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「弥斗....弥斗....弥斗はやっぱ死んでねぇよ。死ぬわけねぇよ。だって目の前に俺の弥斗が....」
「っ......!」
弟は背負っていたランドセルを投げ捨て僕に抱きついてきた。抱きついてきた弟の瞳があまりにも暗く、僕は息を詰まらせる。
「弥斗、弥斗....会いたかった。俺もうダメだ。弥斗が居ねぇと苦しいんだ」
「チビちゃん.....」
「弥斗に近づくなって言われて.....俺遠くから見てたんだ。弥斗すっげぇ笑顔で楽しそうで、幸せそうだった。俺、俺っ、それ見んの嫌で、弥斗のそんな顔を他人に見られんの嫌で!うぅ~っ!俺出来ねぇよっ。一ヶ月も弥斗と離れるなんて!」
「ちょっ、い''!?」
ガリガリとシュウさんにつけられた鬱血痕に爪を立てられる。
「俺以外に笑顔見せんのが嫌だ。俺意外と楽しく話してんのも嫌だ。俺以外を気にかけんのも嫌だ。俺以外と2人っきりになんのも嫌だ。.....何をするににしても弥斗と一緒じゃなきゃ嫌だ」
「チビちゃん!?痛いからっ」
「俺気づいたんだ。俺は弥斗のことが好きなんだって」
「!?!?」
「だって、じゃなきゃこんな気持ちになんねぇだろ?弥斗に近づく奴らを斬り殺したいって。何よりあの不審者を苦しめて二度と弥斗に近づけねぇ身体にしてやりたい.....」
な、何を言ってるんだチビちゃんは!?
「こんな気持ちになんのは弥斗が好きだからだ。.....あの野郎に聞いたらそれは好きっていう気持ちっつってたし。だから俺は弥斗が好き.....」
「あ、ありがとぅ.....。僕もチビちゃんのこと好きだよ」
唯一の兄弟だもん。そりゃ大好きだよ。だけど、なんていうか......弟の言う好きを聞くと身体がゾワゾワする。
「そっか.....そっか!!弥斗も俺の事好きなのか!ふ、ふははは.....両想いだ!」
「ア、ウン.....いや、それはちょっと違う」
「両想い、両想い!ならっ」
「へ?」
鼻がくっつくくらい距離が近づいたと思ったら唇に柔らかい感触が。
「せっくすするぞ」
「!?!?!?」
目尻を下げ、頬を上気させた我が弟の姿が目に入った。
「な、にを言ってるの?チビちゃん」
「好きならせっくすしろってアイツが.....言ってたし。せっくす.....大丈夫。アイツの見たことあるから.....大丈夫」
あの人、本当に何を教えてるのかな!?
ろくでもない大人だね!?
藤間さんっ、あなたが付いてながら!!!!
「弥斗....なんかちんこがムズムズする」
「ちょ、ちょっ」
逃げようとするが、魂写棒の無理な使用で身体がまだ重い。弟にのしかかられてズリっと横に倒れた。
「落ち着こうチビちゃん!!君のその気持ちは違うんだっ、家族愛だよ家族愛!」
「ムカつくなぁ、弥斗の身体中から知らない匂いがする。俺の匂いじゃない.......。俺の匂いつけねぇと」
「聞いて!?......ふっ!?」
「んっ、ふぁ....!」
顔を両手で挟まれ口が重なる。驚きで半開きになった唇を割るようにシュウさんとは違った小さな舌が入り込んできた。
この子なんでこんなことをっ!?どこで覚えたんだ!
咄嗟に閉じてしまった目を開けると、弟が気持ちよさそうに赤い瞳を細め僕を見ていた。
「ぷはっ!チビちゃんダメだ!!っ、僕達は兄弟なんだ....!兄弟同士でこういうことするのは禁忌なんだよ!!」
「弥斗っ、もっと....!んぐっ、~はっ」
「ちょむっ!......ふぁっ、聞いてよ!?」
全く話を聞いてくれない!
しかも弟は興奮しているのか、グイグイと腰を押し付けてきた。
僕、近親相姦する気ないんだけど!?
でもこのままでも埒が明かない!
う~っ、こうなったら......
「?.....弥斗?」
僕は力を振り絞って弟を下に、僕が上になるようゴロンと転がった。
驚き困惑する弟の頬をするりと撫で、両手で挟む。そして――
「んっ!.....やと、はぁっ、んちゅ」
「ふぅ....ぁあ、あむ」
キスをした。
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