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第1話

平成が令和に変わった年の大晦日の朝のことだった。僕は、コンビニの夜勤を終えて、帰路についていた。 両親が僕と兄を残して逝ってしまったのは、僕たちが17才の年の冬だった。僕たち兄弟を二人とも引き取ってくれるというような親類縁者もなかったので、僕たちは、それから、もう二年あまり、二人きりで暮らしていた。 兄は、両親の死の影響を最も受けているといってもよかった。 当時、高校生だった兄は、生活のために学校を退学し、親戚の叔父さんのやっている会社へと就職し、働きだした。 僕も、学校をやめて働こうとしたのだが、兄は、それを止めて言った。 「お前だけでも、大学までいって、約束を果たしてくれ」 僕たち兄弟は、両親とある約束をしていた。 それは、学校の教師をしていた両親の跡を継いで、僕たちも、教師になるというものだった。 「晴、お前は、俺の分まで勉強して、立派な教師になってくれ」 こうして、僕たち兄弟は、新しい約束を結び、二人で生活を始めたのだった。 僕は、兄との約束通り、大学へと進学した。だが、少しでも、兄の力になりたくて、コンビニでアルバイトをしているのだった。 僕と兄は、双生児だ。 二人とも、黒髪で、小柄で、色が白く、よく女の子と間違えられることがあった。それが、僕たちの共通のコンプレックスとなっていた。 一卵性で、まったく、瓜二つの僕たちだったが、一つだけ違っていたのは、兄は、コンタクトをしていたが、僕は、眼鏡をかけているということだった。それ以外は、僕たちを見分ける方法は、ほとんどなかった。 その日、僕が、いつものように、バイト先のコンビニから歩いてアパートに帰ってきたとき、家の前に不穏な人影がたむろしていた。 その男たちは、いわゆる半グレとでもいうのだろうか、どこか、堅気ではない雰囲気を漂わせていた。僕は、出きるだけ、彼らと目を合わさないように気をつけて玄関の鍵を開けようとした。 だが、僕に気づいた男たちは、一斉に僕を取り囲み、にこにこと笑いながら、僕が逃げられないように僕の両腕を掴んできいてきた。 「谷村 礼次郎、くん?」 礼次郎というのは、兄の名前だった。 こんな胡散臭い連中が、兄に、何の用があるというのだろうか。 僕は、なにか、嫌な予感がしていた。 男たちは、僕が礼次郎であることを微塵も疑う様子もなく、僕の腕を掴んだまま言った。 「ちょっと、一緒に来てもらえるかな」 「何の用ですか?」 僕がきくと、男たちの中の一人が、前に出てきて、僕に言った。 「君の借金のことについて、この前、話し合った件なんだがね、今日から、来てもらいたくてね」 どこに? そう、僕は、聞こうとしてやめた。 彼らは、僕を兄と勘違いしている。ならば、僕が、兄の代わりに彼らと行くべきだと、僕は、思ったのだ。 こんな、怪しい連中と兄を関わらせるべきじゃない。 兄が、借金をしていたとは、初耳だったが、きっと、僕のために違いなかった。 そのダークスーツの男は、僕の腕を引っ張って、僕をアパートの横に止めていた白い軽自動車の後部座席へと押し込みながら言った。 「大丈夫。この前も説明したけど、大人しく言う通りにしていたら、悪いようにはしないからね」 車は、すぐに走りだし、十分ほど行ったところにある繁華街の一角にある崩れそうなビルの前で止まった。男たちは、僕を乱暴に車から下ろすと、ビルの中へと連れ込んだ。 古いビルと同じぐらいくたびれたエレベーターに乗せられてどこかへ連れていかれながら、僕は、考えていた。 兄は、どのぐらいの金額の借金があるのだろうか。 きっと、この男たちは、まともな連中じゃない。こんな連中に、兄は、金を借りたのだろうか。