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2-3 元カノの友達の家に行ったのだが何かがおかしい(下)
正直、知らん子と2人きりにされて何話していいかもわからなくて超気まずい。
「えーっと、このストーカーっていつから?」
「あの……先月から……」
割と最近か。
「奏太くん、ちょっとお願いあるんだけどいい……?」
ボソボソとうつむきながら紗莉ちゃんが言う。とにかく声小さくて聞こえにくいから近くに寄る。
「え、なに?」
料理の手伝いなら、「何もしないでいてくれたほうが良い」って課長に言われるくらいの腕前だけど?
「えと、背中が痒くて……」
「は?」
「掻いてもらえないかな?」
背中掻けだって……?なんだ急に??
「私、身体が固くて届かなくて」
「あ、ああ。どこらへん?」
シャイなのかと思ったけどなんか距離感よくわかんないお願いしてくる子だな?
「この、右の方っていうか……」
俺は適当に背中に指を当てる。
「ココらへん?」
「ちがう、もうちょっと真ん中……」
「えーと、ここ?」
「ううん、あの、もっとブラ紐のところっていうか」
え……?ブ、ブラ紐?!
おいおい、参ったな。優奈帰って来てくんねえかなぁ。
「ここらへん?」
なんか変な事になってきたぞ。俺、こんなことしててセクハラで訴えられたりしねえよな?断じて下心はねえからな。
「ごめん……ブラ紐の下辺りだから、ホック外してくれる?」
「はぁ?!ちょ、それはちょっと……」
「……だめ?すごく痒いんだけど……」
なぜか振り返った紗莉ちゃんは涙目で訴えてくる。そ、そこまで痒い……?
「あのー、せめて自分で外してくんないかな。さすがに俺、いきなり女の子のブラ外すのはちょっと……」
「あ、ご、ごめんなさ……変なこと頼んでごめんね。でも、私の爪これだから出来なくて……」
「え?」
紗莉ちゃんが差し出した手はジェルネイルがっつりしてあって、デコレーションケーキみたくラインストーンとかリボンとかで盛られてた。
ーーー待ってこれで鍋作れんの?!
なんか嫌な予感しかしねえんだよこういうとき……でもあんま変に意識してると思われるのもな?
どうせ俺今彼氏いるし、何かあったら言い訳可能だろ。
「あーーー……わかった。じゃあ外すよ」
「うん……お願いします……」
プチッ
ボロン
いやいやいや!待て待て待て!?紗莉ちゃんよく見たらすげー巨乳だな?!
ブラのホック外したら乳が飛び出したわ。(後ろからだからちょっと横乳見えただけだけど)
「えーと、掻きまーーす」
さっきブラ紐があった辺りを掻いてやる。
「ここでいい?」
「うん……ありがとう。気持ちいい。よかったらお礼に……胸触る?」
「はぁああ?!いや、いいよいいよ!何言ってんの?!」
どうしたいきなり?!シャイキャラどこ行った!?しかもちょっと待て!!こっち向くんじゃねえ!
なぜか紗莉ちゃんは服を持ち上げておっぱいを見せつけるようにしてこちらを向いたのだ。
「バッ、おい、何してんだよ隠してよ!」
俺は顔をそむけておっぱいを視界から追い出した。
紗莉ちゃんもしかしてこういうこと他の男にもしたせいでストーカーされてんじゃないの!?
「奏太くん、おっぱい嫌い?」
「は?好きだけど?!」
俺は咄嗟に本音が出てしまった。
つーか早く胸しまえよ!ここで優奈帰ってきたらクソやばいだろ。
「私……奏太くんすごく好みのタイプだから……」
「は!?なんの話!?」
この女、頭おかしいのか?
「好きにしていいよ……♡」
いいよ……♡じゃねんだよ!!!これがあれか、地雷系ってやつ?!
「悪いけど俺そういう気無いから早くソレしまってよ。もう優奈帰って来るぞ」
「優奈は今日もう戻ってこないから安心して?」
は……?
「あのねぇ、優奈の元彼の写真見せてもらったらすっごい好みだったから呼び出してもらったの~」
へ?なんか口調も変わってる?つーか普通に聞き取りやすくしゃべれんじゃねえかよ。
「だからぁ、エッチしよ?」
「つまり、ストーカーなんていないってこと?」
「うん。奏太くんに会いたかったから嘘付いちゃった♡」
紗莉は俺の腕に胸を押し付けるようにして巻き付いてきた。俺はそれを振りほどく。
「帰るわ……」
「え?ちょっと待ってよ!おっぱい好きって聞いたんだけど?!」
なぜか半ギレで言われる。なんで俺がキレられないといけねえんだよ。
「頭冷やしなよ。何してるかわかってんの?風邪引くよ。じゃあお邪魔しました~」
俺は課長のマンションに向かいつつため息をついた。よくよく考えたら、ブラ外せないとか嘘だよな。じゃなきゃいつもどうやって着替えてるんだっつーの。
さっきからスマホがブーブーうるさい。プッシュ通知見た限り優奈がキレてなんか言ってる。紗莉が怒ってるとかなんとか。バカかよ?どうでもいいんじゃボケ。
俺は本文を読まずに優奈のアカウントをブロックした。
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