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「反則」

リアンは俺の肩を掴むと、唇を合わせてきた。 (え……まじ……?) 慌てて両目を閉じると、チュッとついばむようなキスをしてきた。唇の柔らかい感触に気を取られていると、ぬめりとした感触が口内に入ってきた。舌を入れられ、俺の体がびくりと跳ねた。 俺は慌ててリアンの体を押し返そうとしたが、肩を掴まれた手も体もびくともしない。舌と舌を擦り合わされる度にゾクゾクした感覚が腰に向かって落ちていく。 「ふ……ぁ……」 変な声が漏れて気持ち悪い。唾液が垂れそうになって、慌てて顎を上げた。顔が熱い。薄目を開くと自分の顔を凝視しているリアンと目が合った。 「エロ……」 彼は小さくそう呟くと、ようやく俺を解放した後、満足そうに笑った。 「キスできる。つーか、勃った」 「何言ってんだ、馬鹿!」 怒鳴るが勃起してしまったのは俺も同じだ。 リアンは座ったまま首に腕を回してきた。そして、首筋に顔を埋めてくる。 「なあ、シャド、結婚しようよ」 まるでおもちゃをねだる子供のように甘えてくる。チュッと音を立てて首筋に何度もキスしてくる。くすぐったいような湿った感触になんともいえない気分になる。 「ぅ……」 俺が言いかけた時、扉が勢いよく開いた。 パイロット特有の抜群の反射神経で、俺はリアンを思いっきり突き飛ばした。 「おい、召集だぞ」 司令官のチーが扉から顔を出したと同時にリアンは派手な音を立てて、壁際に積んであった箱に激突した。 (あっぶねー、今、いいよって言いかけた!) チーは目の前で起きた惨状に顔をしかめた。 「またお前ら喧嘩してんのか? リアン、大丈夫か?」 「大丈夫!」 突き飛ばされたというのに、リアンは満面の笑顔で答えた。チーが不審そうに顔をしかめた。 「何、ニヤニヤしてるんだよ、気持ち悪いな。何か良い事でもあったのか?」 「うん、俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」 「死亡フラグ!?」 (俺はまだいいなんて言ってねぇ!) そう言ってやりたい気持ちをぐっと堪えた。リアンは立ち上がると座り込んだままの俺のところまでくると、手を差し伸べた。 「行こう、シャド。最高にかっこいいやつ、見せてやるから」 そういうところが、反則だ。 こんな事を言われて、笑顔を向けられて、敵うわけがない。 俺は諦めたように息を吐くとその手を取って立ち上がった。そして、最後の決戦へと歩みだした。

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