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第2話

僕は今アメリカにいる。 大学を卒業してから ()ぐ、出国して来た。 表向きは、就職に有利に なるからと親に告げたが 本当は亮と別れたからだ。 ある日の事、大学に行こう としているとある車が 目の前で止まった。 (安藤、さん?) 運転席には、亮の執事である 安藤がいた。 「後ろに乗って下さい」 『・・はい』 (何の用だろう?) 言われた通りに座ると 亮の母親がいた。 麗は正直の所、亮の 母親が苦手だった。 何か人を見下した ように見てくるからだ。 「麗さん、話があるの。  単刀直入(たんとうちょくにゅう)に言うけど  私の息子と別れて欲しいの」 『えっ、今何と・・』 麗は、信じられなかった。 亮は親に自分達が付き合って いる事を話していたのである。 『亮は、私の事を話して  いたのですか』 『えぇ、付き合っていると  言っていたわ。将来、女性  になってもらって結婚して  もらうとも言っていたかしら』 (僕が女性に?) 男性同士の結婚は認められて いないが、どちらかが薬で 女性になれば結婚できる ようになっていた。 「でもね、亮には結婚相手  が決まっているの。  綺麗なお嬢さんなのよ」 薬で、女性には確かになれるが まだ偏見の目があったのである。 (亮には迷惑はかけたくない!!) 「分かりました、別れます」 亮は、父親が社長の為 父親の(あと)を継ぐ事になる。 麗は、亮の重りになるのは 避けたかった。 そして、亮の母親と会った翌日 別れを告げたのである。 (亮の事は忘れよう) 麗はそう決意し、アメリカに 行き語学を学んで5年間日本 に帰ってくる事はなかった。

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