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あの、変態ストーカーめ。
家族にまで裏から手を回して、絶対に僕が断れないであろう方法を取るとか。
……回りくどい上に、悪質過ぎるんだよ!
金にモノを言わせた、あまりにも卑劣且つ狡猾なやり口が気に入らず、僕はふるふると怒りに震えた。
そして以前いつの間にか洋服のポケットに入れられていた名刺に書かれた、西園寺さんのプライベート用の携帯番号をビリビリに破いて捨ててしまった事を心の底から悔いた。
***
「こんにちは、原くん。
えっと……今日は陸斗くんは、この時間帯も中の仕事なの?」
厨房での盛り付け作業に追われていたら、いつもの時間に西園寺さんの声が聞こえてきた。
しかしそれには気付かないフリをして、僕は黙々とポテトサラダをカップに入れていくという単純作業にだけ全神経を集中させようとした。
するとハラちゃんはちょっと困ったような感じで、ボソボソと答えた。
「あー……っと、そうっすね。
今日はこの時間は、調理出来る人が足りてないみたいで」
詳しい内容こそ話していなかったものの、本当は僕が怒り猛ってこちらの仕事を買って出たことを知りながら、誤魔化そうと必死な感じの発言。
だけどそこは西園寺さんを懲らしめるためにも、ハッキリ言って欲しかったくらいだ。
訪れた、沈黙。
これでおとなしく帰るかと思いきや、西園寺さんは予想外の注文を繰り出した。
「ふーん、そっか。なるほど。
あ、そうだ!今日は三時のオヤツ用に、ゴマ団子もお願いしよっかな。
いつも頑張ってくれてる職場の子達へのお土産として、五十人前ほど」
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