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「西園寺さん。僕ね、監視されるのって好きじゃないんですよね。
アレ。……今すぐ外しちゃっても、良いですか?」
キョドキョドと、視線を彷徨わせる西園寺さん。
だけどここで甘やかしては、他の人達にまで迷惑が掛かる。
「……良いですよね?」
自然と深くなる、笑み。
それを見た西園寺さんとハラちゃんは、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「ごめんね。だって会えない時でも、君の姿を見ていたかったから……」
「防犯カメラを堂々と、盗撮目的で使おうとするのは止めて下さい!
……そんなカメラ越しに僕を見る時間があるなら、さっさと仕事を終わらせて、会いに来てくれたら良いのに」
思わず零れ出た、本音。
嫌な気配を感じ、顔を上げるとそこには、デレデレと鼻の下を伸ばす西園寺さんの顔。
「分かったよ、陸斗くん。
アレはすぐに、取り外そう。
あぁ……それにしても、可愛いが過ぎる。
陸斗くん、やっぱり今すぐ俺と結婚しよう!」
頬を紅潮させ、ハァハァと息を乱す西園寺さん。
だから僕はいつもみたいに、笑顔で答えた。
「丁重に、お断りさせて頂きます!
ありがとうございました、またのご来店をお待ちしていまーす」
【…Fin】
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