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第440話「パーティー終了」*奏斗

 パーティーの二時間、長いかなと思っていたら、あっという間で。  始まりの時と同じく、四ノ宮のお父さんの締めの挨拶が始まった。    「――――息子は大学生になりました。まだ色々勉強中ですが、その内、何かしらの事業を継がせられたらと思っていて、私はそのために働いてると言っても過言ではありません」  挨拶の途中で四ノ宮の話を出して、冗談なのか本気なのかわからないトーンで、クスクス笑いながら話す。聞いてる人達も笑顔。こういう話って、堅苦しくなりそうなのに。上手なんだろうなぁ。そういうとこ、四ノ宮に引き継がれている気がする。 「息子のご友人について、起用するモデルさんですかと今日何度も聞かれましたが、モデルさんではありませんし、息子自身も、広告にあがることは断固拒否しています」  オレは今度は離れた所に居たので他人事気分で聞いていたのだけれど、その言葉に場が沸いて、四ノ宮が苦笑してるのが見える。 「まあその話は置いておいて――――着ると華やいで気分もあがるスーツをこれからも送り出して行きたい、そう思っています」    そんな言葉に拍手が起こる。そこからは型通りの締めの挨拶をして、パーティーはお開きになった。  四ノ宮一家は、客が出ていくのを出口で見送っている。  オレと潤くんはのんびりと話しながら、離れたテラスから眺めていた。  さっきの舞さんとお父さんが、四ノ宮のところで止まって笑顔で話しているのが見えた。  プチお見合いかぁ……。どうなったんだろ。  ――――パーティーも、この家も、ほんと、オレの日常とは違う、別世界。  四ノ宮たちにとっては、全部、普通のことかもしれないけど。  ずっと、ふわふわ落ち着かなかった、慣れない空間。  この年で見合いとか婚約とか、そういう話が出るのは大変だなとは思っていたけど。いつも隣に普通に居るから、あまり実感がないままここまで来た。  今日、四ノ宮ってやっぱりちょっと違うとこにいるんだなと実感したというか。  やっぱり、オレを好きとか、そういうのって、ダメなんじゃないのかなぁ……。  ぼんやり思っているところに、四ノ宮が笑顔で現れた。 「ごめんね、奏斗、待たせた」  全員送り終えてすぐ、急いでやってきた感じ。 「全然平気。お疲れ」 「んー、マジ疲れた……。つか、何か食べたいし飲みたい」  四ノ宮が言うと、後ろから来ていた葛城さんが、「お疲れさまでした。食事はあちらのお部屋で、別にご用意してありますよ」と微笑む。 「あ、食べる。奏斗は?」 「オレ結構食べたからいいよ、食べてきなよ」 「んー……ここで食べる。持ってくるから待ってて」 「ん」  四ノ宮が離れていくと、瑠美さんが近づいてきた。 「ユキくん、潤をありがとうね。潤が楽しそうで、安心して回れたわ」 「いえ。ていうか、オレの方が楽しかったので」  ねー、と潤くんと笑い合う。 「私もさすがにお腹空いたから何か食べてくるね。潤も一緒に行く?」 「うん。ユキくんも行く?」 「四ノ宮が持って戻ってくるって言ってたから、ここで待ってるよ。行ってらっしゃい」  瑠美さんと潤くんを見送っていると、入れ替わりで、四ノ宮のお父さんとお母さんが歩いてきて、丸テーブルの向かい側に腰かけた。 「雪谷くん、今日はありがとう。結構な人数に、モデルに起用する子かって聞かれたよ」  四ノ宮のお父さんがそう言ってクスクス笑う。 「ね、ほんとに。現役でモデルやってますって言われても、信じちゃうわ」 「宣伝部が迫りに行ったって聞いたよ。悪かったね」 「そうなの? 大翔にずっと言ってた社員さんたち?」 「そう。一緒なら大翔も出てくれるかもって思ったらしいよ」 「それ、いいわね」  四ノ宮のお母さんがふふっと笑うと、お父さんもクスクス笑って、「本当に、モデルになってもらいたい位」と言う。  オレは無理ですよ、四ノ宮だけなら出来そうですけど、と苦笑い。

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