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レインⅥおまけ③

 ――そういう意味では、こいつが水城のこと嫌いな理由はよくわかるんだよな。  成瀬がなにが気に食わないのか、はっきりとはわからない。第二の性を利用して、学園の和を乱そうとしていることが気に入らないのだろうと思ってはいるが、本当にそれだけなのだろうか。わからないから、推測の域を出ない。昔から、そうだ。知り合ってもう五年になるが、篠原は、成瀬のことはいまひとつわからない。  水城の行動を容認している理由もそうだ。気に入らないのなら会長権限で認めなければいいとした向原の意見のほうが、ずっと理にかなっている。  成瀬は成瀬で苛々しているようだったから、あの瞬間は向原を宥めるほうに舵を切ったけれど。  ――本当、いつまで喧嘩してるつもりだよ、こいつら。  自分の平穏のためにも、生徒会の平穏のためにも、早くもとの状態に戻ってほしい。  それ以上の会話をする気はないという顔で、いやに迅速に仕事を片づけ始めた向原を一瞥してから、篠原はふと窓のほうに寄った。  締め切った窓の向こうから、騒がしい声が聞こえた気がしたからだ。 「なんだ、この騒ぎ」  またもめごとが起こっているのなら、本当に勘弁してほしい。確認しようと窓を開けようとした瞬間、声がかかった。外でなにが起こっているのか、すべて承知しているような、静かな声。 「開けないほうがいいぞ、匂いにやられる」

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