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第1話(2)
「雄吾 ……お前覚えてねぇの?」
肩に手を付かれて跳ね上がる。
でも、ズキズキと頭も痛くなって俺は呻いて頭を押さえた。
「水でも飲むか?」
言いながら創介がベッドから降りてパンツを穿く。
ちらっと片目だけ開けてそれを見ていた俺は何で朝っぱらから創介のケツなんて見ないといけないんだ……と思いつつ、重だるい身体が面倒で仕方なかった。
状況を理解しようとは思うものの頭の中は空っぽで全く思い当たることもない。
「ほら、水」
創介の声が聞こえてグラスを受け取って水を口にした。ふわっと口の中にレモンの爽やかな味が広がる。
こういう気遣いをするのが創介。
女にモテるのはそういうとこだと思うし、羨ましいけど……俺はそんな面倒なことできない。だから、家事とかも全部丸投げだし。
「ちょっとは落ち着いたか?」
「ん……サンキュ。……ちょ、ついでに俺のパンツも取って」
布団からそのまま出るのはためらわれて頼んだのに
「あー、お前のはデロデロだから部屋から持って来てやるよ」
創介は軽く笑って部屋を出て行った。
……デロデロ?
俺、もしかして吐いたのか?
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