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バレンタインのSS🍫 2
「じゃあどうする? せっかくのバレンタインだし、何かはしたいんだけど」
「そう、だねぇ……」
「そういえば、男同士って、バレンタインどうしてるんだろ。送り合うのかな」
「えー……どうだろ。分かんないな」
奏斗が答えながら、ふ、と苦笑してる。
「男同士だから、どっちがあげるとかは、ないかもね」
「そうだよね……奏斗は、どうしたい?」
「んー……どうしようね」
そう言ったきり、ただこくこくとカフェオレを飲んでいる。
「奏斗とオレ、いっこずつ買って、送り合うことにしよっか」
「……んー。そうだねぇ。それもいいけど……」
ちょっと首をかしげてて、なんだかあまり乗り気じゃない気がする。
あれれ。……忘れてたから、ちょっと、がっかりしちゃってる、とか……?
「ごめん、バレンタイン、忘れてて」
そう言うと、えっとびっくりした顔で、オレを見上げてくる。
「それは全然いいよ。女の子たちが盛り上がるイベントだし。四ノ宮が謝ること、全然ないし」
ふ、と笑う奏斗。
これは普通にそう思って言ってるっぽいな。
てことは。
あー、あんまりこのイベントに特別拘りがないってことなのかな。
クリスマスは楽しそうにしてたもんな。イベントは好きなんだろうけど。
「じゃあ明日、どっか遊びに行って、おいしいチョコケーキでも買ってきて、一緒に食べよっか」
「……ん。ていうか……四ノ宮、バレンタイン、好き?」
「好き、っていうか」
「……オレから、ほしかった?」
え、当たり前だけど。
何の質問だろう、と思いながらも、とりあえず思うことを答える。
「うん。それは。奏斗からもらったら、嬉しいに決まってるし」
ふ、と視線が外れて、奏斗はちょっと俯きながら、ふわ、と微笑んだ。
あ、なんか今、すげー。可愛い顔、した。
こういう顔は、付き合うようになってから、見せてくれるようになった顔。
自分のマグカップをローテーブルに置き、奏斗のカップも一旦受け取って置いた。
「――キスしたい」
手を取って、引き寄せると、奏斗はオレを見上げて微笑む。
そっとキスして――柔らかい唇に何度も、触れる。そっと舌を入れると、甘えるみたいにくっつけてきた。
――可愛い。
舌を絡め取って、甘いキスを交わす。は、と息をついた奏斗は、すぐにとろんとするし、息も熱くて、愛おしすぎる。
「もうベッド、行く?」
「……うん。あ、歯、みがく。きっとそのまま寝ちゃうから」
「ん」
そうして歯を磨き終えると、寝室に連れていこうとするオレをちょっと止めて。
「お水持ってく。いつも四ノ宮、お水取りに行くから。寒いでしょ?」
「……んん? 平気だけど? ていうかいつもでしょ、それ」
「だって今日寒いし。持ってくから待ってて。すぐいくから。寝室エアコンつけといて」
見上げてくる瞳が可愛い。なんだかちょっといつもと違う奏斗に、まあでもいっか、可愛いから、なんて思う。
分かった、と少し離れる。
エアコンをつけて待っていると、ペットボトルを二本もって、奏斗がやってきた。
「お待たせ」
楽しそうに笑う奏斗を引き寄せて、隣に座らせる。
引き寄せた指先を、そのまま離さずに、すり、と撫でた。
くすぐったいのか、奏斗の肩が小さく揺れた。
「待ってた」
「……ふふ」
その背をベッドに沈めると、至近距離で見つめ合う。急な距離の近さに、照れたみたいに奏斗が少しだけ視線を逸らす。顎に触れて、顔を戻させて、ゆっくり唇を重ねた。
最初は軽く、様子を確かめるみたいに。
すぐに舌先が触れてくる。奏斗の手がオレの二の腕に、縋るみたいに触れる。
「ほんと可愛い」
そう囁くと、喉の奥で少し笑う気配。
「バレンタイン忘れてた分、サービスしてあげる」
吐息の触れる距離で言うと、奏斗が目を開けて、かぁっと赤くなる。
「何、想像した?」
「し、してないし……」
「遠慮しないで」
焦ってる奏斗の顎を捕らえてまた深く唇を重ねて、舌を奪う。
「ん……っ……」
「――めいっぱい、可愛がってあげるね」
「……っふ…… ん、ぅ……」
すぐに熱くなる奏斗の体に、ゆっくり手を這わせた。
(2028/2/14)
続きます🥰
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