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「ち、ちげぇしっ」
ちふゆが叫んだ。
「ポッキーはそんな太くねぇよ!」
そこ? と梓は思った。
突っ込むところはそこなのか。
しかし般若はポッキーそのものがわからないようで、ますます首を傾げている。
現代日本に生まれてまさかポッキーを知らないひとが居るとは! と梓が驚いていると、ちふゆが今度はポッキーの説明を始めた。
「ポッキーってもっと細ぇだろ。これぐらいの長さで、これぐらいの細さでさ……」
説明も大雑把な上、これぐらい、と手で示す目分量もめちゃくちゃ大雑把だ。
だが般若はまた「ああ」となにかに思い当たったかのように頷いた。
「なんだ。尿道ブジーのことかい。ポッキーなんて種類があるのかい?」
「え????」
にょうどうぶじーとはなんだ。
シンクロした動きで首を捻った梓とちふゆへと、ついに般若が能面を外し、麗しい素顔を晒して、怪訝な目つきで二人を眺めてきた。
「それで、ブジーでなんのゲームをするつもりだい?」
絶対になにか勘違いをされている、と悟った梓は、これ以上ちふゆの説明で話が混乱する前に、と、
「こ、これですっ!」
勢いに任せて、後ろに隠していたポッキーの箱を般若へと押し付けた。
般若の目が丸くなる。
「なんだい、これは」
「だから、それがポッキーなんですっ」
「なんだ。お菓子ならお菓子と最初からそう言いなよ」
拍子抜けしたように般若が吐息した。
するとちふゆがすかさず「言ったじゃねぇかよ」とボヤいた。
言ってないよちふゆくん、と梓は胸の中だけで突っ込み、般若へと改めてポッキーゲームの詳細を伝えたのだった。
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