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第14話 俺はこれを期に課長離れを決意する。

その週末も2泊してしまい、美味しいものを食べさせられた俺はまたもや帰宅後ベッドでジタバタするはめになった。 しかし人というものは恐ろしいもので、嫌だとか思うことでも段々慣れてしまうんだな。 なんだかんだ食い物や、甘やかしてくれる課長と過ごす心地良さに釣られて俺は度々課長の家に泊まるようになってしまっていた。 どうすんだこれ。もう、今の状況を誰かに話したら十中八九付き合ってると誰もが言うだろう。 ここまで隠し通せたのもすごくないか?俺ってもしかして俳優の才能ある……? そんなことを考えていたら姉から電話が来た。 げ、そういやこの件のこと黙ってるんだけど言わないとまずいか?でも言ってもまずいよな…… どうしようか迷ったまま電話に出た。 『また稼げるわよ』 「いや、いきなりなんなん……?」 『バイトよバイト。来週のパーティも人の集まり悪いのよ。お願いできるわね?』 「えっ!?」 そうか。俺が課長と付き合ってることになってるの知らないから姉ちゃん的には普通にまたこの仕事頼んでくるよな。でもここ最近ずっと週末は課長の家に泊まってるんだよな……。いや、たまに課長の誘いがない週もあるし、俺にだって用事ってもんがあるんだからな。いつもなんだかんだ流されてついつい課長んち行っちゃうけど来週は予定あるってきっぱり断れるぞ。 『ちょっと奏太?聞いてんの?』 「あ、うん。わかった。時間は?」 『いつもと同じ20:00、場所もいつものとこだから。よろしく』 はーーー。もしパーティーに行ったことが課長にバレたら多分怒られるだろうな。というかきっと嫉妬で勃起しちゃうな課長(知りたくなかった生態)。 俺のミッションは、俺が課長と付き合ってる(ことになってる)のを姉にバレないようにすること。そして、課長には俺がサクラをやってることがバレないようにすること。 いける!俺は俳優の才能があるからな!ふっ。 ◇◇◇ そして翌週の金曜日、また俺は課長からの誘いを受けていた。 「今夜も来るだろう?」 「あ……すいません。今夜は用事があって」 課長はちょっとがっかりした顔をした。そしてここが人の来ない会議室なのをいいことに壁ドンで迫ってくる。 「そうなんだ?誰かと会うの?」 「いえ……ちょっと」 更にずずいと顔を近づけてくる。 「隠し事?まさか浮気?」 「そんなんじゃないです!姉と会う約束していて……」 「お姉さん?ふーん、それなら仕方ないね」 ほっ。割とあっさり許してもらえた。 「じゃあ土曜日は泊まりにおいでよ」 「あ、でも、その……姉の家に泊まるかもしれないので」 「へぇ、仲いいんだ?」 「はい……まぁ」 仲が良いわけじゃない。弱みを握られ脅されてるだけです、とは言えねえ。 「じゃあ、お姉さんのところに泊まらなかったらうちにおいで。好きなもの作ってあげるから。ね?」 「え……は、はい……」 そのままねっとりとしたキスをされる。慣れたら気持ちいいこの男のキスに俺は決意が揺らぎそうになるのを必死で堪えた。ここで立たせるべきはちんこじゃない。断る勇気を奮い立たせろ! 行かないぞ。今週は行かないって決めたんだ!俺はできる!

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