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誰かの未来或いは過去3
《誰かの天国と地獄》
あるマンションの一室のベッドで少年と青年が交わり合っていた。
濡鴉の様に艶やかな黒髪に大きな瞳を持つ美しい少年。将来多くの人間を虜にするだろう綺麗な顔立ちだ。しかし今はその顔も涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっている。
見れば誰もが胸を痛めるような姿の少年だが、青年は胸を痛めるわけでもなく、威圧的な三白眼で乱れる少年の痴態を舐めるように見ながら腰を打ち付けていた。
少年は小さな体を震わせ、くしゃりとシーツを掴む。涙で縁取られた黒い瞳には顔を歓喜に歪め己を食い尽くさんとする存在が映っていた。
「あ''っ、はん.....んぎぃっ、やらっ、もうやだっ....い、あ''ぁ''、いぐっ、い''っっ~~~ぁ!!」
少年のか細い悲鳴のような喘ぎが部屋に響く。
その悲痛な声に興奮したのか、少年を見下ろす青年は更に腰を押し進めた。少年は発狂する。
「は、ははっ....偉いぞ、ちゃんとイくって言えたじぇねぇか.....ん、出すぞ」
青年は嗤い、そして何かに耐えるように囁いた。
次の瞬間、少年を覆い隠すように青年は身を乗り出しスッポリと少年を自身の下にしまう。傍から見れば少年は見えない。しかし青年の身体からはみ出る細い手足があった。
がっしりと身体を拘束され、身動きが取れない少年は恐怖に涙する。
内蔵を引きづり出されるような気持ち悪さはもう感じない。押し込まれ圧迫されるような苦しさはもう感じない。
だが怖かった。
だが恐かった。
自分の身体が作り変えられているようで、自分の身体じゃないようで。
少年はただ快楽を感じる自分が恐ろしかった。
「あふっ、ああっ、ひぅ、んーっ、ああ''....やっ、も''いぎだくなっ、やらやらっ、あ''ーーーーーーっ!!!!!」
苦しい、苦しい
快楽の逃げ場がない。
心の逃げ場がない。
少年は青年の拘束の中、泣き喚くように喘ぎ、達する。
「俺もっ、~~~っ!!」
少年がイった後を追うように青年も吐精した。
後孔から流れ込むその熱い液に少年の思考は快楽に染まり、はみ出た手足をバタつかせる。
その姿は溺れもがき苦しむさまに似ていた。
「はっ、はっ、はっ、あぁ足んねぇ」
青年はそうぼやき、体を起こすと少年と自身の結合部を見る。
そこは普通の人なら目を覆いたくなるだろう光景があった。
小さな白い尻に埋まる赤黒い性器。結合部はミチミチと今にも裂けそうで、明らかにサイズが合っていなかった。
だがそれもそうだろう、青年は平均身長を優に超す高校生で、少年はまだ年齢一桁の子供なのだ。
「や、だ.....もうやだ.....うっ、ひっく」
ハラハラと涙を流しながらもナカをぎゅうぎゅうに締め付ける少年に青年の劣情は煽られる。
つーっと結合部を青年は愛おしそうに撫で、少年の細い腿を掴み腰を引く。
ヌロォ、と音を立て後孔からペニスが抜かれるがそれを引き留めるように少年の肉襞が吸い付いた。
「っ、大丈夫だ。すぐいっぱいにしてやるか、ら!」
切なそうに吐かれた言葉とともに押し込まれる異物。
「かはっ.......!!!」
打ち付けられた衝撃に一瞬息をするのも忘れる少年。口をハクハクとさせ、シーツに頭を押し付けるように仰け反る。
その剥き出しになった少年の白い喉に青年は舌を這わし吸い付いた。そして青年はそのまま抉るようにグリグリと腰を押し付け、口を塞ぐ。
「んぐっ!.....やっ、やだっ!....ふん~っ、ぁっ」
「はっ、拒絶すんじゃねぇ!」
頂点に立つαの性を持ち、思うがままに他人を使う立場である青年は自身を拒絶されたことがなかった。
だから理解できない。自分から逃げようとするその態度が、この少年の黒い瞳に映る恐怖が。
青年は一旦後孔からペニスを抜くと、乱暴な手つきで少年を四つん這いにさせた。
その時ごぷりと溢れ出る白濁に青年は舌を打つ。
「こぼすなよ.....まぁいい」
「ぁ、やだ....やだっ、ふぅぁ」
