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第28話

自宅に戻るなり、惇生はソファに体を投げ出した。 額に手の甲を置き天井を見上げる、口元は緩やかなウェーブ。真っ直ぐな瞳で微笑んでいた。 「好きかも、か...」 思わず、ついて出た言葉。嘘じゃない。 ずっと好きだった悠介にも伝えた事はない、初めての告白。 「...俺が変えてみせる」 大悟は惇生を降ろした後も暫く車を走らせ、停めた。 不意にスマホを取り出す。 適当に男に連絡して抱くか、とLINEを眺めた、が、暫くして、やめた。 「...あの野郎...」 苦い顔をハンドルに伏せた。 今まで出会った事のないタイプの惇生につい油断し、あれこれプレゼントし、優しくしてしまう自分がいる。 最初はのらない惇生が珍しく、今まで通り、適当に弄び、セフレにしてしまおうと考えていた筈だ。 「...もうやめよう」 惇生に近づくのは。 そう決め、翌日、大学にいた。 「こんなとこ居たんだ、大悟」 学食で溌剌とした惇生に話しかけられ、よいしょ、と、惇生はテーブルの向かいに座る。 「唐揚げ定食じゃないんだね、珍しい」 「...日替わり定食だからな」 「は?」 「日替わりで男を抱くから、俺」 「あー、そういう意味」 惇生の手が伸びてきて、唐揚げを1つ、ひょい、と指で摘み、食べた。 「うちの唐揚げには敵わないなあ、で?日替わり定食には唐揚げはある?たまに焦げてたりとか」 大悟の拍子抜けした眼差しに、惇生が、ん?と食べかけの唐揚げを指に挟んだまま口元に弧を描く。 「...なにが言いたい」 「...抱けよ、俺の事」 長い沈黙があった。 「本気で言ってんの、お前」 「本気も本気」 2人の瞳が交錯した。微笑んでいるのは惇生だけだ。

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