なぜ、僕に、相談してくれなかったのだろうか。 そのとき、エレベーターの扉が開いた。そのダークスーツの男は、僕の腕を引っ張って、薄暗い廊下を歩きだした。 いったい、どこへ連れていかれるのか。 僕が、不安に思っていると、男は、廊下の先にあるドアの前で足を止めた。 『株式会社 ホーリーナイト』 そこには、そんな看板が出ていた。 男が、部屋のドアを開けた。 その扉の向こうは、ちょっとしたカオスだった。人々は、忙しそうにばたばたと走り回り、大声を張り上げていた。誰もが世話しなく動き回り、僕たちに気づく者は、いなかった。 しばらくして、うらびれた中年男が、僕たちに気づいて、声をかけてきた。 「なんや、山本さんやないですか」 その関西弁の中年男は、山本さんと呼ばれた男の横に立っている僕に目を止めると、品定めするかのように僕のことをじろじろと不躾に見つめてきた。 「その子でっか?新しい男優志望の子って」 「そうです」 男は、頷くと、僕をぐぃっと前へと押し出して言った。 「どうです。なかなか、いい子でしょう?そちらのお好きなプレイを何でもやりますし、相手の好き嫌いも言いませんよ」 「ホンマでっか、そら、助かりますわ」 その中年男は、僕に、にっこりと笑いかけて言った。 「実は、たった今、新人の子に逃げられたとこでして」 中年男は、僕を、男から受けとると、僕を奥の小部屋へと導いて言った。 「ほなら、ここで、準備してくれはるか」 僕は、案内されたガランとした妙に蛍光灯の明るい部屋の中へ押し込まれた。そして、僕を案内してきた中年男は、そのまま、僕を一人、ほったらかしにして行ってしまった。 「準備って・・・」 僕は、その場に立ち尽くしていた。 その小さな部屋は、なにもなかったが、暖房だけはきいていたので、僕は、暑くて着ていた上着を脱ぎながら、現状を整理していった。 バイトの帰りに、僕は、見知らぬ男たちに兄の礼次郎と間違えられて、ここに連れてこられたわけだったが、いったい、何のために連れてこられたのかがわからなかった。 だが、僕を連れてきた男と、あの中年男の会話から、僕は、誰かの代わりに何かをすることになっているらしい。 僕は、何をさせられるのか。 僕をここに案内した中年男は、僕に、『準備して』と言っていた。 「準備って、何の準備だよ・・・」 僕が、考えていると、不意に、扉が開いて、茶髪の、少し強面だけど、とても整った顔をした体格のいい男が入ってきた。男は、突っ立っている僕に怒ったような表情をして言った。 「まだ、準備、してなかったの?」 「あの、準備って?」 僕がきくと、その男は、イラッとした様子で言った。 「服を脱いで、裸になるに決まってるだろう」 「えっ?」 意味が理解できずにきょとんとしている僕に、その男は、ため息をついて、歩み寄ってくると、僕の着ていたセーターを手際よく脱がせていった。 「あ、あの、ちょっと、待って」 「うだうだ言ってんなよ、あんた」 その男は、僕のはいていたズボンを下着ごと下ろして、僕を上目使いで睨み付けて言った。 「自分が、ここに売られてきたってこと、わかってるんだろ?」 僕は、素っ裸にされて、思わず、悲鳴をあげて、その場にしゃがみ込んだ。 「売られたって、そんなこと、僕は、知らない!」 「え?そうなんだ」 男は、少しだけ、僕に同情するような眼差しになった。だけど、彼は、僕を無理矢理立たせると、壁に手をつかせて、腰を上げさせた。 「な、何するんですか!」 「じっとしてろよ」 彼は、いきなり、僕の後孔に何かを差し込んで、冷たい液体を注入してきた。 「んっ・・」 すぐに、僕の腹がぎゅるっと音を立て、僕は、便意を感じた。 「あ、あの」 僕は、裸のままでもじょもじと体を揺すって、男にきいた。 「トイレ、どこ?」 