何度やっても後孔から異物が入る感覚は慣れず、少年は嫌だ嫌だと首を振る。しかし問答無用で青年のソレがとろりと白が垂れ流れる後孔にずぶりと沈む。
「ふぐっ、い''っや...だ、ふーっ、ふーっ」
少年は圧迫感を和らげようと浅く息をする。しかし肉襞がまるで待ちわびていたかのようにぎゅうぎゅうと蠢くのを少年は感じ、顔を歪めた。
ナカは青年のペニスの形をくっきりと浮かび上がらせ、少年に充足感を与える。そんな貪欲な体と乖離する心に肩を震わせた。
「っあぁかわいいかわいいかわいい!!俺の....俺の番 っ」
目の前で小さな肩を震わせる少年に青年の何かが爆発したのか、その細い腰をがしりと掴み激しく律動させた。
猛り勃ったペニスがパチュパチュと下品な音を立て少年を蹂躙する。
「うっぁ、いいっ.....ん''ぁ、い''っちゃ、あ''ぁっーーーっ!!!」
「ん''っ....はぁっ....もっとよがれ、もっと啼け、もっと求めろ!」
少年の痙攣する身体を押さえつけ、青年は腸壁をこ削ぎ落とすように腰を打ちつけた。
「あ''~っ、いや、ぐるじっ.....もうい''ぎだぐなっ、い.....やらっぁ」
達しすぎてボロボロの状態ながらも、青年から逃げようとズリズリと前へ前へに少年は這う。そんな少年の姿を青年は律動を止め、口元を歪めながら見下ろした。
「もう''がえるっ、いえに.....っぁ、かえる」
シーツを掴み前へ前へ。
急に動かなくなった青年を少年は疑問にも思わない。ただ少年を突き動かすのは家に帰りたいという願いのみ。そして動く度に感じる鈍い気持ちよさに耐えながらも後孔に挿いっていたペニスはずるりと抜ける寸前まできていた。
しかしー
ゾワリ
背筋が粟立つ程の悪寒が少年を襲った。
今までの緩慢な動きが嘘のように素早く振り向く。
振り向くと愉悦に歪む赤い瞳が少年を見ていた。
「ぁ」
悟る。
逃げられないと。
逃がすつもりなどないのだと。
でも、少年は帰るために手を伸ばす。
「タイムオーバーだ♡」
低い声が聞こえ、少年の手が空を切った。
「げふっ~~~~~~!?!?!?!?」
「くっ、はぁ.....!」
チカチカと少年の視界に星が飛び、自分が今何をしているのか記憶が混濁する。
しかしそれだけで終わらない。
体重をかけられ少年はシーツに顔を押し付ける形になり、身体をビクビクと痙攣させた。
「ふぅ、ぁがっ!?」
「まだへばんなっ!んっ....ふっ、ぁ」
その容赦ない責め苦は少年の曖昧な思考を全て『気持ちいい』に塗り替えていく。帰りたいという気持ちすら崩れ落ちていった。
「おぁっ、んぁあ''.....きもちいっ、イぁーっ、いっちゃー.....あぁ''あん、い''、ぐ~~~っ!!」
少年は恍惚の表情を晒し喘ぐ。
黒い瞳は快楽に蕩け、開いた口からは留めなく涎が垂れ流れた。
「っ、もう俺も限界だ.....」
そこへ青年が切羽詰まった声で呻いた。巻き付くように青年の長い手が少年を絡め取り、隙間無く身体が密着する。
そしてーー
「ーーっ、~~~!?ぁー~ーーー!~っ」
奥を抉った。
もはや声にならない声をあげ、揺さぶられる少年の身体は人形のようにカクカクと動く。
「クソっ、もうで....るっ」
「~~~~っぁ''、~~~~ーーーーっ!!.....」
ドプドプと数回に分けられ流れる精液に脳を蕩けさせ、あまりの快感に目を剥く少年。
しかしその快楽のキャパは彼の意識を刈り取るには十分だった。
「ぁ♡」
お腹に灼熱のような快楽を、望まぬ幸福感を与えられ少年はそのまま気絶した。
荒い息がひとつこの部屋に響く。
青年は未だに猛り勃つ欲を意識の無い少年のナカに挿れたままだ。一見余裕そうに見える態度だが、彼も既に頭がおかしくなるほどの快楽に思考が鈍っている。
だが青年は律動を再開する。
まるで何かにとりつかれたかのように腰を振りたくっていた。
「俺の....これは俺のもんだ。ん、はっ.....俺の番だ」
虚ろに呟かれた言葉は誰に向けての言葉なのか。
彼は少年の頭を掴み、口を大きく開けーー
ガブリっ
うなじに噛み付いた。
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