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「それにしても疲れたなぁ」 僕は今、聖域外の森を歩いていた。シュウさんからの追っ手を撒くために仕方なく人目につかない聖域外を歩くことになったのだが、とにかく身体が重かった。 なんならさっき鼻血を出した。 まぁ、原因は心当たりがあるためどうしようも無いが.....。 「リッパーの使いすぎかぁ.....」 魂写棒を常に顕現させることが出来ない僕がユーベラスを倒壊させるほどの異能を使った。そりゃ身体にガタが来てもおかしくない。 無理な使用はこうなるのかと少し関心しながら、僕は近くの大木に腰掛けた。 ユーベラスから休まず来たけど、だいぶ遠いところまで来れた。マンションからくすねた飲水もまだある事だし、ちょっと休憩を。 「どこに行こうか....。もう家には帰れないだろうし」 休憩しようと思いながらも今後のことを考えてしまう。でも、家に帰れなくなった僕は本当にどうすればいいのだろう? だって、僕は死んだ人間なんだ。優斗さんからそれを聞いて何日も経っている。そんな僕がひょこりと現れてもシュウさんにまた捕まるだけ。 『テメェ.....俺から逃げるんならその脚切り落とすっつったよなぁァ!!!』 ブルりと震える。未だに思い出しても恐ろしい。しかもシュウさんのその言葉、僕は初耳だ。切り落とすだなんて.....。 あぁ、本当にどうしよう。 お義父さんとお義母さん.....いつか会いに行きたいなぁ。今は無理だけど。 はぁ....とため息をついて空を見上げる。そこにはいつぶりに見る雲が、太陽があった。 木々をゆらす風も、この緑の匂いも.....酷く懐かしく感じる。 これが自由、自由だ。 「ふぐっ、うぅぅ、~っひっく、ヒック....良かったぁ、よかったよぉ.....ズビッ」 ユーベラスから出て初めて安堵の涙を流した。 僕にシュウさんがどれほど影響を与えていたのかよく分かる。今更震えが.....。 「本当によかった.....」 暫く目を閉じて噛み締める。 「弥斗.....?」 「っ!?!?!?」 しかし聞こえた自分を呼ぶ声に心臓が止まりかける。 目を向けると、息を荒らげ虚ろな目をした我が弟が呆然と立っていた。 (なんでチビちゃんがここにっ!?) 言葉が出ない。あまりにもありえない事に僕もただ弟を見るしかなかった。 弟は見覚えのある黒いランドセルを背負いフラフラと僕の方へ近づいてくる。その弟の異様さに咄嗟に逃げようとするが、情けないことに腰が抜けて立てなかった。

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