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第11話
僕は、こうして男優になった。
僕の新作『旅立ち レイ十九歳』は、この業界のランキングでナンバーワンを獲得した。僕は、売れっ子男優の仲間入りをはたした。
沢村は、最近、助監督から、監督へと格上げされた。僕の次回作の監督は、彼になる予定だった。
兄は、夜間高校へと編入することが決まった。兄は、遅ればせながら、教師への夢に向かって歩き出した。
兄の借金問題は、解決した。
山本は、半笑いで、僕に言った。
「兄さんと、間違えてたんだって?悪かったね。でも、終わりよければ、だよね」
確かに、終わりよければ全てよし、としなくては、人生は、生きていけない。
苦しいこと、悲しいことがあっても、僕たちは、前に進み続けなくてはいけないのだ。
例え、どんなに不安に苛まれていても、僕たちは、歩き続ける。
まだ見ぬ、未来を目指して、僕たちは、進むのだ。
明日の自分を信じて。
不安になった時や、辛いとき、苦しいときは、隣を振り向く。
そこには、僕の愛する人々が立っている。
兄、沢村、そして、『ホーリーナイト』の面々。
僕たちは、支えあい、愛し合って、共にあるべき未来を探している。
いつか、消えていく定めであっても、愛は、失われることはない。
永遠に。
たぶん、それぐらい夢見させてもらってもいいよね?
永遠を見られる人間なんて、いないけど、僕たちは、夢見続けるんだ。
遠い未来を。
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