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第33話 嫉妬 Ⅲ
「藤さん…ありがとうございます」
「ん」
コンビニからの帰り道
部活で火照った身体をクールダウンする様に冷たいソレを口の中に運んだ
「お前な…あんま困らせんなよ
駄々こねたって無理なもんは無理なんだからよ」
「………………」
「返事!!」
「…だって」
「あ⁇」
いつも鬱陶しい程に元気なミハイルが背中を丸めて項垂れていて、何だか妙な気持ちになる
「だって…藤さんに会えないの嫌だ…」
「大袈裟な奴だな…たった数日だろ⁇」
「………………」
ミハイルがピタリと立ち止まったのを見て俺も足を止める
俯いている顔を覗き込むと何故か少し怒っている様に見えた
「…だって青葉さんは行くのに」
「当たり前だろ アイツが手配してくれたんぞ」
「だってだって!!」
イラッときた俺は持ってたアイスを一口で食べきるとミハイルを蹴り飛ばした
「だってだってウルセェな!! 何なんだよお前は!!」
「痛い!! 今日も藤さん乱暴!!」
ミハイルは前屈みの姿勢からその場に座り込んだ
そんなに痛かったのかと思い、仕方なくミハイルの前に回り込むと、同じ様にしゃがんで目線を合わせた
「だって 俺が居ないのに…青葉さんが居るなんて…嫌だ…」
それを聞いた俺は、どうしてミハイルがあんなに駄々を捏ねていたのかを悟って、思わず口元を手の甲で押さえた
そして少しの沈黙の後、キッと顔を引き締めると拗ねきった頭にチョップをお見舞いした
「だ!? もう!! 何なんですか!?」
「馬鹿かお前は…俺と青葉の間に何かある訳ねぇだろ⁇ そもそも恵斗だって同じ部屋にいるのに」
ミハイルが大きな猫目を見開いて、パチパチと何度か瞬きを繰り返す
「…それって 俺の事が好きだからですか!?」
いつも予想の斜め上をいくコイツの解答に俺はヒクッと口角が動くのを感じた
「何でそうなんだよ このバカ!! 違ぇし!! 全然違ぇし!! もう帰る!!」
スタスタと歩き始めた俺にミハイルは難無く追いつき、ギュッと手を握られた俺は抗議の声を上げた
「こういうのやめろって言ってんだろ!?」
「このまま帰ってくれたら、今回は我慢します」
コイツ…どこでそんな取り引き方法覚えてきやがった⁇
「ミハイルのクセに ムカつく…」
「何でですか!? 酷いです藤さん!!」
お互い色々文句は言いつつ、結局そのままミハイルの望む通りの形で帰ったのだった
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