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第403話 竜の寵愛 其の十

「あ……んんっ!」    竜紅人(りゅこうと)の人差し指が、真竜の眠り袋のある臍下辺りを、ぐっと押す。  その刺激の所為か。竜紅人のあからさまな言葉の所為か。それとも更に強くなっていく、発情期の濃厚な芳香の所為か。  その全てだったのだろう。  胎内の奥から御手付きの香りを纏った粘着いた淫水が、とろりと溢れ出す。  まるでここだと熱楔に場所を知らせて、誘い込むかのように。  直に潤みを感じ取ったのか、竜紅人がいっそう笑みを深くした。馴染ませるように二本の熱楔の先端だけを後蕾に埋め込んだ状態で、ゆっくりと大きく腰を回されれば、ぐちゅりぐちゅりと淫靡な水音が聞こえてくる。  堪らないのが香彩(かさい)だった。  ただでさえ敏感な場所を、拡げるかのようにじっくりと掻き回されるのだ。しかも時折、胎内から会陰を突き上げるように刺激され、会陰そのものも竜紅人の指によってぐっと押されながら上下に動かされる。   「──っ、ああぁっ……!」    ここが弱いことを充分知っていると言わんばかりの責め方に、香彩は艶声を上げながら白濁混じりの蜜を若茎からごぷりと溢れさせた。  蜜は竿を伝い、ふぐりを濡らして、会陰を責めていた竜紅人の指に辿り着く。彼は掬い上げるようにして、蜜の降りてきた道を指で擦った。それすらも刺激になり香彩は更に蜜を溢れさせる。   「ここ……悦いのか、かさい」 「……あ……んっ! や……だ、めぇ……!」    再び胎内から会陰を、大きな亀頭の括れによって抉りつつも擦るように腰を動かされて、香彩は弱々しく頭を振った。じわりじわりと降り積もっていた法悦が、やがて身体全体に染み渡るかのようなそれに変わって、香彩が身を震わせる。   「……っ、──は……っ」    後蕾で二本の熱楔の先端を食い締める感触を、まざまざと感じ取って香彩は喘いだ。まだ浅いところでこんなに感じてしまって、これからどうなってしまうのか。  香彩がそう考えた刹那。   「や……待っ、いま……!」    胎内で達したことなど、竜紅人にはお見通しだったのだろう。法悦の身体全体が痺れるかのような、溶かされていくかのような余韻の残る中、わざと腰を進めていく彼に狂おしくも恨めしい思いがした。   「いま……()っ……だ、め……」    達したばかりでぎゅうと力の入った胎内の媚肉の隧道を、貪婪に猛る二本の熱楔がじっくりと抉じ開ける。硬く勃起して浮いた血管の、生々しい感触さえわかってしまって香彩は、いやいやと唯一動かすことの出来る頭を横に振った。   (だめ……、このままじゃ……)    そう思うというのに、竜尾に縛られた身体ではどうすることも出来ない。   (否……)    たとえ自由に身動きが出来たとしても、尾骶に鈍痛が走るほどに降り積もっていく胎内の快楽からは、逃げることなど出来ないだろう。そして心とは裏腹に身体は、迫り来る激しい快楽の解放を求めて、無意識の内に愛しい竜を誘い込むかのような腰の動きに変わっていく。   「──っ」     

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