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そんな事が3日も続き、僕の堪忍袋の緒がついにプツンと切れた。
だから、言ってやったのだ。
プレゼントなんていうのは、特別な日に貰えるから嬉しい。
だから意味もなく普通の日にこんな真似を続けられたら、そのありがたみだとか価値が薄れてしまう。
‥‥‥お願いだから僕の楽しみを、奪わないでって。
その言葉に納得したのか、彼のプレゼント攻撃はピタリと止んだ。
だからそれに、ホッとしていたのだが‥‥‥。
フゥと息を吐き、忌々しい気持ちで、綺麗にラッピングされた大きな包みに手を掛けた。
だけど興味津々といった感じで背後から覗き込む父と母、さらに妹の視線に気付き、にっこりと微笑んで振り返った。
「ありがとう、母さん。
これは、部屋で開けるね」
***
自室に着くと僕は、もう一度大きく深呼吸をして、青色のリボンに手を掛けた。
そして水色の包装紙を丁寧に剥がし、箱の蓋を開けた。
すると中からは、僕のために誂えたと思われるスーツだの、コートだの、革靴だのといった被服一色が出てきた。
恐る恐る中身を取り出し、確認したところ、今回もご丁寧にどれも僕のネーム入りである。
「‥‥‥一体これ、いくらくらいするんだよ」
確かにあんな高級なホテルに、何を着ていけば良いだろうと、悩んではいた。
だけどこれは、やり過ぎである。
「はぁ‥‥‥予想出来た事なはずなのに、僕の馬鹿」
ゲンナリしながらもスーツを手に取り、のそのそと試着してみた。
「ハハ‥‥‥気持ちワル。
だからなんでこんなに、サイズがぴったりなんだよ!」
鏡の前に立ち、確認してドン引きした。
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