ってきて、横たわる俺の髪をクシャリと撫でながら耳に囁いた。
「…………それとも、帰る?」
俺は黙ったまま、頭に奴の手を乗せたまま、ベッドにダラダラとして
「…………腹減った」
とだけ一言、不機嫌そうに言い返した。
暫くするとラフな衣服に着替えた正夜が2つのトレイの上に焼いたロールパンを幾つかと、何か出来合いっぽいレンチンしたらしきスープと、魚肉ソーセージと、チーズと、コンビーフの缶詰と、豆の缶詰が並んで置かれているのをそれぞれ持ってきた。
特別美味しそうじゃない朝飯だ。
「……料理しないの?」
「するけど、買い物行ってない」
俺は裸のままだし、下のシーツはバスタオルが敷かれているけど精液塗れだわで、サイアクだけど、トレイの上に手を付けた。
予想のつく味を一通り食べ終えると、正夜はまだ食べ終わっていない。
気ままに食べたり、食べなかったりしている。
三時間くらいかけて食うつもりか。
「あのさ、トイレ使っていい?……それから、風呂も使っていい?」
「お好きに」
指でちぎったパンを食いながら正夜は答えた。
トイレも天井がかなり高く、小窓がやはり高くて手が届かない位置にある。どっかで操作して開閉するんだろうか。
もしも届く位置にあろうと、小窓のそこから逃げようとはしない。だって俺は一糸纏わぬ裸なんだもの。
便座に座り、腹に力を込めると出るわ出るわ、尻の穴から白濁が。
白い液体が次から次へとニュルニュルニュルと。
よくわからない潤滑の薬剤?と合わさって、半分固まったような白い精液だけが、長い時間いつまでも出続けた。
直腸からは吸収されないもんなのか、というぐらい、そのまま沢山出た。
やっと排便感から解放されスッキリすると、そのまま、トイレから脱衣所を通り、風呂場に駆け込んで、自分の自由に好きなように体を洗える喜びを味わった。
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