その男に、言いたいことは、いっぱいあったのだが、とりあえず、今は、それが一番、聞きたいことだった。 僕に質問されて、彼は、うっとおしそうに僕を見下ろして、冷ややかに言った。 「あっちにあるけど、まだ、出しちゃダメだぞ。もっと、我慢しろよ」 「えっ?」 予想外の答えに、僕は、戸惑っていた。その間にも、僕の腹は、腸が捩れるような音をあげて、激しい便意のために、僕は、脂汗が流れるのを感じた。 「も、無理、です。トイレに、行かせてください・・・」 「仕方ないな」 男は、そう言うと、僕の肩に自分が着ていたジャンパーをかけて、僕を連れて部屋の外へと歩き出した。僕は、男の後をついて歩いたが、すれ違う人に裸の体をじろじろと見られて恥辱に体全体を朱に染めていた。 その男は、その部屋の玄関を出ていくと、薄暗く、凍えるように寒い廊下を歩いて、隣の部屋へと僕を連れていった。 「この部屋のトイレを使ってくれ」 彼に言われた時には、僕は、もう限界で、歩くこともできずにその場に座り込んで下腹に力を入れて堪えていた。その様子に気づいた男は、慌てて僕に言った。 「ああっ、そこでするんじゃねぇぞ」 彼は、僕を抱きかかえると部屋の中へと運んだ。 バスルームの中にあるトイレで用を足した僕を、彼は、また、さっきの騒がしい部屋へと連れ戻そうと歩き出した。僕は、一瞬、隙をついて逃げ出そうかと思ったが、すぐに、考え直した。僕が逃げれば、今度は、兄が連れてこられるだけだろう。 兄を守らなくては。 そう思った僕は、不安で胃が捩れそうだったけど、男の後ろについて歩き続けた。 男は、僕を、あの、騒がしい部屋の中央に備え付けられた大きなベットへと導き、そこに座らせると、言った。 「改発さん、お願いします」 「はいはい」 奥から、赤いロープを手にしたチャラそうな赤い髪の男が現れて、僕に笑いかけてきた。 「えらい、今度の子は、かいらし子やなぁ」 改発とかいう名の男は、僕の背後に回ると、僕が着ていたジャンパーを脱がせて、僕の両腕をロープで縛りながら、話しかけてきた。 「そないに緊張せんでも、今日の相手役は、ベテランやし、大丈夫やで。君、名前、なんやったっけ?」 「は・・」 僕は、本名を名乗りかけて、口を閉じた。この人たちは、僕を兄だと思っているのだ。 「れ、礼次郎。谷村 礼次郎、です」 「レイちゃん、か」 改発は、さっさと僕の体をロープで縛り上げていった。僕は、ロープの食い込む痛みに少し、顔をしかめた。 「あっ、ごめん。きつかった?堪忍な、レイちゃん」 僕は、あっという間に縛られて、ベットの上に転がされた。ここに連れてこられた時に会った中年男が、言った。 「そんなら、そろそろ、始めまひょか」 ライトが僕にあてられて、僕は、眩しさに目を伏せた。 「じゃ、よろしく」 「えっ?」 目を開いた僕の前に、さっきの、僕に酷いことをした男が全裸で立っていた。僕は、その均整のとれた美しい裸体にほんの一瞬だけ見とれてしまった。 「助監の沢村 レイ、だ。今日は、お前の相手役をする。よろしく」 沢村は、僕の側によってくると、僕を仰向けにして、両足の間に体を入れてきた。彼は、僕の怯えた眼差しに気づいて、そっと僕の耳元できいた。 「もしかして、初めて?」 当たり前だ。 僕が頷くのを見て、沢村は、また、ため息をついて言った。 「俺に任せて。できるだけ、痛くないようにしてやるから」 「えっ?」 沢村は、僕の胸の突起を吸いながら、片手で、もう一方の突起を摘まんでぎゅっと捻った。僕は、痛みとくすぐったさの混じったような感覚に体を捩った。 「んっ・・」 「沢村!眼鏡、取ったらんかい!」 あの中年男に怒鳴られて、沢村は、僕の胸から顔を上げた。彼は、僕の顔を見ながら、眼鏡を取って、少し、意外そうな表情を浮かべた。 