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第1話
こんにちは、餡玉 です。
Twitterで出たネタをもとに、軽いコメディを書いてみました。何も考えず、さら〜っと読んでいただけると嬉しいです。
本日中に完結いたしますので、どうぞよろしくお願いします♡
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『だ、だめだよ澄人 っ! 五回目なんて、むりぃ……っ』
『だめだなんて思ってないだろ……俺のチンポに吸い付いて離れないじゃないか……おらっ、おらっ!』
『ああん♡ あっ、こわれちゃう、こわれちゃうよぉ……っ♡』
『好きだ、大好きなんだ……光哉 ……! 今夜こそ、孕ませてやるからな……!!』
『あ、あ——っ……はげしすぎぃっ……♡』
俺のきつきつアナルをじゅっぽじゅっぽと出入りする澄人のペニス。ひっくり返った蛙のような格好でだらしなく喘ぐ俺を押し潰すような勢いで、澄人は激しく腰を打ち付けるのだった。白濁したもので泡立った結合部からは淫らな音が弾け飛び——……
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「はぁ、はぁ……澄人に孕ませエッチ……されたいなぁ……ん、んっ……」
文章を書いているうちに隆々と勃ち上がってしまった分身を手の中に包み込み、ゆるゆると扱く。先端から溢れ出した蜜であっという間にとろみを帯びるコレを、澄人が口の中で慰めてくれたらどんなに素晴らしいだろう……と妄想しつつ、俺は無心になって自慰に耽った。
164センチという小柄で痩せ型な肉体に釣り合いの取れた、どちらかというと小ぶりな性器。そこから吐き出された白濁を受け止めた手のひらを見下ろしながら、俺はティッシュに手を伸ばす。
夢小説を書き始めて早一年。
この薄汚れた妄想の餌食となっている相手は、れっきとした俺の恋人・君島澄人。
クラスの連中には秘密にしているとはいえ、ちゃんと想いを告げあって付き合っているというのに、俺はその相手との夢小説を書いている。
なぜならば、澄人に抱いてもらえないから。
ちょっとそういう雰囲気を俺が醸し出そうもんなら、澄人は照れ臭そうに微笑んで俺の肩をそっと抱き、「まだダメだよ。俺ら、高校生だしさ」と言い、ほっぺにチューをしてくれる。——チョロい俺は、たったそれだけのスキンシップで素直に宥めすかされてしまい……俺は、ずっと欲求不満を募らせている。
「……ふぅ。次はもっと下品な言葉攻め入れてみるか。……澄人は優しいから、絶対言わないだろうけどさー……」
賢者の状態でティッシュを丸めつつ、俺は次話のプロットを脳内で練りはじめた。
昼間も清らかにゲーセンデートをしただけだったので、まったくもって性欲が満たされていない。そのせいもあってか、今夜の孕ませエッチ編はなかなかのエロ度に仕上がった。
どこへ出すわけでもなく、自分の手元でしこしこと書き溜めている夢小説だ。自分の好きなように妄想し、好きなように書き散らかし、好きなようにオカズにする……はじめは虚しかったけど、最近では、これもある意味一種のプレイなのではないかと思えるくらいの境地には達している。虚しいけど。
「……はぁ、なんか尻の方もむずむずしてきた……。よし、今夜はアナニーして寝よっかな!」
パソコンデスクの引き出しの一番下の段から、お気に入りのエネマグラを取り出した。今夜はこいつが俺の澄人だ……。
「……むなしすぎ。早くチンポ突っ込んでくれねーかなぁ……」
俺は湿っぽいため息をつき、今夜の恋人を手のひらであたためた。
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高一の春。俺は君島澄人と出会い、一目惚れをした。
同じクラスになって、たまたま最初の席が前後だったことがきっかけだ。うっかり落とした消しゴムを拾ってくれて、「これ、お前の?」と笑顔で手渡してくれたんだ。その時の笑顔は優しくて、キラキラしてて……俺は一瞬で、澄人に惚れた。
澄人の家族は両親ともども大学教授だ。めちゃくちゃデカくて綺麗な家に住んでいる。賢い両親に大事に育てられた澄人はものすごく頭が良くて、スポーツまで万能だ。
おまけにアイドル顔負けの顔の良さ。学校中の女子……いや、他校の女子までが、澄人の顔を一目拝もうと校門の前で待っているくらいのイケメンなのだ。
かといって、優等生ぶって下々の者を寄せ付けないとか、そんなことは全くない。高校デビューを狙ってちょっと悪ぶったりしてるようなクラスメイト相手とも気さくに話すし、ノリもいい。誰かがどんなバカを言っても澄人は笑ってくれるし、相手を否定するようなことも決して言わない。そんな澄人だからこそ、男女問わず大人気だ。
例に漏れず、俺も澄人が大好きだった。他のクラスメイトがどんな感情を抱いているかは知らないけど、俺が澄人に感じているのは友情じゃない。れっきとした恋愛感情だ。キスとかセックスとかしたい方向で大好きだった。
小学校に上がった頃から男が好きだと自覚しつつも、俺はずっと、この性的指向を隠し続けて来た。けれど、澄人の特別になりたいという気持ちは膨らんでいくばかりで、俺の感情はじわじわと制御不能に陥っていた。
一年間は、なんとか耐えた。けど、高二になり、夏休みを経て、来年の受験や卒業が見えてくるころ……俺の我慢ははち切れた。このままのんべんだらりといたずらに高校生活を過ごしていたら、せっかく出会えた澄人との関係は平行線のままだ。
——フラれてもいい、気持ち悪がられても仕方ない。ただの友人で終わるのは、いやだ……!!
