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「狩らせてもらうよ.....」 「ん?何か聞こえたような――っがは!?!?」 静かに飛び降り、その落下の重力を使いそのまま 切り裂く刃(リッパー)の柄で殴る。 倒れた中田君のタグをちぎり、ついでに彼が狩った2人のタグも回収した。これで計3つのタグが僕の手の中にある。同じ黒チームだが、中田君が言っていたように数人くらい影響ないだろう。 人狼の数はそう多くないだろうし...... ん? 「人狼の数が多くない....?」 自分の思ったことに違和感を覚える。 どこもおかしくない言葉のはずだが何かが引っかかる。しかしその引っかかりは倒れた田中君を見てさらに強まった。 中田君にハンマーで殴られた田中君はよく見ると右手に魂写棒を握っていた。彼らは話していた時無手だった。それなのに倒れている田中君は魂写棒を握っている.....。 まず、なんで彼らは無手だったんだろうか? 普通はいつ襲われてもいいように手に持っているか、それか他人にで会った瞬間異能を始動して警戒するべきだろう。 「.....ああ、なんてことだ」 まさかと思い田中君のポケットを探ると2つのタグがでてきた。 つまり彼も人狼。 2人ともずっと無手だったのは相手を油断させるため。今までもそうやって相手を油断させて狩ってきたのだろう。 さて、この場に人狼が3人居たというのはどうなんだろう? ここで話が変わるが『人狼』という言葉がつくゲームをあげるなら何がありますか?と聞くと、ほとんどの人が『人狼ゲーム』を思い浮かべるだろう。 人狼ゲームは簡単に言えば村人を食い殺す人狼を探し当て吊るすゲームだ。人数の配分は村人10人に対して人狼2人などが普通である。 では話を戻して、この人狼狩りに参加している新入生の数は約500人ほど。 人狼ゲームを踏まえて考えると約500人の中に潜む人狼は約100人かそれ以下......。だが、人狼のノルマが最低10人狩ることから人狼の数は50人以下の可能性が高い。脳筋仕様の生徒のことも考えるとその方がバランスが取れる。 ......僕はさっきまでそう考えていた。 「人狼ゲームを知ってるからなまじそう思い込んでしまった」 これは、調べる必要があるな。 「おっと~ここに脱落者発見.....なんだよ2人も居るじゃねぇか。めんどくせぇー.....」 声が聞こえて振り向けば、中田君のそばに音もなく望月先生が立っていた。 「んあ?えーっと、いち、いち.....」 「一条です」 このやり取りデジャブ.....。 望月先生はいつものアロハシャツは着ておらず、茶色いジャージを着ていた。ダルそうな表情は変わらないが、少し疲労の色が見える気がする。先生でも苦労してることがあるのかな? 「望月先生は脱落者の回収をしているんですか?」 「ああ、めんどくせぇことにな」 「ふむ......。先生ってどこまで話せます?」 「おおっと?うーん、俺は何も話せないぜぇ~」 釣れるな。これは絶対に釣れる。 「先生の雑務手伝いますよ?」 「よし、なんでも聞け。答えれることなら答えよう」 「チョロ....ゴホンっ!では、人狼の人数は全体の1/10以下の人数ですか?」 「いんや」 「.....ありがとうございます。もういいです」 これはもう確定かな。 自分の中で今回のゲームについて整理しながら田中君の背中ポケットに手を入れる。 「一条は賢いな~。こりゃ俺の仕事を減らしてくれるのにおお助かりだ。頼りにしてんぞ?」 「なるほど。紙にはQRコードが書かれているのですね。これを他人のスマホで見なければ自身のチームが分からないと.....面倒臭いですね」 「無視かぁ.....」 今は貴方に構ってる暇ないんですよ望月先生。 「え?」 そして僕はスマホ画面に映し出された文字に一瞬思考停止した。 「......このゲームはクソですね」 その文字の意味を理解した僕はそう吐き捨てるしかなかった。傍らでニヤニヤと笑う先生をひと殴りし、急いでケーキ君へメールを飛ばす。 『美術室で落ち合いましょう』と。

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