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同級生 7
見つけたのは自分ではなく、彼だった。
声をかけられた。
振り返ったなら、背の高い男が自分を見下ろしている。
わかった。
すぐに。
わかった。
美しい線の細い少年はいなかった。
背が伸び、身体は大きくなっていた。
そこにいたのは美しい、でも凶暴さを隠そうともしていない危険な匂いのする男だった。
高価すぎるスーツや靴も時計も、まともに働いていたなら買えないようなモノで。
美しい髪をまとめて括っていた。
その美しさだけならば、その外見で食べている夜の街の男に見えなくもなかったけれど、醸し出される凶悪さと、暴力の匂いのする身体が危険を全方位に知らせていた。
随分変わった・・・。
いや、ちがう。
自分を刺しにきた教師を、迷うことなく切り刻んだのだとそう言えば聞いたのだった。
あの頃から彼にはそういう一面があったのだ。
「 」
1度も呼ばれなかった名前でよばれた。
「久しぶりだな」
そう言って自分を見下ろす目は、捕食者の目だった。
焼き付くような目。
他の男達に犯されながら見せていたあの目。
身体の力が抜ける。
肩を抱かれて包み込まれるのも、そのまま連れていかれることも、拒否できなかった。
そのまま裏通りで犯されることにも。
「悪いな、我慢出来ない・・・」
ズボンを下ろされながら、囁かれ、剥き出しになった尻を揉みしだかれた。
「ずっと・・・欲しかった」
囁かれながら、硬いものをそこに押し付けられた。
されるんだ、とわかった。
でも良かった。
何度中に入っても、そこで出しても遠いままだった彼を中に受け入れたなら、やっと近くに感じられるかもしれしれないと思ったから。
その熱い締め付け蠢く中が好きだったけど、それ以上に欲しかった。
尻が知らない内に揺れていた。
硬いモノを味わうように。
彼の、少年の頃から結構立派だったソレに自分から押しつけるみたいに。
彼が笑った。
「お前だけは違う・・・。オレが欲しい?そんなに?抱かれてもいいくらい?」
その声は甘かった。
頷き、頬を撫でてくる手を掴んだ。
その指をしゃぶった。
昔、自分のものを咥えてくれた時にしてくれたように。
「あの頃は挿れられる方が喰いやすかったからな・・・でも、こっちでも食いたかったよ。お前は特に」
囁かれて体温が上がる。
肉の1つ、ではなかったのだろうか。
それだけで、喜んでしまう。
剥き出しの尻を割開き、そこを舐められた。
そんな行為、彼からされること、想像もしてなかった。
でも、彼の熱い舌をその敏感な箇所で感じて、震えた。
ぴちゃぴちゃと舐める音に、恥ずかしさと、同じくらい興奮した。
熱いその舌をもっと欲しい。
だってこれは彼。
彼なのだ。
壁に手をつき、尻を突き出しながら声を殺して耐えた。
たっぷり濡らして、指で解された。
急ぐその様子が自分を欲しがられているのがわかって嬉しかった。
急いでいたから優しくはなかった。
でも、欲しがられていた。
「最初は痛いかもな、でも、イかせてやるから」
あてがいながら言われて、うなづいた。
荒い息に本当に欲しがられていると感じる。
本当に本当に、自分が欲しいのだ。
「童貞も処女も貰ってやるよ」
そう耳元で言われて嬉しかった。
ずっと彼のものだけで居たかったのに、と他の人としてきたことを後悔してしまった。
「お前はもうオレだけでいい」
その言葉と、めり込んでくるその熱さと硬さと大きさに喜んだ。
言われた通り痛くて苦しかった。
でも。
彼が自分の中にいる。
どんなに彼に入ってもどこか遠かった。
でも今、彼を取り込んでいる。
この痛みは彼を捕まえている。
苦しいのは彼を包み込んでいるから。
ほしがり締め付けていた。
「童貞は下手なのが良かったけど、処女のくせにコレかよ・・・抱かれる方が向いてるぜ、可愛いな、お前」
愛おしいそうに言われて、涙が零れる。
ゆっくり動かれた。
たのしむように。
思いやるように。
壁に両手をついたまま、背中を反らす。
殺しきれない声が出た。
でもそれはまだ苦痛の呻き声で。
「 」
名前を呼ばれたなら、それでも嬉しくて。
彼が中にいることを望んだ。
今は自分のモノだ。
自分だけの。
痛みも苦しさもあった。
でも馴染んできた頃、それは起こった。
「ああっ!!」
さけんでしまって、手を口で塞がれた。
身体が激しく波うった。
突き落とされるような、飲み込まれるような、でも、上に上げられるような。
射精していた。
後ろで貫かれるだけで。
「イかせてやるって言っただろ?」
彼の声は甘かった。
塞いでくれる手を甘く噛んだ。
気持ち良くて。
嬉しかった。
「もっとイかせてやるから・・・」
彼は首筋に歯を立てながら言った。
腰の動きが遠慮なくなっていく。
痙攣が止まらない。
火花が何度でも飛ぶ。
精液じゃないモノを性器から飛ばしていた。
嬉しかった。
欲しかった。
彼だ。
「オレの、だ」
そう言われて泣いた。
「探さなくて悪かった・・・でも、見つけたからもう離さない。誰としててもお前がいい。オレをみつけたのはお前だけだった」
彼はそうとだけ言うとさらに、激しく貪ってきた。
崩れ落ち、地面に這っても腰を抱えて犯し続ける。
もう、声を殺せない。
彼はもう気にもしてなかった。
元々そういう男だった。
「もう、逃がさない」
そう言われて中に出された。
アスファルトに爪を立てて、身体をけいれんさせ、とうとう意識を飛ばした。
とても。
幸せだった。
世界に色が戻った。
目覚めたら自宅でベットで寝ていた。
夢でないのはその身体の痛みと、噛まれた跡か教えてくれた。
でも。
彼は居なくて。
何も遺してくれてなくて。
出された精液さえ掻き出されてて。
絶望して泣いた。
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