「へぇっ、眼鏡を取ったら、結構、かわいいな」 沢村は、眼鏡をそっと脇に置くと、僕にキスしてきた。僕は、びくっと体を強張らせた。 「まさか、キスも、初めて?」 僕は、黙って、潤んだ瞳で彼を見つめて、頷いた。沢村は、本当に、嫌そうな顔をして、呟いた。 「マジかよ」 彼は、少し間をおいて、僕に言った。 「口を、少し、開いて」 僕が口を開くと、沢村は、にっこりと笑った。 「いい子だ」 沢村は、僕の口の中に舌を入れてきた。僕が驚いている隙に、彼の舌に口中を掻き回されて、僕は、頭が真っ白になっていくのを感じた。 「ん、んっ!」 沢村は、僕の口の中を気がすむまで犯してから、口を離した。ぼんやりとした僕の表情を見つめて、彼は、言った。 「エロい顔」 沢村は、手を伸ばしてきて、僕のものに触れた。 「あっ、それは・・」 沢村は、僕のものを片手で擦り始めた。僕は、生まれて初めて、他人にそんなことをされて、動揺してしまった。 「だ、だめっ!」 「だめなこと、ないだろ」 沢村は、僕のものを擦りながら言った。 「ほら、こんなに、濡れてきて。感じてるんだろ?レイちゃん」 「あっ・・」 僕のものは、沢村の手の中で芯を持って、先走りを漏らしていた。沢村は、僕の先端に指を立ててきた。未知の快感に、僕は、思わず、体を捩って声を上げていた。 「あぁっ・・だめぇっ、そんな、したら、いっちゃう!」 「いけよ、レイちゃん」 沢村は、言った。 「いくとこ、俺に見せてくれよ」 「あぅんっ、だ、めぇっ!」 僕は、沢村の手の中に精を放った。皆が、見てる前で、知らない子の男の手でいかされて、僕は、涙ぐんだ。沢村は、そんな僕を見つめて、にっと笑って言った。 「こんなんで、恥ずかしがってんじゃねぇぞ。本番は、これからなんだから」 「えっ?」 沢村は、僕をうつ向かせると腰を高く上げさせた。縛られている僕は、シーツに顔を埋めて、息を飲んだ。 沢村は、僕の後孔に指を沿わせるとそこを撫で上げて、僕に囁いた。 「これから、ここを解していく。ちょっと、痛くても、我慢しろよ」 「えっ、あの、ちょっと、ま」 沢村は、僕の言葉を無視して、僕のそこに指を入れてきた。突然の異物感に、僕は、悲鳴を上げた。 「ひぁっ!やめてっ、お願いっ!」 「だぁめ」 沢村は、楽しそうに笑って、僕の中を掻き回した。指は、一本から二本へと増えていって、僕の中を押し拡げていった。じゅぶじゅぶと指を抽挿されて、僕は、だんだん、おかしくなっていった。 「あぁっ・・だめぇっ、そんなにしちゃ・・」 「何が、だめなんだよ、こんなに前を濡らして、感じてるくせに」 沢村に言われてはじめて、僕は、自分が固く昂っていることに気づいて、顔を赤らめた。 「これは、ちがう・・あっ!そんなにほじっちゃ、いやぁっ!」 「たまらないな、お前、本当に、かわいいな」 沢村が、指を抜いて、自分自身の昂りを僕のそこへと押し当て、ねじ込んできた。そのあまりの痛みに僕は、体を捩って逃れようとした。だが、沢村に腰を掴まれて逃れることもできなかった。 「入れるぞ、レイちゃん」 「あっ、あっ、だめぇっ!」 沢村の大きくて、太いものに貫かれて、僕は、嗚咽を漏らしていた。 「あっ・・あぁっ・・だめぇっ!抜いて!も、だめぇっ!」 「すげぇ、いい、きつくて、最高だ、レイちゃんの中、いい」 沢村に激しく突かれて、僕は、何が何だかわからなくなっていった。ただ、痛みと、それと同じぐらいの快楽の波に飲まれて、僕は、叫び声を上げていた。 「んんっ・・あっ、あっ・・だめぇっ!」 「んっ」 僕は、気が高まって、いってしまったと同時に、意識が、薄らいでいった。

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