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「陸斗。何かあなた宛てに、めちゃくちゃ大きな荷物が届いているんだけど‥‥‥」
12月23日の、夜。
仕事を終えて帰宅すると、母が困惑顔で言った。
それを聞き、慌てて靴を脱いで室内に入ると、リビングに置かれたその馬鹿でかい包みを前に頭を抱えた。
送り主は、言うまでもない。
僕の変態ストーカー、西園寺さんである。
そう言えばあの人に、言い忘れていたな。
‥‥‥クリスマスプレゼントに、あまり金をかけるなと。
初めて彼に、出逢った日の翌日。
西園寺さんは当たり前みたいな顔をして、初対面にも等しい僕に、彼とお揃いの斜め掛けタイプのショルダーバッグをプレゼントしてきた。
ブランドに疎い僕でも分かるほどの、超高級品である。
もちろん僕は、こんな物をあなたに貰う義理はないし、意味がわからないと突き返そうとした。
なのに西園寺さんは、僕の名前まで入れて貰ったから、返品ももう出来ないのでどうか受け取って欲しいと食い下がった。
だから渋々、受け取ってしまったのだが。
‥‥‥しかし、これが良くなかった。
味を占めた西園寺さんは、その翌日も、更にその翌日も、僕にプレゼントを持って来たのである。
貧乏性な僕は名入で返品も出来ないそれらの贈り物たちを、受け取るしかなかった。
といっても他の僕の私物とはあまりにも合わない代物ばかりだから、結果この時貰ったバッグなどは現在も、押し入れの奥にしまい込んだままになってしまっているワケだが。
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