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そして、その日/寒凪⑴
最悪だ…!
18時とか大きな事を言っておいて、結局キリがついたのは19時半すぎ。
せめて2度目の誓いは破らぬようにと慌てて真っ暗な夜道を走った。
来碧さんからの返事はないし、もしかしたら怒らせてしまったかもしれない。
それなら何か詫びの品でも買って行ったほうが…いや、今は20時というタイムリミットに間に合わせる方が先決だ。
少しでも近道を通ろうと細く入り組んだ道を走り、途中野良犬に追いかけられて死を覚悟し、
季節外れの大汗をかきながらも…なんとか57分に自宅に到着。
駐車場には既に来碧さんの車が止められていた。
自分の家に帰るだけで、こんなに緊張する事があるだろうか。
…無いな。
少なくとも、俺にとっての家というのは
仕事疲れを癒すオアシスだ。
お…怒られる理由なんて……理由なんてっ、
ありましぇえんっ!!!
「ただいま帰りまし……っん?!」
勢いよく扉を開いた瞬間に襲い来る、
とても通常とは言い難い強烈なフェロモンに思わず鼻を覆った。
この匂い……アレだ。
間違いない。
持っていたパンパンの通勤鞄を玄関に捨て、下の階の住人に迷惑になることも忘れてドタドタとリビングへ向かえば
そこには──、
「…ん、ぅっ。綾木…さ、ぁ……遅い…っ」
俺の今朝まで着ていたスウェットを顔に寄せ、
あられもない格好で全身を熱らす恋人が居た。
彼の左手は天を向く竿を握り、右手は蜜の溢れる後孔を弄んでいる。
……オアシスにしては、また随分と卑猥だな。
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