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第5話「5限が永久に来なければ」

 翌朝。電車の窓から外を見ながら、ため息をついた。  昨日結局、四ノ宮には連絡は出来なかった。  向こうからも来ていない。  ………今あいつって、何を思ってるんだろう。  オレがゲイだと知ってるのは、あのクラブ関係以外だと、父母と弟。  あとは、一人だけ。  そいつとはもう一切関わりが無いから、身近な他人は誰も知らない。  オレは、女の子にもモテる。別に悪い気はしない。  女の子と話すのも好きだから、仲の良い子も多い。  ただオレは、男にしか反応しない。しかも受け側。  物心ついて、ゲイという存在を知った頃から、もしかしてとは思ってはいた。女の子を可愛いと思うよりも、男をカッコいいと思う方が多かったから。  中学で、男に恋をした。  ――――……迷うことも無い位、はっきりと恋だった。  でも最初は、少しは抵抗しようとしてはみた。  女の子にも興味が持てないのか。色々見てみたりもした。  でも、すぐに自分で分かった。  女の子相手には、全く反応しない。これっぽっちも、欲情しない。  あれからもう何年も経ってるし。色々あったし。  ――――……自分がゲイだってことにはもう、納得はいってる。  もう、そういう運命で生まれてきたんだって、そう思ってる。  世で言う「普通」が良かったなと、少しは思う。  彼女が出来て、人目を気にせず彼女と手を繋いでデートして、いつか結婚して家族になる未来を望んだりしてみたかったなぁと思う自分も居るけれど。  まあでも。  ……その点についても、もう諦めてるし。  性的嗜好が少し違うだけで。  そこについて悩むことも、もう無い。  ――――……執着せずに今のまま、その時限りの関係を楽しんで。  あとは、普通の日々を楽しく生きていければ。  それでいいと思ってたのに。  もう楽しく生きていけないかな……。  はーー。 大学休みたい……。  五限が永久に来なければいいのに。

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