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第52話

 ティッシュで簡単に手や身体を拭ってきれいにし、二人は弾んだ呼吸に照れながら、手を繋いで横になっていた。  いつの間につけたのか、エアコンの作動音が混ざる。  部屋の中はまだ青色に沈んで暗いが、朝が近付いている証拠に色味が少しだけ淡くなってきていた。  ショウは天井を眺めていたが、残り時間はあとどのくらいだろうと考え、淋しくなって彰人の方へと身体の向きを変えた。  同じように天井を見ているとばかり思っていたが、彰人はじっとショウを見ていた。視線が合うと瞳が笑みに揺れた。 「僕のベッドにショウくんが居るのが不思議な感じ」 「俺も夢かなって何度か思いました」 「まだ時間あるでしょう? シャワー浴びる?」  問われて、ショウは首を横に振った。 「今が勿体ないから、家で洗います」  彰人はショウを切なげに見つめた後、「こっちにおいで」と繋いでいた手をほどいて肩を抱き寄せた。ショウは彰人の胸に頬を当て、時が止まらないかな、と願った。 「ショウくんは、どうしてこの仕事を始めたの?」

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