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第1話

それは事故だった。 それでもまだ、マシだった方の事故だった。 人生を狂わせる事故ではあったけれど。 もっと不幸な事故もあるのだから。 何だかその日、その子どもは身体が熱かった。 小学生。 子供だった。 そう、子供だったのだ。 友だちと走りまわり遊んでいたのだけど、何だか身体が熱くて帰ることにした。 その帰り道。 人気のない裏道だった。 いつも誰も通らない道で、近道につかってた。 でもその日は誰ががいて。 その誰かに呼び止められた。 その人と自分しかいない道だった。 その大人は苦しそうだった。 大人は突然、怒鳴ったのだ。 「なんで抑制剤を飲んでないんだ・・・いや、なんで・・・こんな子供が!!!」 大人は顔をゆがめていた。 自分の前に立ちはだかる大人は、まだ若い男の人で。 とても大きな人だった。 立ちはだかるその身体から絡みつくようなあまい匂いがしていて。 その身体からする匂いに何故か頭がクラクラした。 ふわふわして、ぼんやりしてしまうような。 何故かお腹が熱くなって、なんだか股間がムズムズした。 まだ、したことない。 早い子は股間のコレで気持ちいいことをするらしいんだけど、まだしたことがない。 でも、何だか。 今日は変。 「逃げろ!!逃げてくれ!!」 悲鳴のように大人が叫んだ。 だけど。 大人からするのが甘い匂いで。 身体が動かなくて。 大きな腕が自分を捕らえに来る時も動けなかった。

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