そして、たまたまふたりになった帰り道、俺は澄人に決死の告白をした。
「ずっと隠し続けるつもりだったけど……もう無理。俺、澄人のことが好きだよ……!!」
夕陽を浴びて、泣きながら告白した俺のことを、澄人はぎゅっと抱きしめてくれた。そして……。
「ずっと、そうだったらいいなって、思ってた」って、言ってくれた。夢かと思った。
「俺も隠し続けようかと思ってたけど……すごく苦しかった。すげぇ嬉しいよ。光哉、ありがとう」
ひと気のない夕暮れ時の道端で、澄人はそっと俺の手を握ってくれた。嬉しくて嬉しくて、頭がどうにかなっちまうんじゃないかってくらい幸せで、すぐさまベットに連れ込んで澄人のナニをしゃぶり倒してそのままエッチにまでなだれこんでやりたかったけど……。
さすがのように、澄人はめちゃくちゃ紳士。
付き合い始めてそろそろ三ヶ月だ。俺としては、最後まで致してもいい頃合いなのではないかと思っている。が……あいつは、フワッと触れる程度のキスしかしてくれない。信じられないだろ? 俺たち、性欲旺盛な高二の男なんだぞ……?
けど、それで満足すべきなのかもしれない。よそのカップルがどんな性生活を送っているのかは知らないけど、澄人はすごく俺を大事にしてくれるから。
「こうして思いが通じ合ってるだけですごく幸せ」「光哉とは、ずっと一緒にいたいんだ。大切にするからな」といって、そりゃあもう大事に大事に慈しむように、とっても大切にしてもらってる。だが……一ヶ月と経たず、俺の性欲はとっくに限界に達している。
大好きな澄人を気持ちよくしてあげたいし、俺も澄人と気持ちよくなりたい。手を繋いだり、ちょっと触れ合うくらいでも、そりゃ……そりゃ、じゅうぶんとっても幸せだけど……俺たちはものすごく元気で健全な高校二年生だ。十七歳だ。もっともっと、すごくエッチなことがしてみたすぎて、毎日毎日死にそうだ。
だが、優しく清らかな澄人に、俺のズッブズブに薄汚れた性欲まみれの思考を知られるのは怖いから、やっぱり我慢。もうほんと、マジで苦行。地獄の煩悶。思考回路はショート寸前。
澄人を見ればドキドキするし、ムラムラする。けど、エッチがしたいなんて言っちゃえば、澄人が引いてってしまうんじゃないかと思うとすごく不安だ。澄人にだけは、嫌われたくない……。
その時ふと、俺は思いついた。
俺たちのラブラブなエロエロ青春ライフ妄想を、自分の手でアプトプットすればいいんじゃないか……? と。
そうすれば、この行き場のない猛った性欲も文字となって昇華され、夜な夜な彼氏を想いながらアナニーするなんていう悲劇のような地獄もマシになるのでは? と……。
そうして書き始めたのが、『彼氏の愛が重すぎて俺は幸せです♡』というタイトルの妄想日記小説。……そう、いわゆる夢小説だ。
妄想の相手と付き合っているにも関わらず、俺は欲求を拗らせて、夢小説を書いている男子高校生・栗生 光哉。
いつになったら、本物の澄人とリアルエッチができるんだろうか。
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