24 / 24
同級生 8
もう一度出会って、そしてまた彼は消えてしまって。
世界はさらに色を喪って。
耐え難い。
世界が遠い。
1人きりだ。
全てが遠い。
死ぬまでこの切り離されて、現実感のないまま生きていくのだろうか。
高い建物の屋上に行って、縁まであるいてみたら、簡単に飛び降りれることがわかって止めた。
また会えるかもしれないから。
それだけ。
それだけだった。
抱いて捕らわれ、抱かれて諦められなくなった。
さがす方法もない。
なら。
待つしかない。
待つ。
永遠に待つ。
もうそれしかなかった。
彼がいい。
他の誰でもなく彼がいい。
誰を抱いていても、誰に抱かれていても彼がいい。
この世界の狭間みたいな場所にいるのは彼と自分だけだから。
現実じゃない場所に。
二人きり。
淡々と毎日が過ぎた。
そして、ある日。
彼が来た。
会社に。
警備員達も為す術なく後ろからついて来ている。
彼を止めることが出来なかったのだ。
警察を呼べという声も。
でも手を差し伸べられたから、走った。
その手を掴まれた。
彼が笑った。
「迎えに来た」
頷いた。
そのまま連れ出された。
二人で走って逃げた。
この現実感のない世界から。
乗せられた車の後部座席には何故か頭を撃ち抜かれた死体が二体。
彼は機嫌が良かった。
「終わりまで一緒だ」
彼はキスしてくれた。
「行こうぜ、この世界にはお前とオレしかいないんだから」
その言葉の意味を理解できた。
彼だけが現実。
彼だけに色がある。
そして、彼にも自分はそうなんだと。
彼は笑って車を出す。
追われる。
色んなモノに。
彼はそれを気にしないだろう。
そして自分も。
どうでも良かった。
ただ彼といられるのなら。
「おちついたら、セックスしようぜ・・・沢山イかせてやるよ」
彼の言葉に喜んでしまう。
止まっていた世界か動きだす。
色があふれだす。
「愛してる」
そう言えば、彼は笑った。
「知ってる」と。
世界は今。
リアルになった。
おわり
ともだちにシェアしよう!