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「はーい、ゴマ団子ですね。  ......って、えぇ!?五十人前っすか!?」  ハラちゃんは相当驚いた様子で、声を張り上げた。  西園寺さんは、しれっと答えた。   「うん、そう。五十人前。  出来るまで、このまま外で待たせて貰うね」  ……いくら僕に会いたいからといって、金にモノを言わせてなんて大人げない真似をするのだ。  あまりにも苛立ち、この瞬間、そこまで低くないはずの僕の怒りの沸点が限界を越えた。  だからバンと扉を開け、店舗部分に乗り込むと、笑顔で告げた。 「こんにちは、西園寺さん。  人が足りないって、いまハラちゃんからお聞きになりましたよね?  何の嫌がらせですか、ホント勘弁して下さい」  すると西園寺さんはクスリと笑い、答えた。 「こんにちは、陸斗くん。  うん、確かに聞いた。  でも別に、嫌がらせではないよ?  ただこうでもしないと君、僕に顔を見せてくれなかったでしょ?」  毎度のごとくスッと手を握られそうになり、反射的に避ける僕。  残念そうな顔をされたけれど、さすがに今日は罪悪感を感じる事は無かった。 「あのねぇ、西園寺さん。  金持ちの道楽に付き合うほど、僕は暇じゃないんです。  結局あなたの懐に戻るとはいえ、店の売り上げに貢献して下さるのはありがたいですが、時と場合に依りますよ」  丁寧な口調は心掛けているけれど、一応はお客様相手だというのに、内容はかなり失礼な感じになってしまった。  戸惑ったように、彼の瞳が揺れる。  それを見てもまだ苛立ちは治まりきらず、僕は彼に対して更なる追い討ちを掛けた。 「それと、昨日のアレ。  何なんですか?そりゃあ西園寺さんみたいなお金持ちと比べたら、僕の家は貧しいかもしれません。  ……だけどあんな風に施しを受けないといけないくらい、あなたには僕が可哀想に見えるんですか?」

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