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レインⅥおまけ②

「おい、向原って」 「オメガのヒートに振り回されるなんてみっともない真似、誰がするか」 「そういうところ、おまえだよなぁ」  やっとあった返答に、説教すべきなのかと思案していたことを忘れて、しみじみと呟いてしまった。なにせ、まぁ、けっこうな昔からの付き合いなので。  ついでに、うちの寮のオメガのフェロモンに鼻の下を伸ばしているアルファに聞かせてやりたい気分でいっぱいでもある。でも、あいつらは、みっともないとは思ってないんだろうなぁ。そういうところが、どうにも合わなくて、向原の言わんとするところのほうが、篠原にはよほど理解できた。  オメガに振り回されて手を出すなんて、恋愛でもなんでもない。ただの本能だ。動物と変わらないとも思う。わかっていても向こうが抑えてくれなければ影響を受けることは必至で、だから、できるだけ寮内でも距離を置いているのだ。 「おまえ昔から大変だったもんな。気の毒に」  強いアルファとつがいたい、と色地掛けのような真似をするオメガというのは、得てして存在するのだ。  大人同士の駆け引きならともかくとして、当時小学生だった子どもにまで声をかけるのは、犯罪だと思うのだが。それはさておいても、そういった成育環境はまちがいなく性格形成に影響を及ぼしていると篠原は思う。  人間の善性を信じていないところや、なにごとにも醒めているところなんて、その最たるところだろう。この学園に入ってから、少しずつ改善されている気はするが。

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