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第41話

 手にしていた温かい物が無くなって指先が心許なく、綿毛布をわけもなくたぐり寄せる。その一方で耐えがたい昂揚感を押さえ込むのに苦慮していた。  彰人の顔が近付き、ショウの頬に温かい手のひらが添えられる。ショウは、ひた、と彰人の視線を捉えた。きっと今、自分の眼は淫らに光り、胸の内はすべて筒抜けになっているだろうと思われた。 「俺も聞いてもいいですか」  とても近い距離で視線を絡めたまま、ショウは絞るように声を発した。声が恥ずかしいくらいに掠れていた。 「彰人さんの、誕生日はいつ」 「五月」  鼻先が少し触れ、反射的に離れようとするのを彰人の手が許さなかった。あ、と思った時には上唇を啄まれる。 「な、んにち?」 「七日」  唇が一旦離れ、すぐに触れる。合わさると放される。ショウは、頬を撫でる彰人の手に自分の手を重ねた。鼓動が早くて痛い程だった。 「俺と、おなじ日だ」  たどたどしく紡ぐと彰人の眼が光って、やさしく細められる。  焦れたショウは自ら唇を押し当てて彰人を掴まえた。だが意趣返しされるようにすぐ唇を舌で舐め取られる。  「そうだね」という彰人の声が、かすかに聞こえ、消えた。

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